小滝ちひろ(朝日新聞奈良総局編集委員、福島県いわき市出身)
2011年04月22日
東日本大震災で、これまでいわきの現状をリポートしてきた記者が(http://astand.asahi.com/magazine/wrnational/special/2011033000005.html)、アウトドア用品メーカーがつくったボランティア組織に参加して、石巻、女川などの被災地をまわった。新たなボランティア組織の支援が始まっている(写真=筆者)。
アウトドア用品メーカーのモンベル(本社、大阪市西区)が「アウトドア義援隊」を始動させたのは、震災直後の3月12日だった。日本のトップクライマーでもあるオーナー、辰野勇会長が即決した。自社製品の供出に加え、同業他社などにも呼びかけて救援物資を集めた。それを被災地へ送るボランティア組織だ。
この時、ホームページやメールマガジンなどで個人による少量の物資提供も呼びかけた。こまかな仕分けをする余力のない被災地の行政は、企業や団体のまとまった物資しか受け入れない。しかし、辰野さんは「被災直後の行政はパニックに陥っているから、さばけない。こんな時は身動きが取れる企業の出番。誰かを救いたいという個人の思いが詰まったものも届けたい」と訴えた。
石川県内にある流通センターを集積地、仙台市中心部にあって比較的被害の少なかった店舗を前線基地として活動を開始。宮城県の石巻市、気仙沼市、南三陸町、岩手県の陸前高田市などの避難所へトラックやバンを走らせ、物資を送り届けた。
テント、寝袋、防寒衣料、下着、靴下、生理用品、食料……大量のものがそれこそ津波のように押し寄せ、1週間後、体勢は大幅な修正を迫られた。被災地の中にある仙台店ではさばききれなくなったのだ。
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