大坪正則(スポーツ経営学)
2012年02月21日
子供たちが「夢」に見るプロ野球選手たちが、実際にプロの世界に入り数年経つと「将来に不安」を感じるようでは夢どころの話ではなくなる。この問題に三つの視点からアプローチを試みることにする。
(1)選手会の視点
選手の将来に取り組むべき組織が選手会(労働組合)であることは論をまたない。セカンドキャリアは引退後の「雇用」確保を意味するので、選手会に組織力と情報力が求められる。しかし、選手会の現状は財力と人力ともに規模が小さく、若手選手の不安に充分な対応ができないでいる。さらに、個々の選手事情が千差万別であることも選手会の介入を拒んでいる。選手の年俸に大きな格差があるために、一律のルールで処理することが難しく、また、選手の周りには後援者なるものも存在するからだ。
だからといって、手をこまねいていいことにはならない。選手会にとって最も重要なことは、経営者に対する交渉力を高めることだ。選手会は自らの収入を高めることを最優先し、合わせて、経営者に収入増加を促す手立てを講じる必要がある。球団収入が増え、選手への配分額が増加すれば、選手の将来不安は解消する。収入を増やすには、選手会と経営者は運命共同体だという気運を醸成することも大事である。
(2)選手の視点
毎年、約70名の新人がプロ野球に入ってくる。彼らは極めて狭い門をくぐってきたスポーツ界の超エリートだ。彼らは小さい時から地元では天才とか神童などと呼ばれ、特別の存在だったに違いない。しかし、実際に入団すると、その約1割が1億円プレーヤーになるものの、多くは平均年俸以下で10年を経ずして引退を迫られる。
選手が引退後に行ってみたい仕事の第1位は高校野球の指導者。だが、現状では、
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