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若返りの陰で進む読売グループの権力集中

川本裕司

川本裕司 朝日新聞社会部記者

日本テレビで19年間にわたりトップに君臨してきた氏家斉一郎会長(84)が3月28日に死去、さらに読売新聞のナンバー2だった内山斉・読売新聞グループ本社社長(76)の退任で、読売グループは大幅な首脳人事を断行した。

 6月7日に、読売新聞グループ本社と同東京本社の両社長に就任するのは、白石興二郎・グループ本社執行役員論説担当兼東京本社専務論説委員長(64)。日本テレビ社長には6月29日、大久保好男取締役(60)が昇格する人事を5月12日に発表した。白石、大久保両氏とも読売新聞政治部出身だ。

 激震が走ったのは、4月20日に内山氏が日本新聞協会会長を一期2年限りで6月に辞任することを、協会の運営委員会で表明し、読売新聞グループ本社社長も退くことを内々に打ち明けたことだった。任期は6月15日の会員総会までだったが、読売の社長任期が切れる6月7日付での協会長辞任を申し出て、同日付で小坂健介副会長(信濃毎日新聞社取締役相談役)が会長代行となることも決まった。

 辞任の理由として、「病気の妻の看病」をあげ、自身の体調もすぐれないと説明したという。

 内山氏の新聞協会長退任が報じられた翌朝、読売グループのある幹部は「退任は初めて聞いた。理由は全く知らない」と緊張した声で話した。別の幹部は「病気の奥さんの介護のため、と聞いた。本人の体調も良くない」と語った。

 5月半ば、都内で読売新聞の最高首脳に直接、聞いた。

 ――内山社長が新聞協会長を辞める理由は。

 「病気だ」

 ――内山社長の妻が重病と聞いたが。

 「奥さんはもっと悪い」

 ――内山さんは読売グループ本社の社長を退任するのか。

 「なぜライバル社にうちの機密をしゃべらなきゃいけないのか」

 社長退任について否定はせず、首脳は車に乗り込んでいった。

 5月24日に発表された読売新聞社の役員人事では、内山社長の後任の最有力候補として名前があがっていた白石興二郎氏がグループ本社と東京本社の両社長を兼務することになった。読売巨人軍の滝鼻卓雄オーナー(71)の退任とあわせ、首脳部の若返りといえる。

 読売グループのある役員が解説する。「内山さんの後継は白石さんか、読売新聞西部本社社長になる弘中喜通東京本社専務(63)と言われていた。大久保さんの日本テレビ社長内定は既定路線。1年前に日テレに移り、編成や制作は担当したが、氏家さんが亡くなったことで就任が1年早まったため、営業やネットワークは経験できなかった」

 大久保氏は編成担当役員でありながら、「私がいいと思った番組は視聴率が低い、だから現場には口を出さない」と控えめだ。社内からは「新聞記者出身者にしては頭が低い」との声が出ている。

 巨人戦の視聴率低下の影響を受ける日本テレビは、視聴率争いでフジテレビを追撃しているものの、なかなか抜けない。

 読売新聞も販売面で衝撃的な動きがあった。5月16日に公表された4月のABC部数が995万部と、3月よりも7万部減らし、17年ぶりに1000万部を下回った。読売新聞東京本社広報部は「本紙読者の中には被災された方々も多く、発行部数が減少した。しかし、1000万部の早期回復を目指す」とコメントしている。

 日本テレビ会長になる営業局生え抜きの細川知正社長(70)の後任に選ばれた大久保氏の昇格に隠れあまり注目されなかったが、 ・・・ログインして読む
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筆者

川本裕司

川本裕司(かわもと・ひろし) 朝日新聞社会部記者

朝日新聞社会部員。1959年生まれ。81年入社。学芸部、社会部などを経て、2006年から放送、通信、新聞などメディアを担当する編集委員。10年、論説委員兼務。17年4月から東京社会部。著書に『ニューメディア「誤算」の構造』。共著に『テレビジャーナリズムの現在』『被告席のメディア』『新聞をひらく』。

 

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