川本裕司
2010年12月24日
「海老蔵さんは(暴走族のリーダー格の)男性に髪の毛をつかんで持ち上げていた。泥酔した人を無理やり連れ回している感じだった」「海老蔵の方が加害者のように見えた」
歌舞伎俳優・市川海老蔵さんが11月25日未明、東京・西麻布の飲食店ビルで殴られ顔に重傷を負った事件は、発生から約1週間後から「飲食店の関係者」や一緒に飲んでいた元暴走族リーダーの「関係者」の証言が、テレビや週刊誌、スポーツ紙などに次々と取り上げられるようになった。単なる傷害事件が事件から1カ月となる今も大きく報じられるのは、視聴者や読者からの反響が大きいからだが、過剰報道への批判が高まっている。
ある民放の報道局員は言う。「海老蔵さんの事件を放送すると、たしかに視聴率が高くなる」
12月7日午後8時から開かれた退院直後の海老蔵さんの記者会見を伝えた、午後9時からのNHK「ニュースウオッチ9」は視聴率が14.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。前4週の平均10.8%に比べ大きく跳ね上がった。
この事件のテレビ報道について、服部孝章・立教大教授(メディア論)は「会見当日は学力テストの国際比較など取り上げるべきトップニュースがあったのに、会見を延々と伝えていた。事件報道ではなくてスキャンダリズムに染まっている」と批判する。
ある放送関係者は「海老蔵さん事件については『ワイドショーなどで長々とやりすぎだ』という苦情が数多く寄せられている」と言う。
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