2012年05月01日
この記事の目的は、2011年10月21日に筆者がWEBRONZAに執筆した「5人での再開を望まないファンがいる理由」(以下、WR記事と表記)、および同年11月1日に『朝日新聞』に執筆したWR記事短縮版「分裂後の東方神起とJYJ」(以下、朝日記事と表記)に寄せられた、一部JYJファンからの批判に反駁することである。
前回は東方神起やJYJを知らない人にも分かるように書いたが、今回はある程度この件に関心がある人に向けて話をする。関心のない人にとってはどうでもいいナベツネ vs. 清武の話が許されたのなら(もはや懐かしい)、一部JYJファンの嘘とハッタリを指摘しつつ反駁を書いても許されるだろう。
古参ファンにとっては既知の話がほとんどに違いない。復習に使ってもらえればうれしい。新しく東方神起ファンになった人は、本稿とJYJファンの批判、リンク先の記事を読めば、過去3年間どんなことがファンダムの中で起こってきたか、だいたい把握できると思う(まだ書くべきネット上の事件はあるのだけれど)。古参ファンも新人さんもアンチも、注まですべて読んでほしい。分量が多いので、何日かに分けてゆっくり読んでください。
反駁部分の字数は本文だけで約42,000字で、編集部に依頼して無料で読めるようにした。なるべく多くの人が参照できるようにと願ってのことである。リンクしたJYJファンの批判と本記事の反駁とを読み比べ、どちらの論が理に適っているか読者の判断を乞う。正確を期すため、WR記事や朝日記事も読んだうえで検討していただきたい。
有料部分の字数は約3,800字である。WEBRONZAは有料記事サイトだから、有料部分に「うまみ」を持たせなければならない。だが、記事の目的は無料部分であらかた遂げてしまっている。有料部分に何を載せるべきか。無料部分とつながりがあり、社会問題一般とも関連のあるコンテンツを考え、「現実を直視できない人に独特の話法」について書くことにした。これは、現在、私が非常に関心を寄せていることでもある。
2011年3月の原発事故以降、あれだけの事故を起こしたのにもかかわらず「原発はまだまだイケる」という人や、異常な線量値を示しているのに「この場所で暮らしても大丈夫」という人など、「現実を直視できない人」がやたらと目につくようになった。「これどっかで見たなー」と思っていたところ、原発事故前からネットで活動している一部JYJファンであった。
そうこうしているうちに、原発事故をめぐる「現実を直視できない人に独特の話法」をまとめた安冨歩『原発危機と「東大話法」』(明石書店)という本が本稿執筆中に刊行された。大事故が起きた現実から目をそらし、原発を推進する人が用いる話法の特徴を20個にまとめた、たいへんおもしろい本である。それらの特徴が、私に批判をよこしてきた一部JYJファンの話法にびっくりするほど当てはまった。有料部分ではそのことを指摘したい。
正直、有料部分には興味ナシ、って人もいるかも。でも、無理はいわないけど、無料部分で「よくやった」と思ってもらえたら、投げ銭のつもりで有料部分も読んでください。
原稿料は分量にかかわらず一律。ずいぶん勘違いされているようだが、びっくりするほど安いよ。支払いは規定の原稿料のみで、どんなにアクセスが多くてもボーナスは出ない。韓国の機関への問い合わせを手伝ってもらった通訳さんへの謝礼を考えると数万円の赤字だ。でも、不満はない。あまりお金のことをいってどこかのグループのように「SHIBU\A」などと表記されても嫌だから、論を進めよう。
最後に、太ゴシックで強調しておきたいこととして、2人組の東方神起と3人組のJYJは、現在、別グループとして活動している。
もくじ
■第1章■ 記事への反応
■第2章■ 反 駁
■2-0■ 全体にかかわる批判への反駁など
■2-1■ 澁谷は《デマ》を書いたのか、
なぜ625集会を「裏切り行為」と解釈する人が出てきたのか、
編集バージョンと55分バージョンで結論は変わるのか?
■2-2■ 「一般読者」に思わせたのは筆者の責任か?
■2-3■ 化粧品と裁判を関連づけてはいけないのか?
■2-4■ 化粧品と裁判は無関係と法が《認定》したって本当?
■2-5■ 韓国の雑誌のように訂正・謝罪しなくてはいけないのか?
■2-6■ 書いていないことで批判されなければならないのか?
■2-7■ 625集会で罰金って本当?
■2-8■ 625集会の一部音源を《編集》で《逮捕》って本当?
■2-9■ 625集会の前に集会はあったのか?
■2-10■ 「無断引用」の何が悪い
■2-11■ その他
■第3章■ 嘘にハッタリ。これが一部JYJファン話法だ
――原発推進者との共通点から
■第1章■ 記事への反応
反駁を行う前に記事掲載後の反応を紹介する。まず批判的なものから。2011年10月21日の掲載後から11月30日までの間に朝日新聞社に寄せられた抗議のメール・電話は合計で約180本だった。10月21日にWEBRONZAに掲載されたあとよりも、11月1日に記事の短縮版が『朝日新聞』朝刊に掲載されたあとのほうがずっと多かったという。筆者が勤務する大学の広報課に寄せられた抗議の電話は11月7日に確認した時点でだいたい15本ぐらい、メールは30本ぐらいだった。公開している澁谷の個人メアドには2本の抗議メールが届いた。JYJメンバーの名前と自分の名前を組みあわせた未知の人物から Facebook への招待メールも届いた。意図は不明である。筆者と友達になりたかったのだろうか★1。
朝日新聞社の電話番号を掲載しながら苦情の電話をかけたことを報告するツイートを掲載した2ちゃんねるの書きこみや、澁谷の勤務先の大学広報課の電話番号とともに電凸をするようJYJファンに促す Twitter のアカウント(ひたすら澁谷をディスるメッセージだけを発信しつづけていた)を見つけた。電凸をすすめるジュンスファンのブログは、大学に電話をかける理由について、「裁判所でも化粧品が関係ないと判決が出たのに人権冒涜だということでそんな方を教授にしていていいのですか?みたいなそんなふうに言えるかな。。なんて。思っています」と説明する★2。「ママにいいつけてやる」なみの稚拙な理由である。勤務先に電話をかけても、「教員の研究や執筆にかんして大学はコメントする立場にありません」と返ってくるだけだ。大学は電話をかけてきた人を「お客様」として処遇するカスタマーセンターではない。
また、澁谷を裁判で訴えるという話も出ていると人づてに聞いた。いったい、なんの罪状で訴えるつもりなのか。
記事の修正と謝罪を求めるJYJファンによるネットの署名運動も起こった。日本語・朝鮮語・英語の募集文で全世界的に署名が募られ、2011年11月28日の締め切り時点で11,297筆の署名が集まった★3。抗議文を内容証明で朝日に郵送し、「どやっ!」とばかりに、その写真をウェブ公開する日本のJYJファンも登場した。WR記事に文章を引用されたブログ主は抗議文をブログに掲載し、《慰謝料》と《原稿料》を朝日新聞社にたいして要求している。この人たちの主張については第2章でたっぷり紹介する。
なお、抗議文を出して大騒ぎするスタイルを全JYJファンが支持しているわけではない。「個人的に新聞社に対してのメールや電話での抗議もはどんどんして頂いて構いません」という呼びかけにたいし、「自己の属する集団の主義主張を貫くためにはどんな過激な手段も厭わない正に過激派/恥ずかしい通り越して怖い」、「この一文は恐ろしい 迷惑行為をどんどんやれだなんて」と嫌悪感を表明するJYJファンもいる★4。本稿が「一部JYJファン」という言葉を使用しながら彼女らの批判に反駁するのは、批判やその方法が全JYJファンの意見を代表していないことを理解しているゆえである。
一部JYJファンの澁谷ウォッチングは2012年2月時点でも継続しており、澁谷が討論番組に出るという告知が出れば、「この方に未来について語れるのでしょうか? 疑問です」と、イベントをやるという告知が出れば、「またうわっぺらな資料集めて、さもわかったようなことを知識人ぶって話すんだろうな~」と即座にツイートが流れ、仲間内での情報共有がなされている★5。彼女らの間で「澁谷知美」は「JYJ」に次ぐ注目度の高さを誇るのかもしれない。この記事についても大いに騒ぎ、アクセス数増加に貢献してくれるだろう。
好意的な反応としては、澁谷の個人メールアドレスに5本の応援メールが届いた。勇気をもって書いてくれたことに感謝する、圧力に屈しないでほしい、とあった。客観的に書かれたよい記事だとのコメントをWEBRONZA 編集部のアカウントあてにツイートしている人がいた。
625集会が一般の人にも知られたことはよかったと評価するブログ、良い記事なので読んでほしいというブログを読んだ。澁谷がヒドイ目にあっているので応援をしてほしいという日本の東方神起ファンの書き込みを韓国の掲示板に見つけた。以下、好意的な反応をくれた人のアカウント名やサイトURLは示さない。過激派JYJファンが大挙して荒らしに行くことは上記の例から目に見えているから。その口で嘘とか捏造とかいいたければいえばよい。
記事発表からまもなく韓国の東方神起BBSに全文の翻訳が掲載され、約250人がこの記事を推薦する意思表示をしている(2012年1月9日現在)。事実を列挙し、判断は読者に委ねている点がよいと評価するコメント、泣けた等のコメントが付いていた。複数で手分けして大急ぎで訳したのだそうだ。
Facebook の「おすすめ」ボタンはWEBRONZAの記事としては異例の36個が押されていた(2012年1月9日現在)★6。
批判的なものも好意的なものも合わさった反応として前日分のアクセス数を集計したランキングがある。たまにカウント忘れもあるが、集計をとった2011年10月24日~2012年1月24日の間に1位を獲ったのはすくなくとも12回、2~5位へのランクインは28回であった。2012年に入ってもランク入りしたのは意外。休日や東方神起が歌番組に出演した時に順位が上がる傾向がある。
記事の上部から確認できるツイート数は批判的・好意的・どちらでもないものふくめ87個(2012年2月1日時点)。これもWEBRONZAとしては異例の数である。
■第2章■ 反 駁
寄せられた批判にたいする反駁を以下に行う。次の3つのサイトのテキストを扱う。なお、万一ページが削除されても閲覧が可能なように、魚拓(cache)URLを示した。元URLは魚拓URLをクリックすれば表示される。画像が表示されない場合、「更新」ボタンを押せば表示される(魚拓不可のものは原URL。他サイトも同様)。批判者たちの文章を引用するさいは《 》に入れて示す。
(1)ファンカフェ『JYJの真実――真実は互いの信頼のなかにある』(以下「真実」と表記)
FanCafe JYJ THEIR ROOMS が運営。運営者が何人いるのかは不明。澁谷の記事を掲載した朝日新聞社に抗議文を送ってきた。11,297筆の署名を集めている(2011年11月28日現在。同じ人が2回署名していたりもする)。エイベックスに要望書を、『週刊現代』に訂正文掲載要望書を送った実績があり、この種の活動を得意とする。
今回の件にかんしては、以下の2つの記事を掲載している。特に断りのない場合は、1つ目の記事からの引用である。
「東京経済大学准教授澁谷知美氏のコラムを掲載した朝日新聞社に訂正と謝罪を求める」(記事日付けなし。筆者は2011年11月4日初見)http://megalodon.jp/2011-1224-2314-51/xoxojyj.blog.fc2.com/blog-entry-196.html
「朝日新聞社へ訂正文、謝罪文掲載を求める署名」(記事日付けなし。文中に2011年11月28日に署名を送ったという文言あり。2012年3月5日に元URLにアクセスしたところ、なんと元ページが消えていた。魚拓を取っておいてよかった)。http://megalodon.jp/2011-1224-2315-54/xoxojyj.web.fc2.com/asahi.html
署名は以下で見ることができる。http://twitition.com/cr983
(2)個人ブログ『私達はJYJ日本活動を応援します。JYJ日本活動正常化を目指して』(以下、「応援」と表記)
朝日あての抗議文のみ掲載したサイト。抗議文の文責は「JYJ日本活動を応援する会」主催者だというLovin'JJ、Lovin'JYJ。別URLでジェジュン専門応援ブログを運営しているのと同一人物のyui とjunと思われる★7。
yui とjunが何者であるかは不明。相手の都合を考えず、《上記抗議文書に対する回答期限を11月30日と致します》と一方的に宣言する傲慢さを備えている人物であることは確かである。「恐れ入りますが、11月30日までにご回答をお願いします」だろう、そこは。「世界は私が思うようにあってしかるべき」という脅迫観念のようなものを持ち、それを相手におしつける傾向があるらしい。
一方で、きわめて初歩的な情報なのに、敵の文章のタイトルを正確に記載できない粗忽者でもある(冒頭で「5人での再開を望まないファンがいる」と記載。正しくは「5人での再開を望まないファンがいる理由」)。重箱の隅をつつくわけではないが、文法の間違いや漢字の変換間違いも多い。以下、引用のさいは誤記もそのまま表記し「(ママ)」と記す。
2つめの記事では抗議文の現物といっしょにJYJメンバー・ジェジュンの肖像を写真におさめ、ウェブ上に掲げている。ジェジュンの代理人のつもりなのかもしれない。
以下の2つのテキストが発表されている。ここでは前者を引用し、「応援」と表記する。
「11月1日の澁谷知美氏記事に対する抗議文全文を掲載します。」(2011年11月6日)http://megalodon.jp/2011-1216-2250-52/ameblo.jp/lovinjyj/entry-11070236592.html
「朝日新聞社に正式抗議文書を送りました。」(2011年11月19日)http://megalodon.jp/2011-1216-2251-34/ameblo.jp/lovinjyj/entry-11082614980.html
(3)個人ブログ『bibian の説教部屋』
《高性能イケメンレーダー》を搭載したジェジュンペンのbibianが運営。出所とURL明記の上、筆者はWR記事でこの人の文章を引用した。すると、《無断引用》、無断リンクと騒ぎ、朝日新聞社に《慰謝料》と《原稿料》を要求しだした。タカリ行為である。その様子は下記の1つめの記事で見ることができる。続報もある。とくに説明がないかぎりbibian の文章を引用するさいは1番目のものを指す。
文面にただよう鼻っ柱の強さが特徴。一方、文章を引用されただけで《精神的苦痛》を覚えるナイーブさも備えている。私はbibianに敬称を付けない。タカリに敬称は不要だからである。
「11/1付け朝日新聞社の記事に対する抗議文」(2011年11月3日)http://megalodon.jp/2011-1224-2330-24/ameblo.jp/bibiandriko/entry-11067113265.html
「朝日新聞関係・続報」(2011年11月11日)http://megalodon.jp/2011-1224-2334-26/ameblo.jp/bibiandriko/entry-11074675232.html
■2-0■ 全体にかかわる批判への反駁など
個別具体的な反駁をする前に、全体にかかわる批判にたいする反駁や、この記事を書くにあたっての姿勢の宣言みたいなものを行う。
・「古い情報ばっかじゃん」という批判への反駁
前回・今回とも澁谷がやろうとしているのは、2009~2010年ごろにファンコミュニティでとびかった言説の歴史を書くこと。「古い情報ばっか」になるのは当たり前である。
・「ネット情報ばっかじゃん」という批判への反駁
ファンコミュニティでとびかった言説の歴史を書くにあたって、資料になるのはネット情報である。なんとなれば、多くのファンはネット上で言葉を交わし、コミュニティを作っているから。「ネット情報ばっか」になってよいのである。
・「ちゃんと調べもしないで」という批判への反駁
「ちゃんと調べもしないで」という批判もよく聞く。いやー、すごい調べたんだけどね、ネット上のファン言説。上記批判をいう人たちは、おそらく「ちゃんと3人側の親族に取材して、625集会の意図とか聞きなさいよ」ってことをいってるのだと思う。だが、その必要はないのである。澁谷が調べたいのは、当事者の意図ではなく、ファンコミュニティでとびかった言説の歴史だから。
言説を調べるのは、とても重要なことだ。625集会について何らかの考えを持っている2人ファンや3人ファンに聞くけど、みなさんが今の考えに至ったのはなぜですか? ネット上を巡回して、いろんな資料を見て、他人の意見も読んで、それで今の考えに至ったんじゃない?
その資料や意見のことを、私は「言説」と呼んでいる。2009年6月25日にソウル市江南区の教会で行われた集会にリアルに参加した人は、この世で数10人ていどだろう。それ以外の多くのファンはネット上の言説によって625集会の内容を知り、周辺情報などと合わせてそれぞれの判断を下している。その判断が、署名運動を起こしたり、さらにそれへの反応(好意的なもの、批判的なものふくめ)を惹起してゆく。
そうやって人を動かすパワーが言説にはある。話し手の意図などとは離れて、言説は一人歩きする。よって親族に「本来の意図」など尋ねても無意味だ。
さらに言説は自己増殖する。言説A(たとえば「625集会翻訳全文」)は言説B(「3人はひどい」)や言説C(「3人は間違っていない」)を産み、言説Bからは別の言説D(「ひどくない。たんなるファンと親族の集会だ」)や言説E(「どこがただの集会なんだ」)が生まれ……と増殖していく。そしてまた新たに人を動かす原動力となる。言説が語り手の意図を離れて増殖し、人を動かす様を追いかけるのは、ファンの動向を知りたい私にとってたいへん興味深い。
人や状況を動かすパワーを持っていること、語り手の意図と離れて一人歩きすること、自己増殖すること。こうした言説の特徴は今回の一連の「騒動」でも確認された。今回、署名運動をしたり、電凸をした人は、私が書いた記事=言説によって動かされている。べつに言説以外の物理的な力(首にナワを付けられて署名させられるとか)があったわけではなかろう。私の記事=言説があったから、彼女らは自主的に署名に名を連ね、帰宅して朝日に電話したりした。批判者の誰一人として澁谷に記事を書いた意図を尋ねてこなかった。が、行動し、署名運動に波及し、話し手=澁谷の意図とは無関係に、批判や抗議文などの新たな言説が増殖していった。
言説を調べるということは、ネット上の文章の字づらを追う以上に、社会における人びとの動きを追うという意味がある。私は、625集会をテーマとしつつ、人を動かす要因であるところの言説の動向について、「ちゃんと調べた」のである。
・「澁谷の視点は偏っている」という批判は「天に唾すること」の指摘
「偏った記事を書きやがって」的な批判を一部JYJファンからずいぶん受けた。イエス! 偏ってますよ! 批判者たちが「JYJファン」として偏っている程度には。「お前は偏っている」という批判は、そっくりそのまま批判者自信に返ってくる。いわば「天に唾すること」である。
私ができるのは、嘘を書かないこと。憶測は憶測として書くこと。そして、なんぴとも自分が内包する「偏り」から自由になれない以上、その偏りを自覚することだけである。「下手に「中立」のフリをするより立場をあらかじめ明かしておいたほうがフェアな気がする」とWR記事に書いた気持ちは今も変わっていない。自分でいうが、いいこといってる。
なお、一部JYJファンから「偏っている」といわれるWR記事では、一部JYJファンの意見も紹介している。「この集会〔625集会。以下、大カッコ内は筆者注〕をバッシング指示集会として解釈するのは悪意に満ちた歪曲にすぎない」というやつだ。彼女らからはすっかりスルーされているが。
・属人的発想の誤りの指摘
「これはアンチJYJファンが出した情報だから間違いです」的な批判もよく受けた。「誰々がいっていることだから、間違っている」、「誰々がいっていることだから、合っている」というふうに、発言者の属性をもとに発言内容を吟味する発想を属人的発想という。
この発想でやると、まともな議論ができない。「アンチJYJファンが『太陽は東から昇る』といっていた。だから間違いだ」という主張がまかりとおってしまう。
議論を円滑に進めるためには、属人的発想ではなく、属事的発想が必要。誰がいったか、ではなく、何をいっているかに焦点を当てるべき。「太陽は東から昇る」という主張内容の当否を吟味すべきである。
・人間観が歪んでいること、ファシスト的であることの指摘
批判者たちの人間観が歪んでいることも指摘しておこう。記事を読んだら内容を鵜のみにする、そんな人間ばかりが読者だと考えているらしい。澁谷の記事が、《一般読者》に《JYJ、三人側に非があるように》思わせたとか(真実)、《貴社が何の情報も待(ママ)たない一般読者に与えた影響は多大である》(応援)などといっている。
かなり読者をバカにした人間観である。読者は機械じゃないんだから、いろいろ感じて思考した上で判断を下すだろうよ。澁谷が現在は2人ファンであることや、各主張の根拠や情報源などのコンテクストを勘案したうえで判断するだろう(それを読者がしなかったとして澁谷の責任じゃないし。2-2参照)。上記の批判は、まるで読者の判断が自分の思いどおりにならない場合を恐れているみたい。それとも、読者が全幅の信頼を寄せざるをえないほど澁谷の記事はよく書けていると誉めてんの?
