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その時々における熱病的な言葉というものはある。「政権交代」もそうだった。ほんの二、三年前、この言葉は後光が射すようなありがたみを帯びた言葉であった。無理もない。戦後60余年、野党第一党が総選挙において過半数を制して政権を獲得した事例は一度もない。短期の連立政権を除き、自民党の恒久的政権が続いてきた。長い長い歳月を経て到来した夢舞台であったのだから。

 野党・民主党は総選挙において大勝し、政権交代は成った。鳩山内閣、ついで菅内閣が登場したが、いまや政界は菅内閣の幕引きをめぐってゴタゴタが続いている。民主党への期待感はすぼみ、政権交代という言葉もすっかり色褪せた。

 民主党政権が国民の期待に応えられなかったせいであるが、世が一気にバラ色に染まるがごときものとして、政権交代への期待感が大き過ぎたという見方も成り立つのではあるまいか。そもそもないものねだりをしてきたのだと。

 私は別段民主党支持者ではないが、民主党政権にも取柄はなくはなかったと思う。記憶をひも解くと、たとえば核の持ち込みに関する密約問題にメスが入れられた。水俣病や肝炎ウイルス患者への救済措置が取られた。最近では中電へ浜岡原発の一時休止要請が行なわれた。いずれも自民党政権では前に進まなかったと思われるテーマである。

 一方、デフレ経済の克服や財政破綻から脱却という国家的課題には見るべき成果はなかった。〝埋蔵金”やら“事業仕分け”やら、キャッチフレーズは目を引いたが、見かけ倒しに終わった。国が構造として罹患している慢性疾患にはそうそう特効薬などないのだ。

 政権交代によって実現した民主党政権、大相撲の星取表でいえば ・・・ログインして読む
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筆者

後藤正治

後藤正治(ごとう・まさはる) 後藤正治(ノンフィクション作家)

ノンフィクション作家。1946年京都市生まれ。京大卒。医療、スポーツなどをテーマに執筆活動を続けている。著書に『遠いリング』(講談社ノンフィクション賞)、『リターンマッチ』(大宅壮一ノンフィクション賞)、『スカウト』、『清冽――詩人茨木のり子の肖像』ほか。

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