倉沢鉄也
2011年04月28日
活気ある暮らしは、ある意味で被災者以外の消費者一般の責任であるが、消費の気分を作っているのは「メディア」であり、具体的にはコマーシャル以外も含めたテレビコンテンツ、屋外広告を中心とした都市の風景、コンビニとスーパーの品揃えを中心とした店の風景、の責任である。GDPの6割は個人消費であり、今挙げた「メディア」のメッセージが必要最小限以外のものを消費者に買わせ、景気を支えてきた、インターネット程度で消費者は賢くなどなっていない、という歴史的事実をきちんと認識する必要がある。モノが売れるまでは「売らんかな」のメッセージに支出しないという本末転倒の考え方が、「失われた10年」を生み出してきたことを、とくに消費財メーカーの経営者とその株主たる機関投資家は、今度こそ認識していただきたい。
とはいえ、モノがなければ売りようがない商品もある。被災地以外の日本の消費者とくに首都圏の消費者にとって、阪神淡路や新潟中越沖の震災とやや違うのは、アラブの不安定な状況も加えて、石油と電気についてエネルギー供給の逼迫がまだしばらく続き、それが生産と消費の停滞をおそらく今年いっぱい程度もたらすことである。弊社藤井英彦の指摘するように(WebRonza 2011年4月4日「懸念される資源需給の逼迫」)、生産設備(輸出)も消費マインド(輸入)も比較的短期に復帰すると思われるが、その動力源であり潤滑油でもあるエネルギーの課題はしばらく解決しない。
ようするに気分以前の問題として、若干のモノ不足・サービス不足のライフスタイルをどう送るのかが、短期的な課題となる。しかし
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください