メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

情報流出で頑なな警察の姿勢が広げる波紋

緒方健二

緒方健二 元朝日新聞編集委員(警察、事件、反社会勢力担当)

 毎週木曜日の午前中、国家公安委員会が警察庁で開かれます。国家公安委員会は、警察庁を管理する機関です。国務大臣の委員長(現在は民主党の岡崎トミ子参院議員)のほか5人の委員が、管理下に置く警察の業務内容をチェックしています。具体的には、発生した事件の概要や犯罪対策などについて警察庁側から報告を受けて論議します。そのまま了承することもあれば注文をつけることもあります。委員会終了後に委員長と警察庁長官による記者会見があり、その日の委員会の内容を説明します。

 12月2日の会見で私は、警視庁の内部資料とみられる国際テロ関係の情報がインターネットに流出した問題への対応を問いました。警視庁がこの問題を把握した10月29日から1カ月以上経った。警視庁と警察庁は調査を続けているというが、どこまで解明できたのか。11月25日には東京の出版社「第三書館」が流出情報をほぼそのまま掲載した本を出版した。騒ぎは大きくなっている。調査の進み具合と今後の見通しを聞いたのです。安藤隆春・警察庁長官の回答はこうでした。語尾の「です」「ます」を改めた以外は、発言そのままです。

 「現在鋭意調査中である。調査は、ネット上に掲出されたデータが警察が作成または保管しているデータであるか確認するため、関連しうるコンピュータについて、個人で保有しているものまで含めて現在詳細な調査を行っている事に加え、関係所属の職員からの聞き取りを従前在籍していた者も含めて行うなど公安部で集中的に取り組んでいる。お尋ねの調査進捗状況と今後の見通しについては、現在調査中であるのでお答えを差し控えたいが、いずれにしても事実の究明に全力で取り組んでいるということを申し上げたい」

 つまり流出情報が本物かどうかもまだ確認できていない。警察官、職員が私用で使うパソコンまで召し上げて調べている。いつ調査が終わるかわからない、とのことでした。第三書館の本については触れませんでした。

・・・ログインして読む
(残り:約2951文字/本文:約3764文字)