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「普天間」の移設先は沖縄県内にはない

大矢雅弘

大矢雅弘 ライター

沖縄県知事選で「普天間」が問われるのは今回が4度目だ。普天間の移設先について、現職の仲井真弘多氏と前宜野湾市長の新顔伊波洋一氏の立場は異なるが、名護市辺野古への移設については「不可能」との考えで足並みをそろえている。

 仲井真氏、伊波氏のいずれが当選しても、辺野古への移設のハードルはきわめて高い。仲井真氏が「県内移設反対」と公言していないことで、仲井真氏が再選されれば、交渉の余地が出てくるとの希望的観測も政府にはあるかもしれない。

 だが、名護市長が「県内移設」容認であった時代でさえ、13年間もの年月をかけても政府が地元に基地建設を受け入れさせることはできなかったのだ。いま、沖縄の政治状況は一変している。

 移設先となった名護市では今年1月、辺野古移設に明確に反対する稲嶺進市長が当選し、9月の名護市議選でも稲嶺市長を支持する勢力が大勝した。与党時代に辺野古移設を進めた自民党県連も県内移設反対に転換。県議会も県内移設に反対し、国外・県外移設を求める意見書を初めて与野党全会一致で可決している。

 普天間の移設先を一度は「最低でも県外」と請け負った鳩山由紀夫前首相は迷走のあげく、自民党政権時代の「辺野古」に回帰して辞任した。菅直人首相は辺野古回帰を盛り込んだ5月の日米合意の履行をオバマ大統領に伝えたが、日米合意はすでに破綻している。

 菅首相が県内移設にこだわるかぎり、いずれは「沖縄の民意」と対米交渉のはざまで立ち行かなくなることは明らかだ。進退問題にまで追い込まれる可能性さえあるのは目に見えている。

 ここは、沖縄県民をはじめ、日本国民の同意を得られない事実を米国に突きつけ、日米合意の見直しに向けた対米交渉を急ぐべきである。

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