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キリンカップから透けて見える代表のいま

潮智史

潮智史 朝日新聞編集委員

7月の南米選手権出場を見送ったことで、サッカー日本代表のチームづくりの計画が狂ったのは間違いない。9月から始まる2014年ワールドカップ(W杯)ブラジル大会アジア地区予選を前に、与えられていたのは6月1日のペルー戦、7日のチェコ戦のキリンカップ2試合と、予選直前の韓国戦の計3試合のみ。それでも、ザッケローニ監督はキリンカップを3-4-3の新布陣の習熟に費やした。

 限られた時間の中でイタリア人監督があえて手間ひまのかかる取り組みにこだわったのは、自信とともに焦りのようなものも同時に感じていたからだろう。アジアカップ優勝を手にした従来の4-2-3-1の布陣は選手にとって慣れ親しんだものになっている。選手が入れ替わってもある程度の試合はできるという自信と、いつでもそこに立ち戻れるという自信だ。

 焦りは、周到なザッケローニ監督ならではのものかもしれない。1月のアジアカップで思い知ったアジアで勝つことの難しさ。特に、敵地で中東勢を相手にしたときの厄介さは身にしみた。さらに、アジア王者になったことで対戦相手はこれまで以上に日本を徹底的にマークしてくる。手の内も十分に知られている。周囲の進化以上に、チームを強化させなければならない。チェコ戦を終えた会見で、「同じシステムでやっているだけでは研究もされるし、成長はない」と語っている。経験豊富なザッケローニ監督にしても、代表監督として臨むW杯予選は初めてのことだ。戦うための武器や選択肢はひとつでも手元に置いておきたい。だからこそ、予選では従来の布陣を使うと明言しておきながら、3-4-3に取り組んだ。

 代表がまず克服しなければならないのは、対戦相手よりもまず準備時間の短さになりそうだ。主力となる海外組は9月の韓国戦まで集まることが難しい。ゆっくりとすり合わせをできないまま、試合2、3日前に集まっては本番に臨む日程が続いていくことになる。結果が優先される予選の試合をこなしながら、その場でチームの完成度を上げていく作業を繰り返さなければならない。ザッケローニ監督にすれば、その中でさらに新しい選手を組み合わせたり、選手層の充実を図ったりする取り組みも必要になる。予選とさらに先のW杯本大会を見据えれば、やるべきことは目白押しだ。

 選手に求められるのは、

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筆者

潮智史

潮智史(うしお・さとし) 朝日新聞編集委員

朝日新聞編集委員。1964年生まれ。87年入社。宇都宮支局、運動部、社会部、ヨーロッパ総局(ロンドン駐在)などを経て現職。サッカーを中心にテニス、ゴルフ、体操などを取材。サッカーW杯は米国、フランス、日韓、ドイツ、南アフリカ、ブラジルと6大会続けて現地取材。五輪は00年シドニー、08年北京、12年ロンドンを担当。著書に『指揮官 岡田武史』『日本代表監督論』。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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