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メジャーに移った青木、川崎、岩隈の「非常識」を考える

大坪正則(スポーツ経営学)

大坪正則 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

 日米のプロ野球界ではオープン戦が行われ、まもなく2012年のシーズンが開幕する。球団は開幕の準備に追われ、選手たちも最後の調整に余念がない。そんななか、2011年シーズン末に米国メジャーリーグ(MLB)への移籍で話題になった選手たちのなかで、ダルビッシュ有とは別の意味で、依然としてメディア関係者の間で注目を浴びている選手がいる。逆説的だが、メディアの彼らに対する興味は、彼らの生き様が一般的常識から明らかに外れているために、彼らの動向や行く末を見守らざるを得ない、ということかもしれない。

 メディアが関心を持っている選手とは、東京ヤクルトスワローズからミルウォーキー・ブルワ―ズに移った青木宣親外野手、福岡ソフトバンクホークスから離れシアトル・マリナーズとマイナー契約を結んだ川崎宗則内野手、東北楽天イーグルスから同じくマリナーズに移籍した岩隈久志投手の3人組だ。彼らに共通することは次の3点だ。

(1)30歳を超えており、十分に分別をわきまえた大人であること

(2)日本ではチームの中心的存在であり、3億円を超える年俸を取っていたこと

(3)年俸が3分の1~4分の1に減額し、かつ、レギュラー(先発)が約束されていないにもかかわらずMLBに移ったこと

拡大マリナーズ・岩隈久志は活躍できるか?

 3人組は、「メジャーリーガーになりたい」という強い願望があり、目的達成のためにあえて安定を選ばず、年俸の大幅な減少も受け入れた。その意味では、彼らの信念の強さは驚嘆に値する。

 とはいえ、彼らには家族がある。家族の将来を考慮しなくてもいい環境でもないはずだし、本人たちを含め家族全員が英語を自由に話せるとも思えない。経済的犠牲や精神的抑圧を勘案すると、彼らの判断は明らかに間尺に合わない。

 一方で、若手のプロ野球選手の70%が将来の生活に不安を感じているという。調査の対象になった若手の平均年齢が23.7歳。楽観的な3人組と将来を不安視する若手の選手。このギャップはどのようにして生まれたのだろうか。

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筆者

大坪正則

大坪正則(おおつぼ・まさのり) 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

1947年生まれ。1970年、伊藤忠商事に入社。1981~85年まで、アメリカのニューヨークとデンバーに駐在。情報通信総合企画室などを経て 1986年、NBAプロジェクトマネジャーに。現在、帝京大学経済学部経営学科教授。専門はスポーツ経営学。著書に『パ・リーグがプロ野球を変える』『スポーツと国力』(以上、朝日新書)、『プロ野球は崩壊する!』(朝日新聞社)、『メジャー野球の経営学』(集英社新書)など。2014年3月4日、死去。

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