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日本のバージョンアップを計る大会

潮智史

潮智史 朝日新聞編集委員

4年に一度、アジア王者を決めるサッカーのアジアカップが7日に開幕する。16の各国代表チームがカタールに集まり、4チームずつ4組に分かれた1次リーグのあと、各組上位2チームずつによる計8チームの決勝トーナメントで優勝を争う。約3週間となる長丁場だ。

 日本代表のザッケローニ監督にとっては初めての公式大会だ。今年秋からの2014年ワールドカップ(W杯)ブラジル大会予選に向けて、彼自身がアジアを知る貴重な機会。日本の力をより深く知り、東西に長いアジア特有の難しさをつかむ場でもある。チームづくりの上でも、ひとつでも多く試合を重ねることが大切になるだろう。

 ただ、日本にとっては酷な日程である。2010年シーズンは元日決勝の天皇杯全日本選手権で幕を閉じたが、Jリーグでプレーする選手たちは十分な休みを取れないまま、疲労をため込んでの参加となる。海外組はシーズンを半分ほど折り返したところ。さらにW杯南アフリカ大会で過密日程に拍車がかかっている状態だ。実際に、アジアカップ前の国内合宿に選手は五月雨状態で集まり、最終的に全23人がそろったのはカタール・ドーハ入りしてから。戦術的な練習に十分な時間を割く余裕はなく、コンディション調整も難しい。ザック色をどう出していくのかが注目されるが、そこまでのチームづくりは期待できないかもしれない。日本サッカー協会の原技術委員長は「タイトルを目指してやってもらいたい」と話しているが、ザッケローニ監督自身は「2010年の成長の流れを止めないことが大切」とやや慎重な構えを見せている。

 現実的には、1次リーグの3試合をこなしながらチーム内の呼吸を合わせていくことになるだろう。それだけに、チームを作り上げていく選手の能力がそのまま試されることになる。互いの持ち味を感じ取り、細かいパスや攻守のバランスやさじ加減を微調整していく。対戦相手との力量の差や試合の流れを敏感に受け止めながらの高度な作業だ。ただ、この手のチームづくりは欧州や南米の強豪国なら常に当たり前のように繰り返していること。そろそろ、日本もそういう領域に足を踏み込んでほしいと思う。ベスト16に勝ち進んだW杯を経て、日本のチームと選手はどこまでバージョンアップしたのか。それを計るにはもってこいの大会といえそうだ。

 なかでも、試練と同時に期待も集めるのは守備陣になる。

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筆者

潮智史

潮智史(うしお・さとし) 朝日新聞編集委員

朝日新聞編集委員。1964年生まれ。87年入社。宇都宮支局、運動部、社会部、ヨーロッパ総局(ロンドン駐在)などを経て現職。サッカーを中心にテニス、ゴルフ、体操などを取材。サッカーW杯は米国、フランス、日韓、ドイツ、南アフリカ、ブラジルと6大会続けて現地取材。五輪は00年シドニー、08年北京、12年ロンドンを担当。著書に『指揮官 岡田武史』『日本代表監督論』。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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