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アメリカのプロスポーツは、経済危機にどう対応するか――MLBストライキの教訓

大坪正則(スポーツ経営学)

大坪正則 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

 米国のプロ・アメリカンフットボール(NFL)の労使交渉が合意に達した。経営者が実施していた球団施設の封鎖(ロックアウト)が7月25日に解除され、9月8日からのシーズン開幕が保持できた。

 NFLの経営者と選手会が取り結ぶ団体労働協約の期限が今年3月に終了。経営者が有利な条件を引き出すために協約終了後ただちにロックアウトに踏み切り、それを受けて、NFL選手会は裁判所にロックアウト解除を訴えた。裁判所は一審で選手会の主張を認めたが、控訴審で経営者の言い分が支持され、最終の裁決が最高裁に委ねられていたが、最高裁の判断を待たずに、労使紛争は解決した。

 元来、最高裁の審判で団体労働協約の締結に至ることはない。協約の妥結には条件面での労使の同意が不可欠だからだ。だが、今回の交渉は難航が予想されていた。経営者が、より厳格なサラリーキャップ制度を求めると同時に選手側への収入分配比率の引き下げを目論む一方で、選手側は、選手寿命が短いことを理由に、より高い報酬を要求する気運が高まっていたからだ。しかも、今回の労使交渉は過去と環境が異なった。

 偶然にも、アメリカ4大プロリーグの団体労働協約の改訂時期が今年に集中していた。NFLが3月、プロバスケットボール(NBA)が6月、プロアイスホッケー(NHL)が9月、野球のMLBが12月に協約の期限が切れる。

 4大プロリーグで最初の交渉に入るNFLの労使交渉結果は他のリーグの交渉に少なからぬ影響を与えるので、労使双方とも安易な妥協は許されない。そのため、交渉の長期化は避けられないというのが一般的な見方だった。

 ところが、7月に入り、選手会が譲歩する形で団体労働協約が改訂された。労使が歩み寄った背景には、 ・・・ログインして読む
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筆者

大坪正則

大坪正則(おおつぼ・まさのり) 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

1947年生まれ。1970年、伊藤忠商事に入社。1981~85年まで、アメリカのニューヨークとデンバーに駐在。情報通信総合企画室などを経て 1986年、NBAプロジェクトマネジャーに。現在、帝京大学経済学部経営学科教授。専門はスポーツ経営学。著書に『パ・リーグがプロ野球を変える』『スポーツと国力』(以上、朝日新書)、『プロ野球は崩壊する!』(朝日新聞社)、『メジャー野球の経営学』(集英社新書)など。2014年3月4日、死去。

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