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予想外の第三者委員会の結論に慌てた九電

河合幹雄

河合幹雄 桐蔭横浜大学法学部教授(法社会学)

九州電力は最終報告書で「やらせメール問題」について、佐賀県の関与を認めず、第三者委員会(委員長・郷原信郎弁護士)の調査結果の核心部分を否定し、真部利応社長の続投を表明した。郷原氏のみならず、枝野幸男経産相が強い批判をした後、九電は一転して古川康佐賀県知事らのやらせの関与を認めて、報告書を再提出する方針を固めたそうである。どういうことなのか考察してみたい。

 どちらがどうか言う前に、事実確認が大切である。マスコミ報道を大雑把に受け止めているとしばしば勘違いしてしまう。報道内容を部分的にみるとウソ報道は滅多にないが、一部の情報を落として、結果的に異なった印象を与えてしまっていることがある。今回の「やらせメール」の場合も、私が把握しているだけで二点の重要要素が落ちている、もしくは、小さく扱われている。 第一は、原発反対運動側も、地元の市民ではなく動員された、いわゆるプロ市民が中心になっていることがよくあることである。それに対抗するために「やらせ」が盛んに使われてきたのが事の真相である。ただし、この理由では、「やらせ」を正当化するには全く不十分であり、「やらせ」を非難する記事は、その意味では正しいが、どちらが悪者か、分かりやすく伝えるほうが、正確に事実を伝えるより良いという勘違いを、報道機関はしているのではないかと危惧している。

 第二は、より重要かつデリケートな事項である。郷原氏と佐賀県知事は、以前より、

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