潮智史
2011年10月18日
男子個人総合決勝での内村の演技は圧巻だった。6種目を丁寧に積み重ねるように、足先や着地に神経を行き届かせた。3連覇は堅いといわれていたが、そんな予想を一段超えた次元の演技だった。ミスをしない難しさを知る周囲の選手ほど圧倒されたはずだ。彼を脅かす存在は見あたらない。現時点では、来年のロンドン五輪のすべての競技を通じて最も堅い金メダル候補といっていい。
その内村が3連覇をなし得てもなお、「素直にうれしいけど、まだ悔しい」と表情が晴れなかったのは「一番の目標」に掲げてきた打倒中国をまたも成し遂げられなかったからだ。内村自身も手にしていない団体の優勝である。
興味深いのは、金メダルを争ってしのぎを削る両国の戦略の違いだ。6種目すべてを演じてこそ体操という考え方が根強い日本はオールラウンダーをそろえて、まんべんなく得点を加えていく。一方の中国は6種目それぞれに強いスペシャリストを用意して、選手をうまく組み合わせて高得点を稼ぐ。金メダルへのアプローチの仕方がまるで違うのだ。
今回の世界選手権の場合、予選は6-5-4制と呼ばれるもので、チーム6人から各種目5人が演技して、そのうち成績のいい4人の得点を加算して争い、決勝は6人のうち各種目を3人だけが演技して、その3人分の得点で競う6-3-3制だった。つまり、
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