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人間として真剣な力士を見たい

三浦展

三浦展 三浦展(消費社会研究家、マーケティングアナリスト)

日本大相撲トーナメントが中止になり無人となった国技館=2月6日午後0時10分、東京・両国の国技館、福岡亜純撮影
 大相撲八百長問題については、私ははっきりと、どうでもよい、くだらない問題だと思っている。たまたま携帯メールという物証が残るやり方でばれてしまったから大問題になってしまったが、固定電話や直接会っての交渉であればばれなかったはず。これは京大受験生がインターネット経由でカンニングしたためにばれてしまったのと同じで、古典的なカンニングペーパーならばれなかったかもしれないし、ばれてもマスコミで大騒ぎにはならなかった。

 ばれなければいいのか、と言われるかも知れないが、大相撲の八百長程度なら、ばれなければそれでいいのである。こんなことでマスコミが大騒ぎする必要はない。つまらない真剣勝負よりも、見て面白い八百長のほうがいいだろう。八百長の取り組みだといわれる一番を見ても、知らなければ八百長とはわからないし、むしろ八百長だとばれないようにしているから、かえって相撲としては面白いくらいだ。たしかにあまり力が入っていないように見えるが、それは八百長以外の相撲にもある。

 金が絡んでいなくても、情が移って負けてやることもある。情より勝負を重んじた先代若乃花は、だからこそ「土俵の鬼」と呼ばれたのだ。普通の力士は鬼にはなれぬ。ということは、

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