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柏が押し上げたJリーグのスタンダード

潮智史

潮智史 朝日新聞編集委員

最終の第34節までもつれたJ1(Jリーグ1部)は、今シーズン昇格したばかりの柏レイソルの初優勝で幕を閉じた。5日にあったJリーグアウォーズ(表彰式)で決まったベストイレブンに、柏から選ばれたのはブラジル人2人を含めた4人。飛び抜けてスーパーな選手がいたわけでも、飛び抜けて強いチームだったわけでもない。どちらかというと地味なイメージの柏にタイトルをさらわれたことと、代表選手の多くが海外組に占められている現状に、「Jリーグは大丈夫か」という声も聞こえてくる。

 一方で、J2(Jリーグ2部)のチームからは「柏にできたのだから、我々にも可能性はある」という威勢のいい言葉もでている。いずれにしても、J2からの昇格→即J1優勝というのは来年で20シーズン目を迎えるJリーグそのものを刺激したことは間違いない。

 柏の戦いぶりを見てきて、強く感じるのは「きちんとサッカーに取り組んだ」ということだ。日本代表選手がいるわけでもなく、手元にある戦力に競争原理を持ち込み、チームとしての戦い方を浸透させ、相手を分析して目の前の試合に全力を尽くす。いわば当たり前のことを当たり前にやった。ネルシーニョ監督は優勝を決めた最終戦の記者会見でこう話した。「選手にはスタンダードという言葉で、繰り返し話をしてきた」。スタンダードとは、守備の原則、ひとりひとりのポジショニングと役割を果たすこと、パスミスがないこと、などなど。「これらのひとつでも欠ければ、チームは機能しない。チームとしてやるべきことができていないときに、それに気づいてほしいから『スタンダード』という言葉を使って話している」と。

 優勝を決めた浦和レッズ戦は、今シーズンを通してみても前半の戦いぶりは素晴らしい内容だった。だからこそ、

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