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児童ポルノ愛好者のデータベース化を警察庁が始めます。18歳未満の子供の裸や強姦場面を撮影したり、その画像をインターネットに投稿したりする児童ポルノ事件を減らし、被害を受ける子供をなくすのが狙いです。7月19日付の朝日新聞夕刊に書いたところ、案の定、インターネット上でさまざまな意見開陳がなされています。多くの人に関心を持っていただくのは結構なことです。

●被害受ける子供急増

 児童買春・児童ポルノ法が施行されたのは1999年11月です。ネットの爆発的普及に伴って、児童ポルノと呼ばれる画像の投稿が盛んになされ、画像内容の過激さも増していました。以来、警察は違反者の摘発に力を入れてきましたが事件は増える一方です。法施行翌年の2000年170件、163人が2005年に470件、312人となり、昨年は1342件、926人に達しました。歯止めをかけるはずの法律が抑止力となっていません。

 忘れてならないのは、これだけ摘発件数が多いということは被写体となる子供もまた増えているということです。2000年に123人だった被害者はその後一時的に減りましたが、05年に246人となり、そこからは増加の一途をたどり、昨年は614人です。今年は6月までですでに310人に上ります。昨年の被害者614人うち、小学生以下の子供が126人を占めます。これは事件化できたケースの人数であって、実際にはもっと多くの子供が被害に遭っていることでしょう。

●画像が示す非道の実態

 幼子がどんな被害を受けているのか。「児童ポルノ」といってもどんなものか、興味や関心のない人にはぴんと来ないでしょう。私も用語としては理解していても実際には見たことがありません。取材中、実物を見ました。感想を表現する適当な言葉が見つかりません。撮影者への怒りで握った拳が震え、何をされているのかわからないであろう子供たちが哀れでなりませんでした。撮ったやつ、子供にこんなことをしたやつ、ネットに投稿したやつ、おまえら外道よ、恥を知れ。

 これらの画像を当ウエブロンザに掲載すれば、非道ぶりを即座にご理解いただけるのですが、違法行為になりかねないし、何より被写体の子供の被害拡大につながるので控えます。よって抑え気味にではありますが、言葉で表現します。

 就学前とみられる女児です。顔がはっきり写っています。撮影者の男が、勃起した性器を握らせ、口に含ませ、揚げ句顔に射精している。別の画像に写っているのはもう少し小さな女の子です。おむつを外して下半身を露出させ、そこに男性器を押しつけ、異物を挿入している。別の女児は下着を脱ぎ、しゃがんで放尿し、再び下着を身につける場面を撮られている。男の性器を触らされている女児は、カメラに笑いかけています。こう書いているだけで怒りがたぎります。

 「表現の自由」だの「性的嗜好への権力介入は不当」だのと、結果的に現状を容認する意見をおっしゃる人たちにお聞きしたい。あなたの子供や、可愛がっている(妙な意味ではなく)身近な子供がこんな目にあわされても同じ主張を続けられますか。

●ネットで増幅する愛好者と画像

 どんなやつらがこんな画像を撮ったり、ネット上でやり取りしたりしているのか。警察が摘発した事件の中に典型例があります。愛知や京都、岡山、大分など実に14もの警察本部が一緒になって捜査した事件です。2年以上の捜査の末に逮捕したのは約20人、被害児童は29人でした。逮捕された連中の大半は互いに面識がありません。ネットの愛好者サイトで知り合い、その輪が拡大していったのです。石川県警が09年3月、小学生女児への強制わいせつで少年を逮捕したのが始まりでした。このガキの関係先を家宅捜索したら児童ポルノがあり、その入手先を調べたら埼玉の会社員とわかり、と芋づる式に鬼畜連中のグループを解明しました。

 この中には福岡の幼稚園教諭や佐賀の保育士もいました。勤め先の子供たちを餌食にしていた疑いが強い。このグループには、小学1年生のわが子を下着姿にして撮影し、ネットオークションサイトに出品していた名古屋のアホ夫婦も含まれます。

 捜査関係者によると、ネットで知り合った愛好者どもは「オフ会」と呼ばれる会合で実際に会い、おのれらの児童ポルノ画像の品評会をするそうです。それまでにない画像の撮影者は「オリ師」と呼ばれ、尊敬されるとか。オリジナル画像の師匠という意味合いのようです。今度、オフ会情報を仕入れて会場に乗り込んで、厳しく説諭してやります。

 称賛がほしいやつらは、より過激な画像作成に励む。「狩り」や「遠征」とやつらが呼ぶ行為もその一環です。外道どもが連れだって見知らぬ街に車で出かけ、ゆっくり走りながら好みの子供を物色する。見つけると甘言を弄して車に乗せ、人気のない場所でときに強姦をしながら撮影する。

 捜査関係者の話を聞いていると、いまの子供たちの身を案じざるを得ません。小学校教諭の中にも外道がいると関係者は明かします。それによると、ある教諭は最初、気に入った女児1人を学校の中で

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筆者

緒方健二

緒方健二(おがた・けんじ) 元朝日新聞編集委員(警察、事件、反社会勢力担当)

1958年生まれ。毎日新聞社を経て88年朝日新聞社入社。西部本社社会部で福岡県警捜査2課(贈収賄)・4課(暴力団)。20余年いた東京本社社会部で警視庁捜査1課(地下鉄サリンなどオウム真理教事件)・公安、国税、警視庁キャップ(社会部次長)5年、社会部デスク、編集委員、犯罪・組織暴力専門記者など。2021年5月に退社 【Twitter】@jikenji3783

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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