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加害者が被害者に、あなたはいくら、というのはおかしくないか

大久保真紀

大久保真紀 朝日新聞編集委員(社会担当)

福島県双葉町の町議伊澤史朗さん(53)が3月7日にあった記者会見で疑問を呈しました。伊澤さんは福島第一原子力発電所から3.5キロのところにあった自宅で、獣医をしていました。昨年の原発事故以降、避難を余儀なくされ、いまは埼玉県内で避難生活を送っています。

 「東京電力と国は加害者で、我々は被害者。でも、東電や国が慰謝料を月10万とか12万とかと出してくるのは疑問。本来は、被害者が提示するものなのではないか。そして、その額は妥当なのか」

 この日の記者会見は、「福島原発被害弁護団」が開きました。弁護団は東京と福島の有志の弁護士74人が携っています。原発事故で避難を余儀なくされた住民らを支援し、東電に対して集団で賠償請求を行っていこうというものです。記者会見した日に、まずは33人と3事業者が東電に計8億3千万円余りの賠償を請求し、集団交渉を求めた、という報告がありました。こうした被害者による直接集団請求は初めて、とみられます。

 弁護団としては、「個別請求では救済は難しい」として、避難住民の慰謝料を1人あたり月50万円、将来的に帰れない人には故郷を失った慰謝料として2千万円を設定しました。そのうえで、個別の不動産の損害や、休業中の損害への賠償を

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