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ポスト福地の最有力は「福地」か

川本裕司

川本裕司 朝日新聞記者

3年に一度迎えるNHK会長選び。任期満了まで2カ月前といえば、数多くの下馬評が流れたあとに候補者の絞り込みをする時期だ。ところが、今回は1期3年での退任を表明している福地茂雄会長(76)の後任選びが、経営委員会でさっぱり進んでいないようだ。なし崩しのまま、続投の意思を示さない現職が最有力という異例の展開となっている。

 アサヒビール相談役だった福地氏が会長に就任する8日前の08年1月、NHKでは記者やディレクターら3人が自社の特ダネ情報をもとにインサイダー株取引をしていたことが発覚。度重なった不祥事のなかでも最大級の汚点だった。19年ぶりにNHKの外部から登用され福地氏は、就任会見で「崖っぷちに立っている」と表現した。

 放送やジャーナリズムとは無縁だった経済人の手腕が問われたが、報道や制作の現場に口出しをせず、自由な番組づくりの場を確保した。最大の使命としたコンプライアンス(法令順守)については、今年10月にスポーツ部記者による捜索情報漏洩が起こるなど根絶はしていない。しかし、受信料支払いの拒否件数を減らし続けることに成功、視聴者からの信頼回復に道筋をつけた点での評価はNHK内外で高い。

 福地氏は高齢であることを理由に、就任直後から1期3年で退任する意向を漏らしていた。09年9月には、福岡市内の講演で「年が年だから3年で堪忍してもらえればと思っている」と表明。11月から12月にかけて経営委員に「やらなければいけないことは行った。引き際があれば身を引きたい」と述べ、任期満了前の辞意を明らかにした。結局、慰留を受け入れて会長職を続けてきたが、今月4日の定例記者会見で続投の意思がないことを明確に述べた。

 NHK会長を任命するのは12人いる経営委員だ。関係者によると、

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