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古川知事擁護と辞任ドミノ回避へ常軌逸脱

大矢雅弘

大矢雅弘 ライター

佐賀県玄海町の玄海原発の再稼働をめぐる「やらせメール」問題で、九州電力は、失墜した信頼の回復のために自ら第三者委員会を設けたはずだ。その第三者委がくだした結論の都合の悪い部分に目をつぶり、中身を骨抜きにして、独自見解で押し切ろうとする姿勢は常軌を逸しているというほかない。

 九電が経済産業省に提出した最終報告書は「古川康佐賀県知事の発言が投稿要請(やらせメール)に決定的な影響を与えた」とした第三者委の事実認定を記載しなかった。

 やらせメールだけではない。玄海原発の全国初のプルサーマル導入をめぐる2005年の佐賀県主催の公開討論会では、「仕込み質問」など、周到な世論誘導の実態を第三者委が明らかにした。第三者委は「仕込み質問が県側に事前に報告されたことは疑いようがない」と指摘したが、九電の報告書はその点も触れないままだった。

 九電と同じような「やらせ」は伊方(愛媛県)、女川(宮城県)、浜岡(静岡県)、泊(北海道)の原発にかかわる催しでも、経産省の担当者から電力会社に指示されて横行していたことが、経産省原子力安全・保安院の第三者調査委員会で認定されている。

 「やらせ」をしていた点では、九電も経産省も同罪である。いわば同じ穴のむじなであった経産省ならば、第三者委の指摘を真っ向から否定するという九電の無神経さを受け入れてくれると踏んだのだろうか。

 第三者委の報告書は、玄海原発でプルサーマル導入をめぐって、九電にとって古川氏は「まさに『希望の灯』とも言えるものだったはずである」と指摘している。

 玄海原発の再稼働のためには、「希望の灯」である古川氏をなんとしても守り抜かねば、という強い思い込みが九電の判断を大きく狂わせたのだろう。

 7月にいったん辞表を提出していた真部利応(まなべ・としお)社長は、05年の討論会開催時に社長だった松尾新吾会長とともに続投する意向を示した。

 真部社長は続投について、「個人的な考えだけで辞めることはできかねる」などと説明した。だが、もし引責辞任すれば、

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筆者

大矢雅弘

大矢雅弘(おおや・まさひろ) ライター

朝日新聞社で社会部記者、那覇支局長、編集委員などを経て、論説委員として沖縄問題や水俣病問題、川辺川ダム、原爆などを担当。天草支局長を最後に2020年8月に退職。著書に『地球環境最前線』(共著)、『復帰世20年』(共著、のちに朝日文庫の『沖縄報告』に収録)など。

 

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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