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2011年の消費のキーワード、それは間違いなくシェアであろう。クルマを所有せずにカーシェアリングするとか、ワンルームマンションを一人で借りるのではなく、住居を複数の人でシェアするなどの動きも増えている。

 郊外のマンションでも買い物用の小型車をシェアできる物件があるそうだ。たしかに都心で車のない暮らしをしていた若い夫婦が結婚、出産で突如郊外に引っ越した場合、カーシェアリング付きのマンションなら、車を買わなくて済むので経済的に楽だ。今の時代にふさわしい。

 交通エコロジーモビリティ財団によると、こうした組織的なカーシェアリングは、1980年代後半にスイスで始まったらしいが、2006年時点では欧米を中心に世界18カ国、600都市で運営されており、利用者人口は348,000人、車両数は11,700台に達している。わが国では、2010年1月時点で、会員数1万6177人だという。主要なカーシェアリング会社として、タイムプラス、オリックスカーシェアリングなどがあるという。

 私が2010年に行った調査でも、自動車は共有でいいという女性(一都三県、20-30代)は25.4%いた。東京都の「自動車利用と環境に関する世論調査」(2010年)でも、14.4%が今後カーシェアリングを利用したいと回答しているが、20代の女性では20%が利用したいと回答しており、若い人ほど回答率は多い。また、男性では20代から40代で17%から18%の人が利用したいと回答している。

 車は、これまでの戦後大衆消費社会の中で豊かさのシンボルだった、中流生活のシンボルだったと言ってもよい。自動車と郊外の一戸建て住宅こそは、日本が学んだアメリカの戦後の大衆消費社会の推進力だったからだ。マイカーを私有するということが、戦後の中流にとっての大きな喜びでもあった。しかし、環境問題への対応が急務となった今、自動車への過度な依存は避けられねばならない。そういう観点からもカーシェアリングが進むことは間違いない。

 車と並んで戦後大衆消費社会の中で豊かさのシンボルだった住宅も、シェア化の方向が強まってきた。住宅のシェアについては、 ・・・ログインして読む
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筆者

三浦展

三浦展(みうら・あつし) 三浦展(消費社会研究家、マーケティングアナリスト)

消費社会研究家、マーケティングアナリスト。1958年生まれ。一橋大社会学部卒業。情報誌『アクロス』編集長や三菱総合研究所主任研究員を経て、消費・都市・文化研究シクンタンク「カルチャーズスタディーズ研究所」主宰。著書に『「家族」と「幸福」の戦後史』『下流社会』『ファスト風土化する日本』『シンプル族の反乱』『マイホームレス・チャイルド』など。

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