川本裕司
2010年12月20日
著者の「ワイアード」誌編集長は、無料経済の歴史をたどったうえで「有料コンテンツの終焉」を宣告した。そのうえで、少数の有料利用者が多数の無料利用者を支えるオンラインゲーム型の「フリーミアム」モデルへの注目を表明した。米大手メディアはネットに無料でコンテンツを出したのは間違いだったとして、フリーミアムに移行しつつある。
「デジタル社会の潮流」に焦点をあて、発売2週間前から10000人にPDFで無料公開して話題を呼んだ『フリー』に続くヒット再現をめざし18日、同じNHK出版から刊行されたのが『シェア』だ。都内の書店でのテスト販売やツイッターなどネット上での話題から、22日の2刷がすでに決まった。初版とあわせ計45000部と幸先のいい出足となっている。
『フリー』と同じくインフォバーンCEOの小林弘人さんが、監修と解説を手がけている。
ブロガーら120人を招き1日に開かれた出版記念イベントで、小林さんは「企業・ビジネスから消費者に主導権が移ってきた」と話し、「シェアリングエコノミー(共有経済)」が新しい流れになっている、と指摘した。
『シェア』の著者であるビジネスコンサルタントのレイチェル・ボッツマンとアントレプレナーのルー・ロジャースは、地縁やインターネットを利用して結びついたコミュニティで共有する「コラボレーション消費」の可能性を強調している。
そのモデルとして、(1)車や自転車、ブランド品などの製品をシェアするサービス(2)子供服などの無料交換やポイント交換などによるモノのリサイクル再利用(3)お金や技術、手助けなどにかかわるライフスタイルのシェア、をあげている。地球環境への負担を減らしながら物の価値を消費する底流を指摘している。
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