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女子サッカーの人気は野球衰退への道?――「戦力均衡」策を急げ 

大坪正則(スポーツ経営学)

大坪正則 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

 日本女子サッカー代表(なでしこジャパン)主将の沢穂希選手が女子世界最優秀選手に選ばれた。佐々木則夫氏も女子の世界最優秀監督に選出され、ともに男女を通じてアジア初の快挙となった。

 2011年の女子ワールドカップ(W杯)でなでしこジャパンが優勝したことがきっかけとなって、知名度が低かった「なでしこリーグ」に注目が集まり、観客が大きく増加した。報道によると、優勝後、女の子たちのサッカークラブへの参加も20%増えたそうだ。

拡大女子最優秀選手に選ばれた沢穂希と女子最優秀監督に選ばれた佐々木則夫監督

 そして沢選手の受賞。女子サッカーへの関心がよりいっそう高まり、今年夏のロンドンオリンピックまでなでしこジャパンへのフィーバーと女子サッカーブームが続くと予想される。それに合わせ、女子サッカーの登録者数が大幅に増えるのは間違いない。

 これまで女子サッカーの登録者数は少なかった。笹川スポーツ財団の最新のスポーツ白書によれば、男子登録者が85万2233人に対し、女子は3万6683人。バレーボールの30万8936人やソフトテニスの22万8315人と比較しても、その少なさが目立つ。要は、W杯優勝以前の女子サッカーは全く人気がなかったことを端的に数字が示している。

 サッカー不毛と言われる米国では違った現象が見られる。日本サッカー協会によれば、米国の女子サッカー人口は800万人。女子の競技人口は167万人だそうだ。

 筆者はコロラド州デンバーに住んだことがある。息子のサッカーの試合の応援に行くと、野原に多数のサッカーグラウンドがあって、男子チームとほぼ同数の女子チームが試合をしていた。

 米国のサッカーの裾野は意外と大きく、アメリカ人もやっとプロサッカーのMLSを受け入れ始めたようだ。スポーツ専門誌は、MLSの人気が2015年頃にはバスケットのNBAとアイスホッケーのNHLを追い抜く可能性が高いと報じていた。米国に比べると、日本のサッカーの裾野は依然として小さく、特に女子はまだまだ小さい。だが、見方を変えると、日本の女子サッカーは競技人口増加の潜在的成長の可能性を秘めていると言える。

 一般論で言うと、女の子があることに興味を持つと男の子がその後を追うことが多い。なでしこジャパンと沢選手によって女子のサッカー人口が増えると、必然的に、男子の人口も増えることになるだろう。大学生や高校生に接すると実感できると思うが、若年層のサッカーに対する関心と興味は野球よりもはるかに高い。

 野球、とりわけプロ野球(NPB)界は

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筆者

大坪正則

大坪正則(おおつぼ・まさのり) 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

1947年生まれ。1970年、伊藤忠商事に入社。1981~85年まで、アメリカのニューヨークとデンバーに駐在。情報通信総合企画室などを経て 1986年、NBAプロジェクトマネジャーに。現在、帝京大学経済学部経営学科教授。専門はスポーツ経営学。著書に『パ・リーグがプロ野球を変える』『スポーツと国力』(以上、朝日新書)、『プロ野球は崩壊する!』(朝日新聞社)、『メジャー野球の経営学』(集英社新書)など。2014年3月4日、死去。

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