大坪正則(スポーツ経営学)
2011年10月15日
「利益分配」では、米国の労使が採用する「団体労働協約」(労働協約)が参考になる。この制度は日本にないが、このシステムを最大限活用すれば、日米間の交渉妥結に活路を見いだせるかも知れない。しかも、労働協約の運用を熟知するMLB選手会が日本側の要求に理解を示してくれる可能性を秘めている。
日米は、第1回大会開催(2006年)の前に、大会収益の66%を米国側が、13%を日本側が受け取ることに合意した。しかし、この分配比率に日本側は当初から不満だった。渋々応じた契約だったこともあり、第2回大会で大きな収益が出たために日本側の不満が増幅した。
だが、米国側はこれまで日本側の13%の比率変更に妥協する姿勢を示していない。米国側の合意を得るのは容易でないと判断した日本側は、日本企業が日本代表を応援するスポンサー料が本大会の運営会社であるWBCIに直接流れていることに着目した。次回の第3回大会から、日本企業が支払うスポンサー料を日本側に還元するように米国側に要求したのだ。
ところが、実情を確かめると、実際のスポンサー活動と日本側の権利主張との間に食い違いがあることが判明した。このことから、日本側の主張が通ったとしても、日本側が取得できる額は小さいであろうと指摘した。結局、原点に戻り、66%と13%の妥当性が争点になる可能性が高くなった。
それでは、日本側に13%という分配比率は絶対に変更できないのかというと、一概にそうとも言い切れない
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください