松瀬学
2011年02月02日
ゲームとしてはオモシロかった。三洋電機もサントリーもボールをはやく動かし、互いにブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)でからだを張った。三洋は「我慢の勝利」である。「防御」と「ブレイクダウン」で我慢し、イッキにカウンター攻撃を仕掛けた。
ラグビーでは攻守を転じることを「ターンオーバー」という。三洋電機はこれがうまい。突っ込んでラックをつくりにくるサントリーに対し、三洋の選手はあまり倒れない。タックラーが相手を倒す際、すかさず二人目がボールに絡み、奪い返す。元ニュージーランド代表のSOトニー・ブラウンなど、反則ぎりぎりの位置からボールに仕掛けていく。
ひと言でいえば、ブレイクダウンでの「経験値」が高いということになる。ここぞと言う時の集中力、とっさの判断力、集散・結束力に長けているのである。後半の中盤。ゴール前のラックからモールをつくり、FW、バックスの11人が一体となって押し込んだ。
ゴールも決まって17点差。これで三洋の飯島均監督は勝利を確信したという。SOブラウンも、主将の霜村誠一もモールに加わった。トライへの執着、仲間との結束、勝利への欲求。流れの中で人数を増やしながら、まっすぐ押していくのは意外と難しい。
収穫は、WTB山田章仁の活躍である。ユニークな髪形をなびかせながら、トライを挙げた。MVPにも輝いた。引退した大畑大介に似たスター性を持つ。是非、ジャパンに抜てきしてもらいたいものだ。
慶応を卒業し、ホンダから今季、三洋に移籍してきた。25歳の山田は意気盛んだ。
「大きな舞台が好きなんです。期待されると、ぼくは頑張っちゃうんです。(ジャパンに)いきたい。日本選手権でもっとアピールしたいナと思います」
プレーオフ準決勝では、三洋電機がトヨタ自動車を、サントリーが東芝をそれぞれ破っていた。試合をみて思うのは、同時出場3人までとなった外国人選手の能力の高さである。とくにピンチ、チャンスで目立つ。
サイズもだが、
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