後藤正治
2011年07月11日
注目されるのは家族類型別割合だ。いまやトップは一人暮らしで、31・2%を占めている。この割合、1995年は25・6%だった。15年前は4家族に1家族が一人暮らしであったのが、いまや3家族に1家族がそうなりつつある。
高齢化社会の趨勢であるが、男女とも未婚率が増え、ライフスタイルの変化もかかわりある。定年まで仕事をもつ女性たちもいまや普通となった。時代は「お一人様暮らし」の時代へと突き進んでいる。
ともに暮らす家族があり、近所があり、村や町があり、その先に国があり……という日本社会の〈幻想体系〉が崩れ去ろうとしていることを改めて感じる。
高齢者の一人暮らしといえば「孤独死」を連想する。誰にも知られることなく、看取られることもなくあの世へと旅立つ。なんともいたましく、やりきれない。この比率は男性が高い。
よくいわれるのは、女性は地域の付き合いがあり、いろんなサークルにもかかわっている。男は会社を卒業すると孤立した不器用な個人へと戻っていく。一人暮らしへの準備やノウハウが乏しいのだ。
以下は同世代の女性知人から耳にした現代のこぼれ話。
――彼女には80代後半の父がいた。長年連れ添った夫人が亡くなり、一人暮らしとなったが、どうにも寂しくて仕方ない。“結婚相談所”で60代の女性を紹介され、籍を入れて暮らしはじめた。結婚期間は短く、間もなく父は亡くなり、遺産はそっくり新夫人のもとへと移行した。これって高齢化時代の新ビジネスではないか――とおおいにこぼされたのであった。
遅い結婚が“別れ後”を見込んだものであったのかどうかは不明であるが、
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