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子どもたち(読者)に支えられて――新聞コンクール表彰式

大久保真紀

大久保真紀 朝日新聞編集委員(社会担当)

APECが始まる直前の11月6日の土曜日に、横浜の日本新聞博物館であった「NIEキャンペーン第1回『いっしょに読もう!新聞』コンクール」の表彰式に行ってきました。

 NIEとは、Newspaper in Educatio(教育に新聞を)、学校などで教材として新聞を活用することです。NIEを推進してもらう活動として、今回のキャンペーンが企画されたようです。

 自分の気になった新聞記事を選んで家族や友だちと一緒に読み、感想・意見などを書いて記事とともに応募する新聞感想文コンクールです。全国から1万2290点(小学生2723点、中学生5042点、高校生4506点、特別支援10点、その他9点)の応募があり、その中からグランプリ1点と最優秀賞3点(小中高各1点)、特別賞30点、奨励賞124点が選ばれました。

拡大グランプリと最優秀賞を受賞したみなさん。一番左が森有希さん

 6日の表彰式はそのグランプリと最優秀賞のためのものでした。なぜ私がそこに参加したかというと、高校部門の最優秀に選ばれた作品は、私の記事についてのものだったからです。当日は、受賞者のみなさんとそれぞれの記事を書いた記者(共同通信、中日新聞、読売新聞、そして私の朝日新聞)が集まり、感想文について懇談をしました。

 私の記事は、8月25日の朝刊社会面にのった「母・妹犠牲・・・帰国できた/3姉妹満州からの逃避行/戦後65年『悲惨さ 今伝えねば』」という見出しの記事です。旧満州からの逃避行で、「おいも、食べたーい」と泣いた3歳の妹を母親と知り合いのおばちゃんが手にかけたということを3人の姉たちが戦後初めて明かしたというものです。

 その記事を読んで感想文を書き、最優秀賞に選ばれた森有希さんは、昭和女子大付属昭和高校2年生です。森さんは「我が子が首を絞められるのを同意した上で黙って見ていなければならなかった母親の気持ちを思うと胸が痛む。里子ちゃん(妹)がお腹を空かせたまま死んでいき、草むらに放置された光景を思うと無念でならない」と書きました。さらに、母親から祖父が満州からの引き揚げを体験し、苦労した話を聞いたそうです。その上で、彼女はこう書いています。

 「私はこの戦争の悲惨さを受け止めて、真実を後世に伝えなければならないという使命感を感じた。しかし、日本が他国にしたことも受け止めた上で戦争を正しく理解する必要がある。断片的に知ることだけでは誤解が生じかねない。多面的な視点で戦争を考えることが大切だ。人が生き抜くことがどんなに大変かということを身近な人から学んだ。祖父が必死の思いで引き揚げて生き抜いたことで、今の父そして私につながっている。そう思うと人の命は本当に尊いもので、それを受け継いだ私達は命を大切にしなければならない。そのありがたさを皆が気づけば、悲惨な戦争は二度と起こらないだろう」

 そして、最後に「辛い思いをしながら話してくれた戦争体験者に感謝したい」という一文を寄せています。

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筆者

大久保真紀

大久保真紀(おおくぼ・まき) 朝日新聞編集委員(社会担当)

1963年生まれ。盛岡、静岡支局、東京本社社会部などを経て現職。著書に『買われる子どもたち』、『こどもの権利を買わないで――プンとミーチャのものがたり』、『明日がある――虐待を受けた子どもたち』、『ああ わが祖国よ――国を訴えた中国残留日本人孤児たち』、『中国残留日本人』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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