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清武氏の起死回生は新事実の暴露のみ

松瀬学

松瀬学 ノンフィクションライター

読売巨人軍の球団代表兼ゼネラルマネジャー(GM)を解かれた清武英利氏の目的は何なのか。コーチや選手を守るためのコーポレートガバナンス(企業統治)の確立なのか、不当解雇としての処分の撤回なのか。それともナベツネこと渡辺恒雄会長を巨人のトップから追い落としたいのか。そこが分からない。

 これまでプロ野球界を牛耳ってきた読売新聞グループの「独裁者」、85歳の渡辺会長を糾弾した勇気には拍手を送る。プロ野球全体のガバナンスへの問題提起としても評価できる。「反ナベツネ」の人々にとっては、痛快な出来事だったであろう。

 でも、である。清武氏の反撃の手法も内容も稚拙になってきた。“ああ言った”“こう言った”の双方の激しい応酬は、まるで子どものけんかである。

 25日。東京・有楽町の日本外国特派員協会で開かれた清武氏の反撃会見を取材した。国内外の300人ほどのメディアが集まった。個人的には、コンプライアンス(法令順守)違反というにふさわしい新たな事実の公表を期待していた。会見前、資料が配布される。日本語で13枚、英語で19枚の計32ページのA4版のぶ厚い反論文だった。

 ぱらぱらとめくりながら、一気に目を通していく。衝撃的な事実は

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