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金満方式のツケ

後藤正治

後藤正治 後藤正治(ノンフィクション作家)

開幕が遅れたプロ野球であるが、ここにきて各チームの優劣がかなりはっきりしてきた。パ・リーグのソフトバンクは順当として、セ・リーグでは伏兵扱いだったヤクルトが健闘している。投手陣がしっかりし、ベテランの野手が健在で、とりわけ優良外国人助っ人に負うところが大である。

 私の贔屓は阪神タイガースであるが、往時のダメトラに戻ったごとく、下位に低迷している。

 開幕前の予想では、抑えの藤川を切り札に能見、岩田、久保の先発陣、さらに強力打線が健在だろうというわけで、前評判は悪くはなかった。別段、自慢したいわけではないが、私の見込みは、”ノビ代”が乏しい分、今年は苦しかろうというもので、これまでのところ予想通りといえば予想通りである。

 真弓監督の手腕が云々という声もあるが―確かに名采配とはいいがたいが―根本問題は別にある。

 私は1962年、64年の優勝を知るオールドファンであるが、この数年、タイガース熱は冷え続けてきた。なによりFA制度を使って―言い方を変えればカネにまかせて―他チームのスター選手を獲得する補強方式に疑念を抱き続けてきた。これではかの東の金満チームとどこが違うというのだろう。

 金本、新井、城島……それぞれよく働いてくれたシーズンがあった。彼らが気に入らぬというわけではないが、やはり峠を過ぎた選手たちで、これからのノビ代は乏しいベテランである。

 すでに現役は退いているが、広島から獲得したシーツという選手がいた。シーツ―金本―新井と並べれば、これは往時のカープのクリンアップである。西の空に向かって、次々と主力選手を横取りしてモウシワケアリマセンと頭を下げたい気持になる。

 問題は、

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