倉沢鉄也
2011年01月04日
とはいえ、やはり報道は何かを期待して、メディアビジネスの新しい出来事を、「○○元年」と名づけてきている。2010年は、電子書籍(出版)元年、デジタル教科書元年(2011/11/08拙稿ご参照)、3D(テレビ)元年、というかけ声ではあったと思われる。グーグルで「2010年 元年」と検索してみると、タブレットPC元年、クラウド元年(このあたりまでは妥当か)、Androidビジネス元年(2009年末の表現としては若干お手つき)、音声ビジネス元年(視認できず)、カーシェアリング元年(予約や管理で若干ITがからむ)、ではあった。
3D元年は、地デジ買い替え、薄型テレビ消費が山を越えて、それもエコポイント狂騒曲で需要はすべて吐き出した年でもあり、あまりにもタイミングが悪かった。テレビは、10年に一度、壊れて買い換える商品なのだから。その元年が終わると、10年前から予告されていた「2011年7月24日」がやってくる。地上波アナログだけでなく、BSアナログ(BS-7、BS-11)も停波して、テレビ放送電波は全部デジタルになる。
エコポイントでも地デジカでもデジタルどーもくんでも絶対に買い換えない、買い換えられない人たちが、まだ百万世帯の規模で存在している。自動車に積まれた数百万台、病院やホテルの数十万台、のアナログテレビがある日突然ゴミになる。ゲジゲジのアナログアンテナも全部ゴミになる。リサイクルの義務があるテレビだが、無法者はいくらでも出るだろう。「2011年7の月、家からゴミがわいてくる」の是非については拙稿「延期は半年、政府は財政出動で完全普及を」(2010/07/31)をご参照いただきたい。
再来年も続くかもしれない完全地デジ元年など忘れて、2011年のメディアビジネスは何の元年だろうか。
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