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iPad 2は「コンテンツビジネス」の扉を開く

西田宗千佳

西田宗千佳 西田宗千佳(フリージャーナリスト)

iPad 2は、アメリカから遅れること1カ月で日本でも発売された。アップルファンにとっては「待ちに待った」ものだし、完成度も高い。まだ重いと感じるが、それでも、初代のiPadに比べ軽くなっているし、持ちやすい。なにより、動作速度の改善やカメラ・ジャイロセンサーの搭載など、「iPhoneなら当たり前なのにiPadではできなかった」ことの多くが可能になった点が大きい。使い比べてみると、完成度が高いと感じたiPadも「試作品」じみたところがあり、iPad2はクオリティの高い「現状での完成品」といった印象すらうける。

 日本では電子書籍ばかりが注目されるiPadだが、むしろその本質は「個人向けコンピューター市場の再構築」にある。パソコンは便利なものだが、本やゲーム、映像などを気軽に楽しむには「最適な存在」とは言い難い。リビングのソファーでリラックスしながら見るなら、ノートパソコンの形状よりもiPadのような板状(タブレット型)が良い。パソコンや携帯電話では埋められない「リビング」などのリラックスした空間に入っていけるコンピューターとして、iPadのような「タブレット型」の可能性が着目された、というのが、この1年間に起こったこと、といってもいいだろう。

 アップルはそこにいち早く気がつき、iPad向けのアプリ市場を作りつつ、改良版ハードとして「iPad2」を開発してきた。他のメーカーも、それを追いかけてタブレット端末を開発している。その多くが採用しているのは、スマートフォンでもおなじみのAndroidだ。

 ただし、Androidのタブレットには、まだ足りない部分が多い。それは「アプリ」と「コンテンツ」だ。ハードとしてはよくできているものの、現状のAndroid向けアプリはスマートフォン向けがほとんどで、タブレット端末向けではない。また、アップルが自ら映像や音楽の配信を行っているiPadに対し、Androidではそういったコンテンツが少ない。

 ウェブやメールを使う場合、パソコンとタブレット端末は善し悪しが半ばする。仕事をするなら圧倒的にパソコンの方が有利であり、コンテンツを楽しむならタブレットの方がいい。コンテンツが足りないとタブレットの魅力が失われることになるわけだ。日本で、iPadはアメリカほど成功していない。その理由は様々だが、映像配信や電子書籍などのコンテンツが、アメリカに比べ未整備であったことも影響しているはずだ。

 ソニーは秋にタブレット端末を発売するが、

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