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これはK-POPブームなのか?

澁谷知美

澁谷知美 東京経済大准教授(社会学)

 毎度、編集部のネタふりにたてつくようで申し訳ないが、まずは、『朝日新聞』10月31日の速水健朗氏の書評をもとに書かれたとおぼしきリード文「東方神起〔中略〕は日本で育った」へのツッコミから。

 「韓国やアジア圏での東方神起の人気は、日本が育てた」ということを意味しているとしたら、事実誤認である。東方神起は、2004年の韓国でのデビュー初年度に日本の約197万枚に匹敵する76万枚の音楽ソフトを売り上げ(「YONHAP NEWS」2006年11月14日)、あらゆるチャ-ト番組で何度も1位を獲り、各局の歌謡祭で賞を総ナメにし、サムスンほか大手企業のCMに出演して、韓国での人気を不動のものにした上で2005年4月に日本デビューしている。また、韓国・日本以外のアジア圏と、日本で人気に火がつくのに、大きな時差はない。「韓国やアジア圏での東方神起の人気は、日本が育てた」というのは、たんに間違っているのみならず、韓国の手柄を日本のもののように書く点で「大日本帝国」的だ。

 「日本での人気は日本が育てた」という意味なら、何もいっていないのと同じ。日本で人気が出るよう日本のレコード会社がアーティストを育てるのは当たり前だからだ。

 こうしたツッコミどころのある記事が出回ることも含めて、今、K-POPブームなのだろうな、と思う。これまでK-POPに見向きもしなかった大メディアがK-POPを取りあげている。先日はNHKの『クローズアップ現代』が特集を組んだ(2010年11月16日。ただし未見)。誰もがK-POPに魅了され、語りたがっていることを実感する。

 一方でこうも思う。今ある流れは、本当にK-POPブームなのだろうか? 私たちが享受しているのは、マイルドな韓国料理のように、日本人向けに味付けされた〈K-POP〉なのではないだろうか? 「K-POPはなぜ日本ではやるのか」というお題の前提そのものを疑うべきではないだろうか?

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筆者

澁谷知美

澁谷知美(しぶや・ともみ) 東京経済大准教授(社会学)

東京経済大准教授。1972年大阪市生まれの千葉県育ち。東大大学院教育学研究科博士課程修了。専門は社会学および教育社会学、主な研究テーマは男性のセクシュアリティの社会史。単著に『日本の童貞』『平成オトコ塾 悩める男子のための全6章』『立身出世と下半身 男子学生の性的身体の管理の歴史』、共著に『性的なことば』などがある。【2015年6月WEBRONZA退任】

 

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