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プロ野球、次は「構造改革」だ!(1)――収入の向上

大坪正則(スポーツ経営学)

大坪正則 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

●巨人は「球界の盟主」から単なる12球団の一つに

 12月1日の日本野球機構(NPB)のオーナー会議において、横浜ベイスターズのTBSホールディングスからDeNAへの譲渡が承認された。また、2013年に予定されているワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に参加を表明することが決まった。

 WBCの正式参加表明は日本プロ野球選手会の同意を必要としているが、選手会が反対するメリット(対価)がほとんどどないため、経営者の意向通りに進むと予想される。従って、今回のオーナー会議で球界の二つの懸念事項がほぼ解決したことになる。

拡大横浜DeNAベイスターズの春田真オーナー(手前。右はDeNAの守安功社長)。球界の構造改革に新機軸を打ち出せるか

 これからNPBは「構造改革」に本気になって取り組むべきだ。そのうち、最優先すべきは(1)球団収入の向上(2)2軍の経費削減、である。

 今回は「球団収入の向上=全国市場での財産権の一括管理」について考察する。

 NPBはその創立以来今日に至るまで、読売ジャイアンツ(巨人)を球界の盟主と仰ぎ、巨人の意向がNPBの大方針として運営されてきた。とりわけ、戦前・戦後を通じエンターテイメントの少ない時代では、巨人戦のラジオ・テレビ中継放送は国民の最高の娯楽番組であった。それを支えたのが圧倒的な数を誇る巨人ファンだった。

 しかし、1993年のJリーグ開幕の後は徐々に巨人人気に翳りが見え始め、2004年の選手会ストライキと東北楽天ゴールデンイーグルス(楽天)の球界参入以降、巨人の人気の下降傾向が顕著になった。

 巨人の人気凋落の要因の一つにパ・リーグ球団の経営的伸長を挙げることができる。だが、この点に触れる前に球団の収入項目について整理をしておく必要がある。球団の収入源は、大きく二つに分けることができる。

 一つ目がフランチャイズ地域、即ち地方市場からの収入。(1)チケット(2)球場内物品の販売が該当する。

 二つ目が全国市場。(3)テレビ放送権(4)マーチャンダイジング(=商品化)(5)スポンサーシップからの収入が当てはまる。

 パ・リーグは、2004年のストライキを経て、2005年から近鉄バファローズに代わり東北楽天ゴールデンイーグルス(楽天)が、そしてダイエーホークスに代わり福岡ソフトバンクホークスが加わった。楽天がフランチャイズを仙台に選んだので、パ・リーグ球団のフランチャイズが北の札幌から南の福岡まで分散し、地域独占営業権を付与されたフランチャイズの本来的効用が100%生かせるようになった。

 加えて、楽天が球界参入初年度に営業黒字を達成したことが残りのパ・リーグ5球団に驚愕的衝撃を与えた。

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筆者

大坪正則

大坪正則(おおつぼ・まさのり) 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

1947年生まれ。1970年、伊藤忠商事に入社。1981~85年まで、アメリカのニューヨークとデンバーに駐在。情報通信総合企画室などを経て 1986年、NBAプロジェクトマネジャーに。現在、帝京大学経済学部経営学科教授。専門はスポーツ経営学。著書に『パ・リーグがプロ野球を変える』『スポーツと国力』(以上、朝日新書)、『プロ野球は崩壊する!』(朝日新聞社)、『メジャー野球の経営学』(集英社新書)など。2014年3月4日、死去。

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