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苦戦続きの五輪予選から見えてくるもの

潮智史

潮智史 朝日新聞編集委員

 中国との最終戦を残して、なでしこジャパンが来年のロンドン五輪出場を決めた。3勝1分けの勝ち点10で負けはなし。一方で、どれも苦しい試合の連続だった。内容で相手を圧倒したとまでいえる試合はなかった。

 これを、さすがワールドカップ(W杯)チャンピオンと見るのか、あるいは、世界一にしては物足りないと見るのか。

 まず、世界大会に出ていくアジア予選が決して簡単でないことを周囲はもっと認識すべきだろう。先日のW杯3次予選で男子の日本代表チームがウズベキスタンに苦戦したのと同じで、互いに手の内は知り尽くした相手である。しかも、女子の場合はW杯王者を倒してやろうとすべての相手が向かってくる。さらにホーム・アンド・アウェー方式の男子とは違って、中国での集中開催。同じリーグ戦とはいえ、11日間で5試合という過密日程である。そのときの体調やチームの好不調など、不確定な要素が影響しかねない。それほど、今回のロンドン五輪予選は難しかった。

 W杯優勝から帰国して大騒ぎの中、メンタルの部分も含めて十分な休養が取れもしなかったはず。北朝鮮戦までの4試合を見ていても、運動量、体の切れ、動きなど、疲労が抜けきっていない状態で体調が十分でなかったことは伝わってきた。W杯優勝の喧騒から気持ちの切り替えが難しかった選手もいたと聞く。細かいのパス交換が持ち味の日本にとって、芝が深く、ボールが転がりにくいピッチ状況も不利だったろう。

 そもそも、W杯王者ではあるけれど、その実力を冷静に見極める必要がある。ドイツ、米国に勝ったからといって、アジアで圧倒的な力の差があるというものではない。格上の相手は自分たちのサッカーとスタイルを出そうとしてくれる分、まだ対策が立てやすく、やりやすい。アジアの相手は、逆にいかに日本の持ち味を出させないようにするか、日本対策を徹底してやってくる。W杯にしても、五輪予選にしても、ぎりぎりのところで綱渡りの連続だった。

 その意味で、今回の予選はなでしこジャパンの抱える欠点と課題は改めて示してくれたと前向きに考えたい。

 まず、全員で動き回って守備に頑張り、そこから

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筆者

潮智史

潮智史(うしお・さとし) 朝日新聞編集委員

朝日新聞編集委員。1964年生まれ。87年入社。宇都宮支局、運動部、社会部、ヨーロッパ総局(ロンドン駐在)などを経て現職。サッカーを中心にテニス、ゴルフ、体操などを取材。サッカーW杯は米国、フランス、日韓、ドイツ、南アフリカ、ブラジルと6大会続けて現地取材。五輪は00年シドニー、08年北京、12年ロンドンを担当。著書に『指揮官 岡田武史』『日本代表監督論』。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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