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メディアビジネスの元年さがしは続く

倉沢鉄也

倉沢鉄也 日鉄総研研究主幹

メディアビジネスが世界的に煮詰まって久しい。メディアコンテンツとは、必需品と娯楽のどちらかでしかなく、偉大なブロードバンドと携帯電話のおかげで世界中の人たちの「可処分時間」「支払金額」「コミュニケーション」は埋め尽くされようとしている。キラーコンテンツ探しという言葉も、もうさすがに日本で聞かれなくなった。この5年ほど、メディアビジネスで新しく行われたことは、今ある映像や音楽や書籍や日記やツブヤキを少し目新しく見せることに成功した、ということで総括してよいだろう。仕事として20年近くこの分野を見ていて、これらで「革命」を語るのは無理がある。ドキドキもワクワクもしなくなってしまった。

 とはいえ、やはり報道は何かを期待して、メディアビジネスの新しい出来事を、「○○元年」と名づけてきている。2010年は、電子書籍(出版)元年、デジタル教科書元年(2011/11/08拙稿ご参照)、3D(テレビ)元年、というかけ声ではあったと思われる。グーグルで「2010年 元年」と検索してみると、タブレットPC元年、クラウド元年(このあたりまでは妥当か)、Androidビジネス元年(2009年末の表現としては若干お手つき)、音声ビジネス元年(視認できず)、カーシェアリング元年(予約や管理で若干ITがからむ)、ではあった。

 3D元年は、地デジ買い替え、薄型テレビ消費が山を越えて、それもエコポイント狂騒曲で需要はすべて吐き出した年でもあり、あまりにもタイミングが悪かった。テレビは、10年に一度、壊れて買い換える商品なのだから。その元年が終わると、10年前から予告されていた「2011年7月24日」がやってくる。地上波アナログだけでなく、BSアナログ(BS-7、BS-11)も停波して、テレビ放送電波は全部デジタルになる。

 エコポイントでも地デジカでもデジタルどーもくんでも絶対に買い換えない、買い換えられない人たちが、まだ百万世帯の規模で存在している。自動車に積まれた数百万台、病院やホテルの数十万台、のアナログテレビがある日突然ゴミになる。ゲジゲジのアナログアンテナも全部ゴミになる。リサイクルの義務があるテレビだが、無法者はいくらでも出るだろう。「2011年7の月、家からゴミがわいてくる」の是非については拙稿「延期は半年、政府は財政出動で完全普及を」(2010/07/31)をご参照いただきたい。

 再来年も続くかもしれない完全地デジ元年など忘れて、2011年のメディアビジネスは何の元年だろうか。

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筆者

倉沢鉄也

倉沢鉄也(くらさわ・てつや) 日鉄総研研究主幹

1969年生まれ。東大法学部卒。(株)電通総研、(株)日本総合研究所を経て2014年4月より現職。専門はメディアビジネス、自動車交通のIT化。ライフスタイルの変化などが政策やビジネスに与える影響について幅広く調査研究、提言を行う。著書に『ITSビジネスの処方箋』『ITSビジネスの未来地図』など。

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