2011年12月01日
計算していたかのように、緊張感の漂う姿が全国に流れた。
「既成政党がやらないなら我々が国政に足をかけます」
大阪都構想を実現させるため、年内に国政選挙の準備を始めると明言した。この日夕、まだ開票前に開かれた大阪維新の会の全体会議で、方向性を決めていた。
「自民も民主も共産も全く政治理念がないことを有権者に見抜かれていた」と選挙戦を振り返る。そのうえで、維新の勢いを「一時の風ですよ。明日にはどうなるかわからない」とクールにやり過ごす。謙虚な言葉が、逆に自信のほどをきわだたせた。
3時間余りのロングラン会見も計算ずくなのだろう。質問を繰り出す記者に、得意の弁舌を駆使し、逃げずに説明を尽くす姿を見せつける。「説明が足りない」という批判を封じるとともに、この問答こそ見せ場なのだ。
重たい空気が支配した会見場は、次の獲物を狙う橋下氏の本気度を見せる舞台になっていた。
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最初から圧勝ムードだったわけではない。
11月13日、市長選告示の朝、橋下氏は難波の高島屋前で演説した。聴衆は歩道の交通整理が必要ないほどで、視線も送らず通り過ぎる人が多い。報道と警察の姿が目立つ第一声だった。
この後、市内の中学校で開かれていたイベント会場では、保護者から露骨な拒絶を受けて入場できず、別のイベントでは主催者側から「帰れ」コールがわき起こった。握手を拒否されたり、近づいても「嫌いや」とはねのけられることもある。「すごいアウェー。これほどか」と本人も予想以上の逆風を感じていた。
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