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プロ野球、次は「構造改革」だ!(2)――二軍の経費削減

大坪正則(スポーツ経営学)

大坪正則 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

 「構造改革」(1)では、収入向上策について考察した。今回は経費削減の中で、意外と重要視されていない二軍を取り上げる。

 今年末の米国メジャーリーグ(MLB)への日本人選手移籍が史上最高の賑わいになっている。ポスティング制度を利用して、埼玉西武ライオンズの中島裕之内野手、東京ヤクルトスワローズの青木宣親外野手、北海道日本ハムファイターズのダルビッシュ有投手が挑戦する。中島選手は独占交渉権を獲得したニューヨーク・ヤンキースとの条件交渉に臨むことになり、残りの2選手はこれから申請手続きに入る予定になっている。

 一方、フリーエージェント(FA)宣言選手のうち、東北楽天イーグルスの岩隈久志投手及び福岡ソフトバンクホークスの和田毅投手と川崎宗則内野手がMLB入りを目指す。

 しかし、かくも多くの選手がMLBに移るのは異常なことであるが、来年以降もこの傾向は続くと予想される。選手たちが本能的に持つ、本場の米国で自分の力を試してみたいとのアスリート精神が海を渡らせる動機になっているのは間違いない。

 だが、それだけではないはずだ。彼らを米国に向かわせる原因の一つに年俸の低さを挙げることができる。日本プロ野球機構(NPB)に所属する日本人選手の平均年俸は約3900万円。MLBの選手平均年俸は約300万ドル(約2億4000万円)。これだけ、日米には大きな格差があるのだ。

 だから、円高で日本人選手にとって不利な為替相場であっても活発な動きをすると考えられる。選手の平均現役寿命が10年だから、力を最高に発揮できる時に米国で腕を試し、あわよくば高給を取りたいと考えるのは常識的な判断とも言える。同じ環境であれば、誰もが彼らと同じ行動をとるに違いない。

 若干の例外があるかも知れないが、日本人選手の海外移籍を阻止するには高い年俸を用意すれば解決できる。球団が増収と増益を計ればよいので、まさに、「構造改革」そのものに直結する。そして、増益は経費削減でも達成できる。経費削減の最大の題目は、矛盾するようだが、選手年俸と選手関連経費である。それらの投資額を無駄にしないことが大事であるが、よく考えてみると、収入に対する貢献度の低い二軍選手の年俸と経費も削減の対象になっても決しておかしくない。

拡大北海道日本ハムの2軍を応援するポロシャツを着た清水聖士市長(右手前)と職員たち=2009年9月、鎌ケ谷市役所

 しかし、二軍をどのように扱うのか、また、地方自治体や支援してくれるスポンサーとの関係構築をどのようにリーグと球団が進めるのかによってはMLBのように、二軍を独立した組織にすることもできないことではない。二軍の独立も「構造改革」の項目の一つに加えるべきである。 

 野球協約によれば、球団の支配選手は70名以内。これに育成選手が加わる。一方、一軍の試合に出れる出場登録選手数は28名以内。仮に、試合ごとに一軍と二軍を区別すると、28名以外の42名は二軍選手となる。

 嫌な言い方をすると、この42名と育成選手は、普通の家庭に例えると、

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筆者

大坪正則

大坪正則(おおつぼ・まさのり) 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

1947年生まれ。1970年、伊藤忠商事に入社。1981~85年まで、アメリカのニューヨークとデンバーに駐在。情報通信総合企画室などを経て 1986年、NBAプロジェクトマネジャーに。現在、帝京大学経済学部経営学科教授。専門はスポーツ経営学。著書に『パ・リーグがプロ野球を変える』『スポーツと国力』(以上、朝日新書)、『プロ野球は崩壊する!』(朝日新聞社)、『メジャー野球の経営学』(集英社新書)など。2014年3月4日、死去。

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