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独善的な「改革」を阿久根市民が否定した

大矢雅弘

大矢雅弘 ライター

議会を開かずに専決処分を繰り返す、独善的な「竹原流改革」にようやく終止符が打たれた。

 住民投票で市長が解職された鹿児島県阿久根市の出直し市長選で、市長のリコール運動を進めた住民団体元役員で新人の西平良将氏が、返り咲きをめざした前職、竹原信一氏を破って初当選した。

 阿久根市ではわずか2年半の間に、市長選が3度、出直し市議選と住民投票がそれぞれ1度ずつ行われるという異例の混乱が続いていた。

 市議を経て2008年の市長選で初当選した竹原氏が市政に持ち込んだのは、「市職員や議員が厚遇されすぎ」という、ねたみのような感情に訴えて支持を広げる典型的なポピュリズム(大衆迎合主義)の政治スタイルだ。市職員や議員を「改革の抵抗勢力」である「敵」と位置づけ、味方である支持者と二分し、自らは市民の味方として敵と戦うのだと訴える。

 竹原氏は議会との対立で2度の不信任決議を受けて失職し、09年5月の市長選で再選された。それ以降、竹原氏の独善的な市政運営は勢いづいた。

 竹原氏は市職員賞与の大幅削減や議員日当制(日額1万円)の導入などを専決処分で決めた。こうしてひねり出した2億2千万円で、ごみ袋半額化や保育料、窓口手数料の値下げ、来年度からの固定資産税減税に踏み切った。

 大半は専決処分で実現したのだが、市民には「恩恵」と映ったのだろうか。

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