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大学ラグビーの人気凋落と実力停滞を憂う

松瀬学 ノンフィクションライター

ワールドカップ(W杯)イヤーの大学ラグビーシーズンは帝京大の3連覇で幕を閉じた。偉業の反面、今季ほど大学ラグビーのあり様を考えさせられたシーズンは少なかったのではなかろうか。人気の凋落と全体のレベルの停滞ゆえである。

 全国大学選手権は、日本協会にとって最大の収益事業である。なのに観客数が減少傾向にあり、今大会は準決勝(1月2日)2試合の入場者数(1万6377人)、決勝(1月8日)の入場者数(1万4407人)とも、実数を発表するようになった2004年度以降、最低の入りとなった。好天にもかかわらず:。

 なぜだろう。確かに人気の早大、慶大、明大がそろって史上初めて準決勝に進めなかったことが大きいだろう。これといったスター選手もいない。だが総じて、プレーの精度が落ち、ボールゲームとしてのオモシロさが少なくなっているからではないのか。

 決勝の帝京大×天理大は緊迫した試合展開となった。帝京大が強力FWを前面に出して試合を優位に進め、主将のSO森田佳寿がノーサイド直前、決勝PGをけり込んだ。「FWのパワーが武器」の帝京と「バックスの展開力」の天理という「型」の違うチームの激突はエキサイティングだった。

 ただ時折、帝京大FWがマイボールを密集でキープし、プレーが止まったかに見えた。彼我の戦力を考えると、勝つための戦術として当然である。帝京大FWのフィジカルの強さと結束力に感心しながらも、バックスも好選手を並べているのだから、もっと展開してみてはどうかと思ったものだ。

 天理大とて、小さいFWでよくがんばった。SO立川理道とCTBのトンガコンビを中心としたライン攻撃は見応えがあった。でも単発に過ぎず、相手の強力FW対策にももっと工夫があってもよかった。

 結局、帝京大と天理大の差は、

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