大坪正則(スポーツ経営学)
2012年03月20日
メディアが関心を持っている選手とは、東京ヤクルトスワローズからミルウォーキー・ブルワ―ズに移った青木宣親外野手、福岡ソフトバンクホークスから離れシアトル・マリナーズとマイナー契約を結んだ川崎宗則内野手、東北楽天イーグルスから同じくマリナーズに移籍した岩隈久志投手の3人組だ。彼らに共通することは次の3点だ。
(1)30歳を超えており、十分に分別をわきまえた大人であること
(2)日本ではチームの中心的存在であり、3億円を超える年俸を取っていたこと
(3)年俸が3分の1~4分の1に減額し、かつ、レギュラー(先発)が約束されていないにもかかわらずMLBに移ったこと
3人組は、「メジャーリーガーになりたい」という強い願望があり、目的達成のためにあえて安定を選ばず、年俸の大幅な減少も受け入れた。その意味では、彼らの信念の強さは驚嘆に値する。
とはいえ、彼らには家族がある。家族の将来を考慮しなくてもいい環境でもないはずだし、本人たちを含め家族全員が英語を自由に話せるとも思えない。経済的犠牲や精神的抑圧を勘案すると、彼らの判断は明らかに間尺に合わない。
一方で、若手のプロ野球選手の70%が将来の生活に不安を感じているという。調査の対象になった若手の平均年齢が23.7歳。楽観的な3人組と将来を不安視する若手の選手。このギャップはどのようにして生まれたのだろうか。
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください