大坪正則(スポーツ経営学)
2011年11月04日
球団業務の大半は一般企業と同じであるが、「商品」の生産プロセスとその性質が他とは根本的に異なる。商品である「試合」は1社(チーム)では生産できない。必ず、2チームが協力しなければ作れない。そのため、球団買収の際にもこの特徴を考慮することが必要となる。つまり売却先との相対交渉だけで買収は終わらないのだ。売却先との合意成立の後、必ず球界参入について他球団の了解取得が必要となる。リーグ内の協調が不可欠だから、自己主張を貫くだけの買収劇はありえない。
もう一つ重要なことがある。野球協約は、新規参入球団に25億円の預託を定めている。預ける期間は10年。このことは、球界関係者が新規参入のオーナー企業に10年またはそれ以上の球団保有を期待している証になる。長期保有が前提になるから、球団経営は「貸借対照表」的発想、即ち長期的視点に立った資産価値向上を柱にしなければならない。逆に言うと、「費用対効果」を追い求める「損益計算書」的発想は球団経営に相応しくないのだ。
球団は、社会的知名度は高いが、金儲けは難しいというのが一般的常識だ。このことを端的に示しているのが1954年に国税庁が出した通達だ。球団が利益を出す可能性が低いために、親会社が球団の赤字を広告宣伝費として損金扱いすることを認めたもので、60年近く経った今でも有効である。従って、赤字が当たり前の球団買収は経済常識から逸脱しているとも言える。現に、
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