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2012年に考える希望論

宇野常寛

宇野常寛 宇野常寛(批評家)

私と情報環境研究者の濱野智史の対談集「希望論」が発売された。編集部からの執筆依頼は、同書の発売に際したものだろう。しかし、私は本書の「まえがき」に記した態度表明は「希望論」というタイトルを強く勧めた編集部への疑問からはじまっている。

 1978年生まれの私は、中学校1年生のときにいわゆる「バブル崩壊」を経験し、以降は基本的に「右肩下がりの」「失われた20年」と呼ばれる時代を生きてきた。マスメディアは基本的に厭世的なモードで人々に語り、そして「こんな時代だから」「あえて希望を」と、まるで傷の付いたレコードのように繰り返している。ついこの間出演した「若手評論家勢ぞろい」という触れ込みの討論番組にも

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