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球界のスポークスマンは渡辺恒雄氏か?

大坪正則(スポーツ経営学)

大坪正則 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

 横浜ベイスターズの買収先候補としてディー・エヌ・エー(DeNA)の名前が浮上したのが9月初め。約2カ月後、DeNAとベイスターズの親会社のTBSホールディングス(TBS)が球団譲渡に合意した。DeNAが来年以降の球団名を「横浜DeNAベイスターズ」にすることを日本プロ野球機構(NPB)に申請したので、NPBの実行委員会がDeNAを審査し、12月1日のオーナー会議で正式に承認を受ける予定になっている。

横浜ベイスターズをめぐっては、渡邊恒雄氏の発言がメディアを賑わせた

 メディアによれば、DeNAの他にも自他推薦含め、多数の企業がベイスターズの買収に動いたようだ。だが、結局、準備不足なのかどうかわからないが、DeNA以外は泡沫候補だった。結果的に、本命だったDeNAの名前がスポーツ紙を賑わすようになった頃から読売新聞社主筆で読売ジャイアンツの会長である渡辺恒雄氏の談話もまた、各種新聞に頻繁に登場するようになった。新聞各社が彼のコメントをかくもたびたび取り上げたのは2004年の大騒動以来と思われる。

 2004年を顧みると、大混乱を収束させたのは選手会によるストライキだったが、そのストライキを誘引し、またファンを選手側に付かせたのが、彼の不用意な発言だった。かかる経緯があるので、メディアは今回も彼の失言を期待したのかも知れない。だが、メディアの期待は外れた。彼の発言がDeNAとTBSを安全着地の方向に導いたようだ。一連の売却・買収劇で、球界での彼の影響力が依然として大きいことを見せつけてくれた。

 一方で、渡辺氏の談話が新聞に掲載されるたびに疑問に思うことがあった。

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