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焦点はドコモの牙城を切り崩せるか

林信行 ITジャーナリスト

iPhone 4Sは日本市場をどう変えるのか? かつてたった1台の携帯電話が、これほど連日ニュースで取り上げられることがあっただろうか。実はこの大騒ぎは日本だけのことではなく世界70カ国以上で同時に起きている。 

 使ったことがない人には「何で大騒ぎ」と疑問に思うかもしれないが、使ったことがある人にとっては、これが大ニュースなのだ。

 先日、急逝したスティーブ・ジョブズは、マウス操作のパソコンにせよ、iPodにせよ、今日のデジタル時代を築いてきた先駆者だ。他にも同様のデジタル製品をつくってきた会社はたくさんあるが、その多くはただ競合製品をつくってきただけに過ぎない。

 もし、技術だけでiPhoneがつくれるのであれば、おそらく日本の会社がとっくにつくっていただろう。だが、iPhoneやその兄貴分のiPadはただの技術の塊ではない。育児、ファッション、出版、航空、ホテル、音楽、ゲームなど数えきれないほど多彩な業界で使われており、これからの時代を文化をつくりつづけている未来の象徴なのだ。

 この違いを生み出したのは、若い頃からがむしゃらに「世界を変えたい」と思い続けていたジョブズが、つまるところ大事なのは顧客をだまさない徹底した本質主義を貫くことだと結論した点だろう。本当に素晴らしいと思うことを、途中で一切妥協することなく形にすることだという姿勢を貫いた結果だろう。他の多くの企業は、製品の企画の段階、製品化、製造、販売などのいずれかの段階で妥協したり、「それが正しいのはわかっているが、色々、事情が」と言い訳をして逃げてしまう。あきらめずに貫くのは、実はものすごく大変なことだが、いざ達成してしまえば、他社の追随を許さずかなり有利な状況に立つことができる。しかも、共感してくれた人達によって、その上で新しい文化や技術の発展を見込むことができる。 アップルのiPhoneは、まさにそんな存在なのだ。

 最新のiPhone 4Sにしても、見た目が前機種のiPhone 4にそっくりなことで写真映えがしないとメディアの人間はがっかりしているが、実はその中に最新プロセッサとソフトバンクとKDDIの異なる通信方式に対応する回路やアンテナ、800万画素のデジタルカメラといったものを内蔵と大幅に機能を向上させた上で、従来と同じ薄さに収めたもので、これによってiPhone対応車などの対応製品に変更を加えず、そのまま利用できる利便性を提供していることも忘れては行けない。アップルは、最近、もっともグリーン、つまり環境に優しいIT企業を標榜しているが、年間8000万台以上のペースで販売され、携帯電話の中でもっともアクセサリーが豊富なiPhoneが、たったの2世代でも同じ形を継承することで、地球上からいったいどれくらいの量のゴミが減るかもあわせて想像してみて欲しい。

 このiPhoneが、従来のソフトバンクに加え、KDDIから提供されることが大きな話題となっている。インターネット上でもKDDIの方が電波の具合がいいとか、電波が本当に悪い地域では、実は無償でホームアンテナがもらえる分、ソフトバンクの方がつながりやすいといった話もあれば、 ・・・ログインして読む
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筆者

林信行

林信行(はやし・のぶゆき) ITジャーナリスト

【退任】1967年生まれ。IT系ジャーナリスト・コンサルタント。90年にパソコン誌でニュース記事の執筆を開始。現在、企業や学生向けの講演に力を入れている。主要メディアでソーシャルメディアやスマートフォンの最新トレンドを解説する一方で、海外メディアには日本の技術を紹介。主な著書は『iPhoneとツイッターは、なぜ成功したのか』『スティーブ・ジョブズ 成功を導く言葉』など。

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