自分の考えと違う意見を持つ人を《アンチ》として切り捨てるのも、歪んだ人間観にもとづいている。以前はジェジュンファンだった葵氏を《アンチJYJ》とし、彼女の意見を信頼するに足らないものとして扱っている(真実)。WR記事でリンクした氏の記事を読めば分かるが、彼女は本当に苦しんだあげく、3人を信用することはできないとの判断を下したのだった。現在の考えに至った根拠も出ているし、根拠と結論をつなぐプロセスに誤謬もないし、決してJYJを誹謗中傷する記事などではない。
苦しんで苦しんで好きだった3人から遠ざかったのは彼女だけではない。私の趣味はファンブログやファンコミュニティの巡回だが、記憶するかぎり、2010年4月の活動休止宣言から6月のJYJのドーム公演を経て、その後数カ月間に渡る一部ファンたちの「迷い」たるや、読んでいて本当に辛かった(そういう私じしんも迷ったし、苦しんだ。なにせユチョンびいきのオルペンだったから)。
もともとは3人も好きだったが、自分の感覚と思考を総動員し、苦しんだあげく、サヨナラした。そんな彼女たちを《アンチ》といって切り捨てるのは、彼女たちの人間らしい感情や思考に信頼を置かず、あたかも情報を鵜のみにする機械として見ているようで、心底ゾっとする。
思うに、自分のものと一致しない感情や思考は無視し、無視するだけでは足らず、殲滅させようとする欲望を持った人たちなんだ、批判者らは。特定の主義主張に同意しない人間を圧力でもって殲滅させる。あるいは社会的にモノをいえない状態にさせる。きわめてファシスト的な態度だ。
「自分のものと一致しない感情や思考はみな間違い→ 圧力で殲滅」の態度を続けると、殺し合いに次ぐ殺し合いになって、最後に残るのは自分だけになるよ。てか、残る前に他人から殺られるよ。3人ファンの間で仲間割れが起きていると風の噂で聞いたが、むべなるかな、である。
なお、これは、苦しんだり迷ったりした人のいうことはすべて正しいという話ではないので注意。「私だって苦しんだり迷ったりしてるんだから、正しいのだ」的なことを一部JYJファンがいいそうな予感がするので、予防線を張っておく。
・歌手の気持ちを勝手に忖度する気持ち悪さの指摘
批判者たちの文章を読んで、たいへん気持ち悪かったのが、歌手の気持ちを勝手にでっちあげる(彼女らの好きな言葉でいう《捏造》する)話法である。たとえば、「真実」は、私の記事が《JYJとJYJファンを深く傷つけ》たなんてことをいっている。つまり、JYJメンバーが私の記事を読んで、「傷ついた」ということだが、そんなこと一介のファンに確認できるわけがない。「朝日の記事を読んで傷つきました」と本人たちがツイートしたという話も聞いたことがない★8。おそらく、「真実」の頭の中に生息する「脳内メンバー」が傷ついただけの話であろう。
自分が傷ついたなら、自分が傷ついたとだけ書けばいいのに。なぜJYJを引きずりこむ? なぜ自分の気持ち=JYJの気持ち?
自分が好きな歌手の気持ちを勝手にでっちあげ、それを免罪符にして大暴れするという行動パターンはとても醜い。「自分の傷つき」だけでは正当性が不足しているとの自覚があるから、「(彼女らの中では偉大な存在である)JYJの傷つき」なるものを勝手に作り上げて、自信のなさを補完したり、話を正当化しているってところだろう、どうせ。いやー、醜い。じつに醜い。
私はこういう醜いことはしない。一連の記事はもちろん、これまで個人ブログなどに書いてきた文章もふくめて、「ユノとチャンミンのために書いている」と思ったことは一度もない。全部、自分が書きたいから書いている。言葉を発せずにはいられないんだよ、彼らの素晴らしいパフォーマンスを見ていると。
話を広げる。夫婦関係や親子関係がうまくいっていない家庭にたいして、心理カウンセラーがするアドバイスがある。「配偶者を自己の延長と考えるな」、「子どもを自己の延長と考えるな」というものだ。親族であっても、他人は他人★9。他人を自己の延長ととらえて、自分の気持ち=他人の気持ちと想定しだしたとたん、悲劇は始まる。
一アイドルグループの分裂がここまで大ごとになった原因の一つとして、ファンが歌手を自己の延長と捉えたことにあると私は考えている。ファンが勝手に歌手の気持ちをでっちあげて、署名活動したり電凸したりというのは一部JYJファンの得意技である(それで無駄に問題を広げて墓穴を掘るのも得意)。
私はJYJとJYJファンは別物と考えている。私に署名をよこしてきたり電凸してきた一部JYJファンにたいしては、「お前が天国に行けるか見てやろうじぇねえか、お?」ぐらいのことを思っているが、JYJにたいしてはそこまでは思っていない。
もちろん、JYJへの愛情はとっくに冷めている。WR記事執筆時はあった「かつて好きだった人に覚える程度の愛着」も半減期に突入である。が、死んでほしいとか、ものっすごく憎んでいるとかの感情はない。かといって5人で再開してほしいとも思わない。あるのは、「なぜ東方神起を離れた? しかもひどい形で」という疑問である。
・WR記事・朝日記事・本記事の目的の確認
WR記事・朝日記事の目的は、「5人での再開を望まないファンがいる理由」を説明することであった。つまり、ファンの動向を説明することが目的であり、それ以外の事項(SMとJYJの裁判、エイベックスと他企業の裁判のゆくえ等)を説明することは目的の外である。目的達成のために「それ以外の項目」に言及することはあったが、「それ以外の項目」の説明に主眼を置いていない。
したがって、《「JYJが訴訟をしなければいけなかった本当の理由『奴隷契約』についてを(ママ)書いて欲しい」》(真実)という要望は却下する。何を主題として原稿を書くかは筆者の自由である。書きたきゃ自分で書きな。
上記記事に寄せられた批判への反駁である本記事の目的も同様である。SMとJYJの裁判、エイベックスと他企業の裁判はもちろん、WR記事発表後に続々と出てきたJYJのスキャンダルについては扱わない。ただし、SMと化粧品会社の裁判については、反駁の必要上、触れる。
・WEBRONZAの性格の確認
これまたずいぶん勘違いされているようだが、WEBRONZAは「オピニオン(意見)」を書く場所で、「中立」的に両論を並べてよしとする「報道」ではない。どんどん自分の意見を書きますよ、私は。一部JYJファンだってバンバン意見いってるじゃない。なぜ自分はよくて他人はダメ?
というか、両論並立が義務化されているのではないにもかかわらず、WR記事・朝日記事では、一部JYJファン側の意見も書いている。これをまず誉めてほしいね。しないだろうけど。
■2-1■ 澁谷は《デマ》を書いたのか、
なぜ625集会を「裏切り行為」と解釈する人が出てきたのか、
編集バージョンと55分バージョンで結論は変わるのか?
2-1-1 澁谷は《デマ》を書いたのか
では具体的な批判について反駁を開始する。まずは一番の核心となる部分から。
澁谷はWR記事や朝日記事でデマを書いたことになっている。《澁谷氏のコラムは、JYJメンバーとJYJファンをバッシングするために作られたデマをもとに書かれています》、《編集された625を説明せずにその結果広がったデマを記事にした澁谷氏の行為は、JYJをバッシングするためにデマを広げるアンチJYJと同じ行為です》(真実)。
本当に澁谷は《デマ》を書いたのだろうか? 答えは、「書いていない」。「デマ」とは「事実に反するうわさ」のことである(『デジタル大辞泉』)。澁谷がWR記事・朝日記事で行ったのは、「625集会についてAという意見があります、Bという意見があります」という意見の“存在の指摘”であって、「意見Aは事実です、意見Bは事実ではありません」という意見の“内容の真偽の判断”ではない。で、それぞれの意見は、事実として、ちゃんと“存在”している。「デマ=事実に反するうわさ」は書いていない。
「真実」が《デマ》といって騒いでいるのは、
1) 625集会は3人側の「裏切り行為」の象徴である、という意見★10
2) 625集会で、3人の親族が2人をバッシングするよう明示的/暗示的に指示した、という意見★11
の2つと推察する。「推察する」と書くしかないのは、「この記述が、こういう事実と齟齬をきたしているのでデマです」と「真実」が明言していないからである。あれだけズラズラ書いているのに、テメエのいう「事実」がなんなのか明言していないですよ、この人は。これは驚くべきことだ(と同時に理解できることでもある。澁谷は《デマ》を書いていないから「真実」は具体的に指摘ができない)。アンタのいう「事実」ってナニ?
1)の意見の存在については、葵氏を例に実証した。「2人が活動できなくなっている事/2人の存在が無視されている事」が、625集会によって引き起こされたと氏が認識している部分である★12。この記事はちゃんとネット上に存在しているから《デマ》ではない。また、類似の意見はファンブログやBBSやSNSに無数に存在する。
2)の意見の存在については、引用こそしていないが、「別の人が音源から要点をまとめた」ブログのURLを示すことで実証した。m氏のブログである。SMに残る2人を非難したあと、なぜ彼らがSMを出ないのか、「そういう話を〔ネット上で〕してやった方が良い評価を得そうに思う」、「賢くやってください」とファンに語りかける親族の発言を、m氏ブログでは確認できる。それを受けて、「ファンサイトに載せると問題だから、個人のブログやそういうところを通じて活動しよう」とファンたちが話しあったとのブログ主による記述も確認できる★13。3人の親族が2人をバッシングするよう、ファンにたいして明示的/暗示的に指示したとの事実認識をm氏が持っていることが分かる。
この記事もちゃんと存在する。また、1)と同様、類似の意見はファンブログやSNSに無数に存在する。
繰り返すが、内容の真偽についての判断はWR・朝日記事ではいっさい行っていない。「こういうファンの意見があります、ああいうファンの意見があります」ということしかいってない。意見が存在する事実さえ示せれば私の仕事は終わりである。以上、澁谷は《デマ》を書いていない。反駁おわり。
一つ読者に覚えておいてほしいことがある。デマをいってる本人が、他人をデマゴーグよばわりするというのは、原発問題でも確認できるポピュラーな手法だということだ。なぜこの手法が論戦で採用されるのだろうか? 3章にて説明する。
2-1-2 なぜ625集会を「裏切り行為」と解釈する人が出てきたのか
それでも一部JYJファンは叫ぶであろう。「625集会は裏切り行為とか、バッシング指示という意見が「デマ=事実に反するうわさ」だってんだよ!」と。
なるほど、集会の音源には2人のことも応援してほしいというような言葉も出てくる。《3人のご家族からは『3人と、2人を応援して欲しい』何度もこのような言葉が出てきています》という「真実」の指摘のとおりである。
だが、同時に、そんな事実があった証拠がないのに、5人で出て行こうと決まっていたのに2人が直前になってひるがえしたとか、625集会よりも先に2人側の親族が同様の集会を開いたとか、そんな発言も3人側親族はしている。集会から約3年が経つが、現在に至るまでこうしたことがあったとの証拠は提示されていない。また、集会に集められたのは3人のファンサイトマスターだけで、5人のそれではない。
そうした発言、事実関係から、「なんか変」と感じ、3人の親族が2人を陥れるための「裏切り行為」、「バッシング指示」とする解釈が出てきた。これはべつにおかしな解釈ではないと思う。すくなくとも、「3人と2人を同時に応援するための集会」、「よくある親族とファンの茶話会」という解釈がおかしくない程度には。
かように、私が書いたのは、発言や事実関係のファンによる「解釈」である。《デマ》という言葉が当てはまるのは、事実の真偽にかかわる叙述についてのみ。だから、「625集会は裏切り行為とか、バッシング指示という意見が『デマ=事実に反するうわさ』だってんだよ!」という叫びには、「意見はデマじゃありません。解釈です」と答えるだけである。
同じ音源を聞いても、出てくる解釈は多様である。明白な事実関係の誤りがあれば修正するが、多様な解釈を並べただけで修正しろといわれても、その必要はないと答えるのみ。「裏切り行為」、「バッシング指示」という解釈を修正するなら、「バッシング指示集会として解釈するのは悪意に満ちた歪曲にすぎない」(WR記事)というJYJファン側の解釈も修正することになるけどいいの?
もうすこし、詳しく話をする。なぜ、「裏切り行為」と解釈する人が出てきたのだろうか? 2010年4月ごろ韓国の東方神起ファンの間で広まった資料から、彼女たちが親族どの発言に注目し、どのような解釈を引きだしたのかを見てみよう。この解釈が「正当=正答」かどうかの判断は読者に委ねる。
「6.25江南バプテスト教会集会」と題される資料は、55分バージョンにもとづいて、3人側親族の問題発言を30箇所に渡って指摘する★14。繰り返すが、“55分バージョン由来”の資料である。「真実」が《悪意に満ち》ていると呼んでいるものとおそらく同じであろう約16分の編集バージョンの動画とほぼ同じポイントを指摘している。だが、そのことはなんら問題ではない。なぜなら、これから紹介する資料は55分バージョンの音声にもとづいて作成されているから。55分バージョンも16分バージョンも同じ集会の音源なのだから、同じような解釈が出てくるのは当たり前である(16分バージョンと55分バージョンを比べて結論は変わるのか、という問いは2-1-3で扱う)。
以下、3人親族の発言と2人ファンの解釈を列挙する。ナンバリングは資料の原文に従っている。一字一句同じではないにせよ、各発言が私に批判をよこしてきた「真実」も認める55分バージョン全訳中にあることは確認済み。意訳してヘンな疑いをかけられても嫌なので直訳する。誤訳があれば、具体的に「この部分」と指摘した上で正解を示されたい。
……と書いた本稿脱稿後、この資料の日本語訳が韓国のサイトにあるのを見つけた。この日本語訳と澁谷の翻訳は一字一句同じではないが、主旨は同じだったので澁谷の翻訳でお届けする。澁谷訳は一部しか訳していないが、日本語訳はすべて訳されている。「6.25 集会とは? 」『資料コレクション』掲載日不明、http://megalodon.jp/2012-0422-1600-56/tvxq-gallery.com/hoisting/2056。
WR記事で引用・言及した葵氏、m氏はもちろん、625集会を問題視する人はだいたいこの解釈を共有している。
最初にまとめ的に要点を述べる。一部東方神起ファンが625集会を「裏切り行為」「バッシング指示」として問題視する理由は明白である。根拠もないのにユノとチャンミンを背信者に仕立てあげたからである。625集会において3人側親族は次の1)~3)のような根拠のない発言をした。そして、分裂の責任は2人にあるという印象を植えつけた。さらに、1)~3)発言の流布指示と解釈されうる発言もしている。
1) 「5人で所属事務所を出て行くことが決まっていたのに、1時間後になって2人が決意をひるがえした」(→そうした事実があった証拠はない)。
2) 「625集会よりも先に2人側が先に集会を持った」(→そうした事実があった証拠がないことは2-9で詳述)★15。
3) 「SMに残る1人だけソロ活動が決まっている」(→実際は2008~09年から5人全員のソロ活動が決まっていた)。
以上の3つのポイントに絞って、資料を見ていこう。
1) 「5人で所属事務所を出て行くことが決まっていたのに、1時間後になって2人が決意をひるがえした」(→そうした事実を裏づける証拠はない)
3人側親族は次のような発言をしている。「2. 5人が出ることにしたのですが、1時間後に2人がひっくり返しました。解決できなければ一緒に出て行くといっていました」、「3. みな賛成をした状態で私ども両親にみなが連絡をして全員が賛成を、したと連絡を受けたのですが、1時間後に2人ができないと突然連絡が来ました」。
これにたいし、資料を作成した東方神起ファンは次のような問題点があると解釈する。「2~3. どんな問題のために所属社を出なければならないのかは絶対に話してくれていないこと。もっぱら、1時間後に2人が残り3人になった事実を強調していること。これが2人が1時間後に背信した背信者説の始まりであること」。
以下、淡々と3人側親族の発言と東方神起ファンの解釈を列挙する。( )カッコは資料作成者による補足、〔 〕カッコは澁谷の補足である。Q&A形式になっているところは、集会に出席しているファンの質問にたいして3人側親族が回答しているシーンである。伏せ字は資料原文ママ。
3人親族発言「24. Q) チャンミンとユノはSMを出たくなくて、そうなのですか? A) 聴いた噂では…何、私はチャンミンと話をしたことはありませんが、戻ったことはすでにそうなったみたいです。(3人より)SMのほうがいいのかもしれない…」
→東方神起ファン解釈「24. 2人が3人よりもSMを好んでおり、したがって出てこないというニュアンスの答え。2人は3人、そして東方神起よりSMを選んだという話で2人の背信者説を確定」。
補足すると、5人で事務所を出て行くことが決まっていたのに、1時間後に2人が決意をひるがえしたという事実は確認されていない。そもそも2人の側にSMを出て行く理由がない。WR記事でも言及した2人の父の確認書によれば、2人は化粧品事業に乗らなかったし、SMを出ようという3人からの誘いを拒否していた。また、2011年4月放送のトークバラエティにて、心境が変化したことも、選択の分岐に立ったこともないとチャンミンは述べている★16。5人で出て行く合意があったと3人側親族は発言するが、どのような理由でそのような合意に至ったのかはまったく不明であり、親族からの説明もない。
2)「625よりも先に2人側が先に集会を持った」(→証拠がないことは2-9で詳述)
3人親族発言「15. こういう席を用意したということは、いろいろ噂されるであろうという意図のもと席を持つことになったのかと思いますが(中略)最後まで私たちの友だち(=マスターたち)が、あー、大切にしてくれるその部分で信じてくれたらと思います、そしてそれなりに今、ねえ? チョンジェスも話をしたように、努力をしています。とても、したいことのために努力をしているので、見守ってください」。
→東方神起ファン解釈「15. 「いろいろ噂されるであろうという意図」=2人のご両親が先に集会を持ち、ののしったというデマの暗示。さらに「したいことを目の前にしながら努力」という、まもなくの東方神起解体および3人の単独グループ活動〔の示唆〕」。
3人親族発言「16. 今、私たちが実はこういう席を用意しようとしたのでもなくて、あるご両親(=2人のご両親)が先にこういう席を作り、3人の子どもたちが今悪口を言われるようになって、それで今その矢がみな3人に来て、子どもたちはとても苦しんでいて、しきりに、すごく、本当に、死にそうだという、そんな声まで上げるほど本当に苦しんでいるんです」。
→東方神起ファン解釈「16. 2人側で先に集会を持ち、3人をののしったというデマを広めていること。しかし、2人側は集会を持ったことがない。続けて、2人側が先に会合を持ったので、6.25集会を招集したという言い訳をしていること。「3人が死にそう」などの強力な単語まで使いながら、マスター達に625集会の正当性について強くアピールしていること。しかし、2人側は集会を持ったことがない。2人にたいするデマをこしらえるために3人の死にそうな様子までも取りあげるなど、この集会には問題が多いこと」。
補足すると、東方神起ファンの解釈中にあるように、2人の両親が先に集会を持ったという事実は確認されていない。集会を持ったはずだと強硬に主張する3人側のファンですら、証拠がないことを認めている。これについては2-9で詳述する。
3)「SMに残る1人だけソロ活動が決まっている」(→実際は2008年から5人全員のソロ活動が決まっていた)
3人親族発言「21. それで4月から、どんな条件条件(ママ)を付けて、誰とはいいませんが、誰か1人を初めにCFを初めに、あちら側で契約をして、その次にドラマのようなもの、こうやってしておいて、子どもたち、何人かの子どもたちは知らない状態で、それを組織的にやってきましたSMが初めに。(中略)子どもたち3人だけ、今、非常に大変です。あの2人は分かりません、SMでどんな方法でその子たちを捕まえたのかわかりませんが、(中略)今、ご存じのように、噂は事実です事実ということです。ですが、全部信じることはしないでください」。
→東方神起ファン解釈「21. CFとドラマの話をしながらこれのために3人を背信しSMに残ったとデマを話していること。しかし松浦社長のブログでも確認できるように、東方神起の個人活動はだいぶ前から決定していたことなので嘘であることが分かる」、「21. 噂は事実だがすべて信じないでくれという愚にもつかない話をしながら2人は続けてSMで何を貰ったのかSMから出てこようとしないと話すこと。2人と3人についての不仲説を絶えず流布。集会の間ずっと不安感を醸成」。
補足をする。2人側メンバーのうち1人だけが個人活動を約束されて、SMに残ったという話を3人側親族はしているが、事実であることは確認されていない。資料に掲載されている2009年12月のエイベックス松浦正人社長のブログによれば、2009年初頭から5人全員の個人活動が決まっていたという。3人側メンバーであるジュンスも雑誌のインタビューで2009年からソロ活動が決まっていたと日本の雑誌のインタビューで発言している。3人側メンバーであるジェジュンが個人で出演した映画『天国への郵便配達人』へのキャスティングは2008年9月の芸能ニュースで発表されている。「これで英雄ジェジュンは東方神起メンバー中初めて個人活動に乗り出すことになった」の一文もある。個人活動第1号はむしろSMに残らなかった者だった、というのが事実である★17。
そして、1)~3)の説の流布指示として東方神起ファンによって解釈された発言は以下である。
3人親族発言「8. あまり深刻にお考えにならず、私の考えはこうです。チョンジェスのために、そのデマを蚕食〔蚕が桑の葉を食うように、他の領域を片端からだんだんと侵していくこと〕させて闘ってくれということでは絶対ありません」、「9. Q) 私たちが矢面に立つのでしょうか? A) いや、その、ここにいらっしゃる方々が矢面に立てとアレしたわけではなくて、みな同じ考えなんだよ」。
→東方神起ファン解釈「8~9. 闘ってくれとか矢面に立てということではないが、「皆同じ考え」をしていると暗示することにより、集会そのものが、矢面に立たなければならない雰囲気を〔参加者に〕知らせていること」。
3人親族発言「10. ここにいらっしゃる方たちが〔話を〕知って、お友だちにまずは話をちょっとしてくださればいいですし。**して、ちょっと我慢して待てば、私たちが最大限の努力をして、うまくいく方向でやりたい気持ちがあります」。
→東方神起ファン解釈「10. 「親しい方たちにまずは話をちょっとしてくださればいい」=デマの流布を指示していること」。
3人親族発言「12. それなら、おのおのホームマスターの方々ですから、各ホームには載せないで、なぜかといえば、各ホームに載せると、またマスターたちがちょっとそうなるかもしれませんから、個人のブログや、そういうところを通じて(一同笑い)載せるように」。
→東方神起ファン解釈「12. 「ホームページ次元では出さないでくれ、ただし個人的に文章を書くことは止めない」という立場を明らかにしていること」。
3人親族発言「13. そうしたら、これが、状況がさらに大きくなるでしょう。こういう状況で、私はこうしたらいいと思います。私たちは5人が1つにまとまってくれたらいいということ。どうしてユノとチャンミンは追いかけてこないのか? むしろそういう話をしてあげたほうが。より良く評価されると思います。(中略)賢くやってください」。
→東方神起ファン解釈「13. 「ユノとチャンミンがなぜ訴訟に参加しないのか」は背信者説を賢く理解し、よく広めてくれというけしかけ」。
以上、3人側親族発言と東方神起ファンの解釈を紹介した。《3人のご家族からは『3人と、2人を応援して欲しい』何度もこのような言葉が出てきています》(真実)という指摘は嘘ではない。でも、そんな言葉以外にも、いろいろ出てきている。そのあたり、「真実」はすっかりスルーである。スルーしないと都合が悪い事情でもあるのかな?
繰り返すが、上記の解釈が「正当=正答」かどうかの判断は読者の判断に委ねる。「不当な解釈だ!」という人はそう思っていればよい。誰かとは違って、どんな手を使ってでも他人のリアリティを変えてやろうという暴力的な欲望を私は持たない。
2-1-3 編集バージョンと55分バージョンで結論は変わるのか
この項では、「音源の編集バージョンと55分バージョンとで結論は変わるのか」という問いを解いてみたい。
まず事実確認。読者に押さえておいてほしいのは、第1に、現在ファンダムに広まっているのは約16分バージョンと約55分バージョンの2種類であること、第2に、前者は過剰な編集が加わったものとして一部JYJファンに認められていないということである。
澁谷がWR記事で言及した解釈は、1) 55分由来のもの、2) 16分由来か55分由来かどちらか分からないもの、の2種類である。1)は、葵氏ブログ、「音源から要点をまとめたもの」として言及したm氏ブログ『真実を求めて』。なぜ55分由来と判断したかというと、m氏ブログが「音声が公開されたので正しく書き直しました」としたうえで、16分版にはないセリフ(「最初、クレビュという化粧品のせいで分かれたような説があった」等)を書いていること、葵氏はそのm氏ブログを参照していることからである。
2)は、「反応の一つは~聞きたくないと耳とをふさぐ人もいた」までの解釈。これは日本の東方神起/JYJファンのブログ、BBS、SNSのコミュニティを各30個ほど閲覧して書いた。各記事が書かれた時期は2010年4月~調査時期まで。16分版を聞いて書いているとか55分版を聞いて書いていると全ファンが明言しているわけではない。16分由来のものもあれば、55分由来のものもあるだろう。
とはいえ、WR記事でもその短縮版である朝日記事でも55分由来の解釈を出していることは確実である。この点をがっちり理解した上で以下を読んでほしい。
それで、批判されているポイントだが、澁谷は「真実」から次のようなことをいわれている。文中の「要点をまとめている」サイトとは、m氏ブログである。
《2010年4月、バッシング指示集会として解釈させるために悪意に満ち歪曲された編集内容が公開されたのを、澁谷氏はご存知ないのでしょうか?/ご親切にも、youtube上に、日本語に訳されたものまで公開されていました。当カフェでは、韓国語バージョンを保存しています》。
《澁谷氏が625集会の要点をまとめているとして紹介しているサイトも、当初は3人をバッシングさせるために編集した内容を上げていましたが、後に修正をしています》。
「真実」が何を言いたいのか、一読して理解できた人はいるだろうか? 私は分からなかった。《編集》バージョン=16分バージョンに怒っているらしく、m氏ブログが過去にそれをアップしていたことにも怒っているようだが、上に確認したように澁谷は55分由来の解釈を出している。《編集》バージョンが《歪曲》されたものだとして、m氏ブログは「真実」がみずからいうとおり、《修正》後=55分由来のものである。いったい何が問題なのだろうか? まったく分からない。
たとえば、もし、澁谷が16分由来の解釈しか紹介していなかったら、会話が成立したかもしれない。「真実」のいっていることは、「55分バージョンを聞くと結論が違うんですよ! 澁谷が紹介した解釈は偏ってる!」という主張になる。
だが、実際には55分由来の解釈を出しているのだった。それで会話がかみあっていないわけだが、なぜそうなったのかを考えてみた。間違っていたらゴメンなのだが、最初、「真実」は、澁谷が紹介した解釈は16分由来のものだけと思ってたんじゃないかな~。けど、よくよく読んだら55分由来もあったと気づいて、あとで書き直したもんだから、なんか、唐突に編集音源の話が出てきちゃってるんじゃないかな~。
というのもですね、11月4日に「真実」サイトを見た時は、「55分版がどうのこうの」って書いてた気がするんだよね。でも、しばらくして見たら、55分という単語が消えてた。まぁ、おぼろげな記憶なので。違ってたら気にしないで。
ともあれ、澁谷は55分由来の解釈を紹介しているので、編集音源がどうのこうのという非難を引き受ける必要がない。
が、それとはべつに、「編集バージョンと、55分バージョンを比べて、結論は変わるのか?」という問いは解く価値がある。この問いも、読者が編集バージョンを聞いて結論を出してほしい。「真実」が保存しているとご自慢の編集バージョンが私の知っているものと同じならば、それは以下のサイトで誰でも聞くことができる。韓国語だけでなく、日本語、英語字幕つきもある。
・625集会音声約16分バージョン(日本語字幕)2010年10月12日。http://bedoomed.egloos.com/982001。
・同上(英語字幕)2010年5月7・8日。その1。http://tvpot.daum.net/clip/ClipView.do?clipid=23724113&rtes=y。その2。http://tvpot.daum.net/clip/ClipViewByVid.do?vid=XZibuK6jtL8$。
・同上(朝鮮語字幕)2010年4月30日。http://tvpot.daum.net/clip/ClipView.do?clipid=23524466&rtes=y。
比べてみた? 結論は変わった? 澁谷の結論は変わらなかった。16分でも55分でも、3人側親族が言っていることは同じだった。もともと同じ集会の音源なのだから、当たり前である。
ついで情報だが、「お前の解釈は編集音源由来にすぎないんだよゴルァ」という恫喝は、一部JYJファンが以前からやっていることのようだ。編集バージョンと55分バージョンを比べると違うとJYJファンは主張するが、55分バージョンを聞くとよけいに何もいえなくなるのでは、という趣旨のことを韓国の東方神起ファンがブログに書いている★18。
2-1-4 特定の意見に澁谷は《同意》しているか
批判者の頭の中では、625集会は「裏切り行為」であると筆者が主観を述べたことになっている。「応援」は次のようにいう。《「3人の裏切り行為」という認識は、筆者が明らかに東方神起側に立っての主観を述べたものであり》。
これ、嘘です。2-1-1で書いたように、澁谷は625集会の解釈については、ひたすら意見紹介しかしていない。百歩譲って、澁谷が特定の意見に《同意》していて、それを記事中で示したとして、それの何が問題? 自分だって特定の意見に《同意》し放題なくせに。
念のため、付しておく。Aという意見があります、という紹介は、Aという意見が真であるという主張ではない(←ここ、声に出して10回読むこと)。当たり前のことだ。「裏切り行為」「バッシング指示」との解釈を紹介したからといって、「この解釈は真である」と筆者が主張していることにはならない。以上。
■2-2■「一般読者」に思わせたのは筆者の責任か?
《一般読者》に《JYJ、三人側に非があるように》思わせたという批判もある(真実)。《貴社が何の情報も待(ママ)たない一般読者に与えた影響は多大である》(応援)ともいわれている★19。
上に書いたように、WR記事・朝日記事では筆者はいかなる反応にも《同意》をしていない。もし、そう読んだ読み手がいるとすれば、それは読み手の頭が悪いのである。読み手の頭の悪さについて書き手が責任を負わなければならない道理はない。以上。
■2-3■ 化粧品と裁判を関連づけてはいけないのか?
訴訟と化粧品は無関係であると法的にも《認定》されているのに関連づけた、と批判されている★20。イエス、関連づけた。で、べつに問題はない。
理由は、司法判定が下ったアレコレについて司法判定と異なる意見をコラムニストが書いてはいけないというルールは、言論の自由が保障されている日本国にないからである。そんなルールがあったら納得いかない判決にたいして「不当判決だ」と論評することもできなくなる。それどんな言論統制だよ。怖いよ。
それに、無根拠に訴訟と化粧品を関連づけたわけではない。2009年2月には変更された契約条件を適用した精算に合意していたのに、6月6日にSMから化粧品事業を咎められ、その18日後に専属契約無効の内容証明をSMに提出したという事実を説明した上で、上記意見を書いている(WR記事の注18)。
根拠と結論の間にロジカルな齟齬があるとも思えない。「2月のSMと3人の良好な関係」が「6月の不仲+8月の訴訟」に変化する過程に化粧品がはさまっているわけで、その変化の要因として化粧品を指摘するのは論理的に間違っていない。論理の飛躍があるというのなら具体的に指摘してほしい。以上、反駁おわり。
ところで、訴訟と化粧品は無関係であると法的に《認定》されたって本当? 次節で検討する。
■2-4■ 化粧品と裁判は無関係と法が《認定》したって本当?
次はこちらからの質問である。《訴訟と化粧品事業が無関係であるというのは、裁判で判断されていることです》(真実)、《「化粧品事業」参入が訴訟の原因でないことは韓国の裁判によって認定されている》(応援)といっているが、本当か?
答え。嘘である。「真実」みずからが論拠として提出している資料にそのように書いていないからである。資料は、2011年2月18日に韓国の裁判所が出したという《「化粧品事業がこの事件申請に対する終局的目的に該当するだけの解明資料は不足する」》という決定文の一文(真実2つめの記事の1の②。澁谷は原文未確認。1の②に添えられた資料4を確認すると、決定文の日付けは18日ではなく15日であり、該当する文言は「記録上化粧品事業の投資について債権者らと債務者間に見解の対立があった事実は認められるが、それが債権者らがこの事件契約を提起した、終局的な目的に該当するとみるような解明資料は足りない」である)。労働契約をめぐる裁判で出されたとのこと。
読めば分かることだが、3人が裁判を起こした「終局的目的」は化粧品にアリと結論できるだけの資料はありませんよ、という話である。「終局的目的」ではないけど、まぁ、「目的の一部」としてはあるんじゃないの? と読解することも可能。裁判と化粧品が無関係などとは一言たりともいっていない。
以上、反駁おわり。自分が持ってきた資料で自分の首を絞めるJYJファン、お疲れ。
反駁はおわったけど、報道資料からも検討してみよう。化粧品と裁判は無関係と裁判所はいっているのか?
訴訟と化粧品との関係性が問われたのは、3人×SMの訴訟とはべつに行われた化粧品会社×SMの訴訟である。一部JYJファンの間ではなぜか「JYJ側が勝った」ことになっている訴訟だが、報道を追ったかぎりでは、訴訟と化粧品事業は無関係という法的《認定》が明確に下された痕跡を見つけることはできない。むしろ、JYJと化粧品事業の関係性があらわになっている。以下に検討しよう。
2009年、SMのキム・ヨンミン代表は、3人とSMの訴訟について、「不当な専属契約と人権、奴隷契約で起きた事件ではない。今回の訴訟は化粧品事業で始まった金銭的誘惑で起きた訴訟」と主張した。これを受けて、3人が投資した化粧品会社であるウィショッププラスは、「3人が、不当な専属契約などを理由に、専属契約効力停止仮処分申請を出したのに、SMは私たちの会社を今回の主要原因だとして、本質をわい曲、私たちに深刻な名誉棄損を負わせた」とキム代表を告訴した。2009年8月と11月のことである★21。
2010年5月31日、検察はキム代表を不起訴(無嫌疑処分)とした。その理由について検察は、「東方神起3メンバーとその家族が、化粧品会社運営に関与したり深い関連を結んでいる状態で、東方神起3メンバーの肖像などを利用して会社を広報したと見られる」とし、「SMはこの過程で、東方神起解体ないし3メンバーの仮処分申請など一連の状況の発端ないし原因が、化粧品会社にあると信じるほどの相当な理由があると判断される」と語った。いっておくが、これはSM側弁護士の言葉ではない。検察の言葉である。
また、3人や家族が化粧品会社中国現地法人に投資した持ち分は全部で62.5%に達し、3人が理事および代表理事などの職責を持っていた点、投資説明会などの広報に参加した点を検察は認定した★22。ここでは、訴訟の原因は化粧品にあるとSMが信じるだけの「相当な理由がある」という判断が下されたことをおさえておこう。
SMキム代表が不起訴となると、ただちにSMは化粧品会社を誣告(嘘をでっち上げて人を訴えること)、名誉毀損、業務妨害の3つの容疑で検察に告訴した★23。
2010年12月、検察は化粧品会社を無嫌疑処分とした(報道は2011年2月)。この事件を調査した検察は、化粧品会社が虚偽事実を指摘して告訴したと見られるだけの証拠が十分でない等の結論を出した★24。
以上の流れを整理するとこうなる。
2009年――キム代表が、訴訟の原因は化粧品にありと主張。化粧品会社が名誉毀損でキム代表を告訴。
2010年5月――キム代表に無嫌疑処分。理由は、訴訟の原因は化粧品事業にあるとSMが思っても仕方ないぐらいの事実が検察によって認定されたから。ここから得られる示唆は、「訴訟と化粧品は関係ある」。
2010年5月――今度はSMが化粧品会社を告訴(上記処分を不服とした化粧品会社側の訴えでないことに注意)。誣告、名誉毀損、業務妨害の3つの容疑で。
2010年12月――化粧品会社に無嫌疑処分。理由は、化粧品会社が虚偽事実をいって告訴したと見られるだけの証拠が不十分だから、など。ここから得られる示唆は、「訴訟と『不当契約』は関係ある」★25。
一連の流れで《認定》されたことは、「訴訟と化粧品は関係ある」「訴訟と『不当契約』は関係ある」の両方であって、どちらかではない。総合すると、法が下したのは、「訴訟の原因は、化粧品も『不当契約』も、両方でしょ」という判断である、と見て大過ない。
したがって、化粧品会社×SM裁判で検察が《認定》したこととして、次の結論を引き出すのはすべて間違いと考えられる。
・3人が訴訟を起こした原因は化粧品のみである(×)。
・3人が訴訟を起こした原因は「不当契約」のみである(×)。
・SMと3人にの間で交わされた契約は「不当」だった(×)。→この訴訟で問題になったのは、3人が訴訟を起こした原因は何か、ということ。契約の当・不当性ではない。
一部JYJファンは2010年12月に化粧品会社が無嫌疑処分となった事実を心の拠り所とし、訴訟と化粧品は無関係という法的《認定》が下されたなどというが、報道を見るかぎり、そうした事実は確認できない。一連の流れにおいて、2010年5月に検察が認定した事実――3人の肖像などを利用して会社を広報、3人や家族の投資の持ち分は62.5%、理事および代表理事などの職責、投資説明会などの広報に参加――は一度も否定されていないからだ。
3人は投資していなかったし、理事などではなかったし、広報にも参加していなかったというのなら、「検察は嘘をついている!」と3人側が訴えてもよかったはずだ。しかし、そのような動きがあったことは報道されていない。
ついで話をする。どうも一部JYJファンはトレードオフ的な思考をしがちな傾向にある。トレードオフとは、「あれかこれか」という思考のことで、「化粧品でなければ、『不当契約』だ」と結論づける発想のことだ。
だが、「あれかこれか」という発想そのものが間違っているのである。検察の結論を見れば、訴訟の原因は「化粧品も、『不当契約』も」なのである。「訴訟の原因は化粧品ではない」という命題から、「訴訟の原因は『不当契約』である」という結論が導けるのは、化粧品と「不当契約」との間に論理学でいうところの排中律の関係が成り立っている場合のみ★26。そして、事実はといえば、両者はそうした関係にない。
以上はニュースで分かる範囲での読解である。「一次資料=裁判資料を読めば違う結論が出る」と主張する人は、加工されていない裁判資料とそれが本物である証拠を掲げた上で反論されたい。
■2-5■ 韓国の雑誌のように訂正・謝罪しなくてはいけないのか?
「真実」は、韓国の雑誌『allure』が化粧品事業と裁判との関連性をほのめかして、ファンの抗議を受け、謝罪文を掲載した話を持ちだしてきている★27。《誤った情報に基づいたコラムを掲載した責任》を朝日の編集者に追求し、《内容の検証と訂正文、謝罪文の掲載》を求める文脈においてである(2つめの記事)。
2-1-4で見たように、澁谷はこういう意見がある、ああいう意見があるという意見の紹介しかしておらず、いずれの意見も実在するものであった。訂正・謝罪しなければならない理由はない。以上、反駁おわり。
ついでの感想。ファンの圧力に負けたallure編集部は弱すぎる。「真実」が出してきた資料12の謝罪文に引用されている問題の記述を読んだが、あのていどなら謝る必要はない。言葉で食っている人間がそう簡単に圧力に屈してはいけない。おかげで、味をしめた読者が日本の新聞社にも圧力をかけてきたじゃないか。
……と思いきや、記事をよく読むと、かつて3人が広告モデルをつとめていた化粧品会社ネイチャーリパブリックからも抗議が来たらしい。ファンより企業に配慮したのかもしれない。将来広告を出稿してくれるかもしれないクライアントだからね。《読者の指摘に応じ》て謝罪したと「真実」は信じたいようだが、さて実態はどうだろう。
■2-6■ 書いていないことで批判されなくてはならないのか?
「真実」は、唐突に、化粧品事業のデマを流した韓国のファンが化粧品会社によって告訴された話を出してきている★28。あー、その話、知ってる。会社はマルチ商法だとか、おかしな原材料を使っているとネットに書きこんで書類送検になったファンがいるという話ね(後述)。WR記事でも朝日記事でも、化粧品会社の経営形態や原材料については一切言及していない。書いていないものにたいする返答責任はないし、批判されなければならない理由もない。
こうやって、相手が書いていないことをあたかも書いているかのように見せかけて、相手がさも失敗したかのように高笑いするのが一部JYJファンの特徴である。彼女らの得意技は「ハッタリ」だ。
ここからはついで情報。《告訴》という言葉が出てきた。よい機会だから、ここで東方神起・JYJファンダムに飛びかう告訴ネタ、書類送検ネタ、反省文ネタを整理しておこう。「○○をして告訴された、書類送検になった、反省文を書かされた」等の噂がやたら多いのがこのファンダムの特徴だ(物騒なファンダムだ。余所もそうなのだろうか?)。また、噂につきもののこととして、出所が示されないのも特徴である。
そこで、「告訴」、「書類送検」、「反省文」に関わる噂の出所をつきとめてみた。できるだけ古い日付のものを探してみただけで、これが最終的な出所であると主張するつもりはない(もっと古い日付のものがあれば教えて)。今回、筆者がつきとめることのできた、比較的信頼でき、比較的日付けが古い情報源は、次の2つであった。
1) 「化粧品会社はマルチ」等の書きこみをしてファンが謝罪文/書類送検(2010年6月~2011年4月)
化粧品会社はマルチ商法などといって書類送検になったファンがいるという話は、めずらしく出所を確認することができる。情報源は、企業が出す報道資料を専門に掲載する韓国のサイトNEWS WiREの2011年4月1日記事。出所は「クレビュ化粧品」と書かれている。
「固定的な悪性虚偽事実流布者法的処理方針」『NEWS WiRE』2011年4月1日、朝鮮語、http://megalodon.jp/2012-0408-2021-56/www.newswire.co.kr/newsRead.php?no=535974&ected=。
同じ内容の記事を他のニュースサイトも転載している。「真実」が2つめの記事で「資料7」として掲げるのは『Media Daum』のものだ★29。
内容は、3人が投資したクレビュ化粧品はマルチ商法だとか、おかしな原材料を使っている等とネットに書きこんだファンを、クレビュ化粧品が司法当局に告発したというもの。謝罪文を作成し、書きこみを自主的に削除した一部ファンについては告発を取り下げた。一部ファンは200万ウォン以上の罰金処分を受け、民事訴訟を控えているという。
化粧品会社の悪口を書いたことを反省し、謝罪文を書いたファンがいるのは本当のようだ。4名による9つの文章をまとめた記事をJYJファンのBBSに見つけることができる。4名の反省文の日付はいずれも2010年6月。実際に化粧品会社を訪問してみたところ、意外に小さな会社で、職員の人びともよくしてくれて、本当に申し訳なかった、明日、警察署に調書を書きに行く、といった内容だ。
これらの謝罪文をまとめたJYJファンは、「インターネットでむやみにキーボードを打てばどうなるのか、骨身に凍みるほど分かったと思う。参考で、告訴された人間は、私が分かるだけでも15人を越えるというんだな~」とウキウキした調子で快哉を叫んでいる★30。
化粧品会社の悪口の件は日本では間違って伝わっているらしい。化粧品会社の悪口ではなく、625集会の音源を広めたゆえに、「15名」が「書類送検」され、「謝罪文」も残っているという話を日本のユチョンファンがしていた。2-7で触れる「ここまでちゃんと調べて読んで書こうかね。先生!」といっていた人である。
だが、2―8「625集会の一部音源を《編集》で《逮捕》って本当?」で確認するように、音声はあいかわらずウェブ上で公開されており、625集会の音源を広めた人が処分されたという話は嘘である可能性が高い。「15名」、「書類送検」、「謝罪文」などのキーワードの一致から、化粧品会社の悪口の件と混同していると見られる。
625集会の音源で書類送検なる件が本当にあったというのなら、話は簡単。信頼できる情報源を示してくれればよい。自身も「ちゃんと調べて読んで書」いたんでしょう?
噂の別の変形バージョンとして、「そもそもJYJが化粧品事業で二人を裏切ったっていうルーマーを流した女の子2人は警察に捕まりました/未成年だったから反省文だけで終わりました/その反省文の資料も探せば見れます」という話もある★31。
これも、化粧品会社の悪口の件が間違って伝わった結果と見られる。「誰かが誰かを裏切った」というアバウトな話をしただけで逮捕とは、この人の頭の中で韓国は相当な言論統制国家になっている。そうでなければ、次の2)に示す、中学生か高校生と見られる少女が書きこんだ謝罪文の件と混同しているのか。「未成年」というキーワードが2)の書き手が少女らしいことと、「女の子2人」というキーワードが2度の書きこみがあったことと類似している。本当の話だというのなら、ぜひ反省文の出所を明示してほしい。
2) ユノの悪口を書いて謝罪(2010年8月)
事情をよくわからずにユノの悪口をBBSに書きこんだことを謝罪するファンの反省文を、韓国のユノBBSに見つけることができる。父親からネット上で謝罪するよう薦められたという。「これからは勉強でもします」といっていることから、中学生か高校生のようだ。2010年8月16日に同一人物が2度書きこんでいる★32。
この学生は、あいかわらずユノの悪口を書きこみ続ける年上のJYJファンにたいして、「抜けだしてほしいです」と呼びかけている。
■2-7■ 625集会で罰金って本当?
