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捜査機関の人事評価の抜本的改革に着手を

倉沢鉄也 日鉄総研研究主幹

 捜査の一部可視化は、違法捜査のチェックに効果があるか。それは捜査権の行使という点で警察も検察も本質的に同じ課題を抱えている。とくに取り調べに関するこの課題は、昨年の検察特捜部にはじまった課題ではなく、警察において富山事件、志布志事件といった冤罪への対応で数年前から取り組まれてきている議論の延長上にある。

 筆者は、この分野は本来門外漢に近いが、とある縁から、ある警察幹部(本当の中枢)の方と私信を交える機会があり、その際に筆者の思ったところを述べる。本来はその方の論文も参照文献として明示すべきところ、匿名とする旨あらかじめお断りさせていただく。

 日弁連の言う取調べの全録音・録画は、戦前以来の捜査機関に対する不信を前提としている。行政組織である捜査機関側の対応としては、刑事訴訟法で国会から権限を与えられている以上、自らの是非について判断することを許されていないのだから、あとは具体策として、取り調べに対する監督の強化、時間管理の厳格化、適正手続を担保する措置、担当者の教育啓発による意識向上、などを講じるより手立てはない。捜査機関を信頼できるかできないかは上記事件の再発の有無で論じるべきであり、批判する側も主観的判断に慎重になる必要がある。また実務上は証拠として裁判員裁判に対して与えるインパクトも大きく、裁判官も含めて冷静な判断を要する難しい証拠として議論していくべきであろう。以上のことは、すでに警察内部で取り組まれているという。その取り組み自体は、まずは信用するところから始めたい。

 さて筆者が素人目線で考えたとき、やはりこの取り組みの最大の難関は、現場の捜査官たちの士気の低下の防止、違法ではないこと、真相究明に最も効果的な取り調べであること、の3つを同時にどうやって成り立たせるのか、の制度設計にあると思った。それは報道機関のヤラセ問題や数々の企業の不祥事や相撲の八百長問題と同じく、現場の士気高揚だけで解決した事例はついぞないからだ。

 素人目には、逮捕から起訴の割合や件数などが実質的な足かせあるいはノルマになっているようにも思える。それが人事評価(出世、ボーナス)などに直結しているのではないかと勘ぐる見方もあろう。実は私もそう思っていた。しかし、

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筆者

倉沢鉄也

倉沢鉄也(くらさわ・てつや) 日鉄総研研究主幹

1969年生まれ。東大法学部卒。(株)電通総研、(株)日本総合研究所を経て2014年4月より現職。専門はメディアビジネス、自動車交通のIT化。ライフスタイルの変化などが政策やビジネスに与える影響について幅広く調査研究、提言を行う。著書に『ITSビジネスの処方箋』『ITSビジネスの未来地図』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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