大矢雅弘
2011年01月19日
住民投票で市長が解職された鹿児島県阿久根市の出直し市長選で、市長のリコール運動を進めた住民団体元役員で新人の西平良将氏が、返り咲きをめざした前職、竹原信一氏を破って初当選した。
阿久根市ではわずか2年半の間に、市長選が3度、出直し市議選と住民投票がそれぞれ1度ずつ行われるという異例の混乱が続いていた。
市議を経て2008年の市長選で初当選した竹原氏が市政に持ち込んだのは、「市職員や議員が厚遇されすぎ」という、ねたみのような感情に訴えて支持を広げる典型的なポピュリズム(大衆迎合主義)の政治スタイルだ。市職員や議員を「改革の抵抗勢力」である「敵」と位置づけ、味方である支持者と二分し、自らは市民の味方として敵と戦うのだと訴える。
竹原氏は議会との対立で2度の不信任決議を受けて失職し、09年5月の市長選で再選された。それ以降、竹原氏の独善的な市政運営は勢いづいた。
竹原氏は市職員賞与の大幅削減や議員日当制(日額1万円)の導入などを専決処分で決めた。こうしてひねり出した2億2千万円で、ごみ袋半額化や保育料、窓口手数料の値下げ、来年度からの固定資産税減税に踏み切った。
大半は専決処分で実現したのだが、市民には「恩恵」と映ったのだろうか。
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください