三浦展(みうら・あつし) 三浦展(消費社会研究家、マーケティングアナリスト)
消費社会研究家、マーケティングアナリスト。1958年生まれ。一橋大社会学部卒業。情報誌『アクロス』編集長や三菱総合研究所主任研究員を経て、消費・都市・文化研究シクンタンク「カルチャーズスタディーズ研究所」主宰。著書に『「家族」と「幸福」の戦後史』『下流社会』『ファスト風土化する日本』『シンプル族の反乱』『マイホームレス・チャイルド』など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
三浦展
しかし現在の社会では、そうしたリスクが現実になった場合、店側が一切の責任を負うことになっている。それもまあ当然なのだが、消費者がそのことにあぐらをかいて、店で出しているんだから安全だろう、リスクはないだろう、何かあっても店が補償するだろうと思って食事をするのは、消費者自身が少し怠け過ぎじゃないかと私は思う。
そもそもそんなにユッケを食べる人がいるのかといぶかしく思ったが、事件に関するNHKニュースを見ると、20-30代でユッケを食べる人がとても多いのだそうだ。何を食べようと自由だが、そんなにユッケが好きなのは、おそらく子ども時代から柔らかい物ばかり食べてきたからじゃないかと思えてならない。肉を噛み切ることすら面倒くさくなったんじゃないか。そしてリスクを考えることも面倒くさいのだ。ただ金を出して与えられる物を食べる。それではペットとあまり変わりがない。われわれは、食べることにはいろいろなリスクがあるということを忘れるべきではないのだ。
私はファストフードをほとんど食べないが、それは