倉沢鉄也
2011年07月19日
個人的にはゴルフはほとんど未経験で、観戦者としてもジャーナリストとして論じるほどの知見もない。ただ、数あるゴルフトーナメントの中でこの全英オープンゴルフは、世界最古のスポーツ大会ゆえの名称である「The Open Championship(英国ともゴルフとも名乗らない『選手権大』」)」の伝統的運営を随所に見せ、ゴルフ発祥の姿を想像させる海岸沿いの荒地の風景の中、世界のトッププロがパープレイにすら苦しみ、ときに素人のようなミスを犯す姿を見ると、自然対人間のゲームとしての究極の姿、聖なる姿を感じさせてくれる、という理由で、長らく見続けている。ゴルフの専門家の方からは、これが最高峰の大会と呼ぶべきかの異論もあろうが、それはおそらくテニス界における全英オープン(ウインブルドン)の位置づけと同じで、特殊な条件下での偏った技術を持つ選手が勝ちやすく、ワールドツアーでの真の実力世界一決定戦とは言いきれないが、しかし聖地であるがゆえにここの優勝が4大大会の中でもっとも聖なる価値を持つ、ここで勝たねば真の世界一と呼ばれない、というのと同じなのだろうと推測している。
今年の全英オープンゴルフは、筆者と同世代の古豪、「連合王国(United Kingdom)」に属する小国、北アイルランドのD.クラーク選手が制した。長らくの強豪だが4大大会のタイトルはなく、10歳年下のG.マクドウェル選手(2010年全米オープン優勝、7月11日現在世界ランキング9位)、20歳年下のR.マキロイ選手(2011年全米オープン優勝、同4位)といった同郷の若手に遅れをとりつつ、彼らが尊敬し追いかけてきた大先輩が、一世一代で狙って獲った、初の栄冠である。
ゴルフは他のスポーツよりも高齢で第一線の活躍が可能な競技ではあり、今大会も61歳の元世界ナンバーワン、T.ワトソン選手の活躍も見られた。しかし
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