川本裕司
2010年11月20日
アサヒビール相談役だった福地氏が会長に就任する8日前の08年1月、NHKでは記者やディレクターら3人が自社の特ダネ情報をもとにインサイダー株取引をしていたことが発覚。度重なった不祥事のなかでも最大級の汚点だった。19年ぶりにNHKの外部から登用され福地氏は、就任会見で「崖っぷちに立っている」と表現した。
放送やジャーナリズムとは無縁だった経済人の手腕が問われたが、報道や制作の現場に口出しをせず、自由な番組づくりの場を確保した。最大の使命としたコンプライアンス(法令順守)については、今年10月にスポーツ部記者による捜索情報漏洩が起こるなど根絶はしていない。しかし、受信料支払いの拒否件数を減らし続けることに成功、視聴者からの信頼回復に道筋をつけた点での評価はNHK内外で高い。
福地氏は高齢であることを理由に、就任直後から1期3年で退任する意向を漏らしていた。09年9月には、福岡市内の講演で「年が年だから3年で堪忍してもらえればと思っている」と表明。11月から12月にかけて経営委員に「やらなければいけないことは行った。引き際があれば身を引きたい」と述べ、任期満了前の辞意を明らかにした。結局、慰留を受け入れて会長職を続けてきたが、今月4日の定例記者会見で続投の意思がないことを明確に述べた。
NHK会長を任命するのは12人いる経営委員だ。関係者によると、
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