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2010年の国勢調査の結果速報が発表された。すでにわが国の人口は2006年から減少しているはずなのに、今回の調査では人口が2005年よりも28万8千人増加した。

 これは専門家筋によると、2005年の国勢調査の補足率が低すぎたという影響もあるらしい。つまり国勢調査に回答しなかった人が多かったのだ。実際、東京都心部に住む私の知人から聴いた話だが、彼の近所に住む人が調査員をしていて、調査担当地域内のあるワンルームマンションの住民全員が回答しなかったという。オートロックだったり、昼間働いている人が女性でも増えているためと思われる。国の調査だからまじめに答えようという意識が低下しているという面もあるらしい。

 そこで、2010年の国勢調査では東京都に限りインターネットによる回答を可能にしたため、補足率は上昇したようだ。そのせいもあるのか、都道府県別の人口増加数を見ると、東京都だけで58万5千人、23区内だけで46万人も増加している。これはもちろん東京都心、湾岸部などにおける高層マンションの建設のためだが、そういう高層マンションの住人ほど国勢調査に答えない傾向があったので、インターネットによる回答を可能にしたことで、彼らが答えやすくなったことの影響は大きいと思われる。

 ちなみに東京都以外で増加したのは神奈川県(25万8千人)、千葉県(16万1千人)、埼玉県(14万1千人)など7府県のみ。1都3県だけで114万5千人増加したのであり、残り39道府県では減少している。言うまでもなく、地方では高齢化が進み、若い人は少ないために、出生数より死亡数が多いためである。

 都市別だと、先述したように東京23区が46万人増の他、横浜市が11万人、川崎市が9万9千人増加しており、合計56万9千人増。1都3県のほぼ半数がこの3都市で増加している。増加率では川崎市が7.4%と大きいが、これは多摩川沿いなどを中心として高層マンションの建設が進んだためである。

 こうして見ると、今や日本の人口は極度に東京の都市部に集中してきており、その増加を高層マンションが支えていると言える。いや、因果関係で言えば、都心の高層マンション建設を増やしたために、都市部への集中が進んだと言ったほうが正しいだろう。

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筆者

三浦展

三浦展(みうら・あつし) 三浦展(消費社会研究家、マーケティングアナリスト)

消費社会研究家、マーケティングアナリスト。1958年生まれ。一橋大社会学部卒業。情報誌『アクロス』編集長や三菱総合研究所主任研究員を経て、消費・都市・文化研究シクンタンク「カルチャーズスタディーズ研究所」主宰。著書に『「家族」と「幸福」の戦後史』『下流社会』『ファスト風土化する日本』『シンプル族の反乱』『マイホームレス・チャイルド』など。

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