告訴ばなしの流れで、625集会の《デマ》を流して《書類送検》があった云々の話を検討しよう。bibian は「抗議文」において、WR記事が《既にデマとして広く認識され、韓国で最初にそれを流した悪質なファンは書類送検され罰金を払うなどして解決したルーマーの典型ともいえる625事件を正当化する》と書いている。
これに反駁する。625集会についていかなる評価も下していないことは2-1-1で見たとおり。もちろん《正当化》もしていない。また、《625事件》(625集会だと思うが)の《デマ》を流したファンが《書類送検》されたという事実は確認できなかった(後述)。以上、反駁おわり。
次はこちらから指摘と反駁。第1に、625集会が《既にデマとして広く認識され》というが、その範囲は「一部JYJファンの間で」と留保を付けるべきものである。一部JYJファンが《デマ》と《認識》したがるのは分かる。だって、そうしておかないと辛すぎる内容だから。しかし、東方神起ファンの間では《デマ》とは認識されていない。
bibian は、集会の何が《デマ》として《認識》されているのかを明記していないが(こんなんばっかりだ)、「集会は裏切り行為、バッシング指示集会とする認識がデマ」と、bibian は考えていると仮定しよう。だとすれば、東方神起ファンの一部のほうではその認識を《デマ》とは考えていないし、《広く認識され》てもいない。ネット空間の状況から見てみよう。
625集会関連の情報はだいたい韓国から発信される。そこで、韓国サイトをGoogle検索した。検索語は「625 モイム」「6.25 モイム」「625 チプフェ」「6.25 チプフェ」である。「モイム」も「チプフェ」も集会の意。もちろん朝鮮語で検索した。
前2者については上位100位まで、後2者については当該集会がほとんど検索にひっかからなかったので上位30位まで見たところ、625集会を問題視する東方神起ファンのサイトや、問題視する東方神起ファンのコメントを掲載したサイトが30件近く見つかった。火消しに必死のJYJファンのサイトやツイートも15件ていど見つかった★33。検索結果からは2011年10月22日以降の情報は外してある。WRの文章の発表が10月21日で、その関連記事が出てくるため。情報は2010年2月から2011年10月3日に出されたものであった。
検索結果の一部を紹介する。ブログ『稀代のサギ劇』の記事「625集会音声、625集会はすべてのデマのはじまり」は、3人側親族が事実ではないことをいって2人を陥れたと述べている。貼りつけられたテキスト画像は、2-1-2で触れたのと同じで、他の東方神起ファンも掲げているものだ。16分バージョンの音声動画へのリンクもある(2010年12月16日)。http://blog.daum.net/mn07/3
東方神起ファンBBS『Daum Telzone 東方神起4』に掲載の記事「625集会 何が問題ですか?」は、イラスト入りで3人側親族の発言と実際にあったこととの齟齬を指摘したもの。集会でSM残留メンバーだけが個人活動でひいきにされているという意味の発言があったが、以前から5人全員の個人活動が決まっていた等の指摘をしている。同時に2人バッシングのさいに出回った噂の出所が集会にあることも示唆する作りになっている(2011年10月3日)。http://megalodon.jp/2012-0422-1152-03/bbs3.telzone.daum.net/gaia/do/starzone/detail/read?articleId=11132863&objCate1=6&bbsId=S000001&searchKey=userid&searchName=%EB%8F%84%EB%B0%94%E
同じ掲示板に掲載された記事「jyjの6.25集会に対して」は、あるファンの意見。「3人ファンの中でたくさんの方々が6.25集会はなんの問題もないと考えるなら、この集会を水面上に上げても良いのではないでしょうか?」と疑義を呈している(2011年1月10日)。http://megalodon.jp/2012-0422-1158-09/bbs1.telzone.daum.net/gaia/do/board/photo/read?articleId=423363&bbsId=A000010&pageIndex=7
以上は検索結果の一部である。前述のように、625集会を問題視するサイトは30件近く見つかった。別の検索方法を取ればさらに新たなものが出てくるだろう。つまり、韓国の東方神起ファンのサイトでは、625集会を3人の「裏切り行為」あるいはバッシング指示集会として見ており、WR記事が出る直前の2011年10月にいたるまで話題が出つづけている。決して、《デマ》として片づけられてはいない。ウソだと思うなら、自分で検索してみればいい。bibian のいう《既にデマとして広く認識され》は、一部JYJファンの間で、にすぎない。ハッタリもほどほどにしてほしい★34。
第2は質問。625集会について《デマ》を流して書類送検されて罰金を払った人がいるというのは本当か。罪状は何か。出所はどこか。
初耳だったので、氏が「抗議文」を公開した3日後の2011年11月6日に、検索ワード「625 書類 送検」「625 書類送検」「625罰金」で日韓両国のサイトをGoogle検索した(韓国サイト検索時は朝鮮語で検索)。検索結果のすべてを閲覧したわけではないが、氏の記事以外で出てきたもののうち、書類送検/罰金との関連があったのは、次の3つであった。
1) 625集会で悪口指示があったとの噂をバラまいて15名が書類送検されたのは事実であり、「ここまでちゃんと調べて読んで書こうかね。先生!」というユチョンファンによる澁谷ディスりツイートを引用しながら「書類送検の話始めて(ママ)聞いたんだがw」とツッこんでいる2ちゃんねるの書きこみ、
2) 上記bibian 記事の朝鮮語訳を掲載した韓国のJYJファン掲示板、
3) 同じものを転載したJYJファン個人ブログ★35。
見落としがあるかもしれない。だとしても、ファンの多くが注目する625集会について噂をバラまいて書類送検などというセンセーショナルな話題にたいし、すぐに見つかる記事が3つだけというのは少なすぎる。3つとも朝日記事以降のものだし、1)の噂の出所は不明、2)と3)はbibian 記事翻訳である。化粧品の悪口で書類送検エピソードの勘違いの可能性がある(2-6参照)。
もし625集会の《デマ》を流して書類送検や罰金ということがあれば、一部JYJファンにとってはたいへん美味しいネタであり、もっと書かれていてよいと思う。化粧品会社の悪口を書いて告訴の件が大いに書かれたように。
次に、韓国の新聞記事検索サイトKINDS=Korea Integrated News Database System (http://www.kinds.or.kr/)で「全国総合日刊新聞」を対象に検索した。期間を2009年6月25日~2011年11月3日に設定した上で、朝鮮語で「ファン 書類送検」「ファン 書類 送検」で検索したところ0件、「ファン 罰金」で検索したところ101件の検索結果を得た。しかし、こちらも該当する事件は見当たらなかった。
代わりにJYJファンがJYJファンを脅迫した事件の記事が「ファン 罰金」の検索でひっかかった★36。JYJの私設放送局を開局した50歳の新規ファンを42歳の古参ファンがねたみ、放送局をやめないと個人情報を晒すと脅したので、脅迫疑惑により罰金200万ウォンで略式起訴されたという2011年4月のニュースである。いろんな意味で味わいぶかい事件だ。
もちろんGoogleやKINDSでヒットしなかったからといって事件は無かったという結論は導けない。そこで、プロの通訳に依頼して、2011年12月中旬に韓国の警察庁の広報に電話で問い合わせた。すると、「些細な事件なので、警察庁としては把握できていない。もう少し具体的な情報がないと分からない」という返答だった。
以上、Google検索、KINDS検索、韓国警察庁広報への電話取材の結果から導ける結論は、「625集会について《デマ》を流して書類送検されて罰金を払った人がいるという事実は確認できなかった」。
bibian はご不満であろう。ならば、ぜひ、625集会について《デマ》を流し、《書類送検》されたという事件の事件番号と加害者の実名を教えていただきたい。これが分かれば韓国の裁判所で記録を調べることができる。加害者のプライバシーの問題があるから、抗議文を送った朝日のメアド経由で澁谷宛て送ってくれ。「このサイトで知った」などの情報源を示すのでもOK。こちらはぜひ自身のブログで公開を。他の人も検証できる。証拠の提示は主張した側が行うのが議論の大原則だ。
bibian は筆者よりもファン歴が長く、情報に通じていると自負する人物だ★37。《訂正記事》の執筆を自ら売りこむぐらいだから、出典挙示など朝飯前だろう。まさか、化粧品会社の悪口を書いて処分された件と混同しているわけでもあるまい。書類送検したのは「私の頭の中の消しゴム」ならぬ「私の頭の中の警察」だったということもあるまい。
■2-8■ 625集会の一部音源を《編集》で《逮捕》って本当?
WR記事が《編集》《捏造》された音源資料を使用し、625集会について《事実ではない》説明をしたと、「応援」が批判している。《筆者が事実の拠としている音源は、後に「3人が2人を裏切った」という構図を証明するために一部音源だけを抜粋、2人側に有利となるようにファンによって捏造されたものであるという事は韓国の裁判に寄って(ママ)明らかにされている。/また、捏造に関わったファンは、警察に取り調べを受け、「事実ではなく捏造したもの」という告白書を作成し、逮捕処分されている》ということも指摘している。
ハイ、出た編集音源ばなし&逮捕処分ばなし。《捏造》という言葉の使い方が間違っているのは置いておくとして★38、この主張に反駁する。
繰り返すが、澁谷はこういう意見があります、ああいう意見もありますという意見の紹介しかしていない。で、それぞれの意見は実在する。《事実ではない》説明はしていない(2-1-1にて既述)。また、紹介した意見が妥当かどうかの判断は読者に委ねている。いかなる解釈についても、「これが事実です」とはいっていない(2-1-4にて既述)。以上、反駁終わり。
今度はこちらから質問。第1。《筆者が事実の拠としている音源》とは、「全文翻訳」つきの55分音源である。55分版は、私が知るかぎり、現在ファンダムで出回っている最長の音源だ。だが、《後に「3人が2人を裏切った」という構図を証明するために一部音源だけを抜粋、2人側に有利となるようにファンによって捏造された》音源だと「応援」はいう。
そこで、具体的にどの部分が《抜粋》《捏造》なのか、具体的に説明されたい。現物も上げてほしい★39。55分版が《抜粋》《捏造》だと知っているということは、それより長いものを「応援」は聴いたことがあることになる。たしかに、55分版も完全版ではなく、一部を切り取った形跡がある。私もファンダムの全てを知りつくしているわけではない。ぜひ説明を。
第2。《2人側に有利となるようにファンによって捏造されたものであるという事は韓国の裁判に寄って(ママ)明らかにされている》、《捏造に関わったファンは、警察に取り調べを受け、「事実ではなく捏造したもの」という告白書を作成し、逮捕処分されている》という話は本当か。裁判所に問い合わせたいので、事件番号と加害者の実名を明らかにされたい(抗議文を送ってきた朝日の住所あてに送ってきて)。
譲歩して、どこからこの情報を仕入れたのか、情報源を明らかにするのでも可。これは皆が参照できるように、抗議文を掲載したブログで公開されたし。この話もまた寡聞にして初耳である。繰り返すが、証拠の提示は主張する側が行うのが議論の大原則だ。2-6で述べた化粧品会社の悪口で告訴の件と混同していたら、「私はアホです」と貴殿の顔にイレズミを入れてくれ。
第3。最大の謎であるが、韓国で逮捕劇を招くような音源が今もなお公開されているのはなぜか。55分版と全文翻訳を掲げる『同じ空の下』は韓国のサイト Daum のブログだし、2-1-3に列挙した編集版を掲げるサイトも Daum と、やはり韓国のサイトである Egloosのものだ。音源がいまだに公開されている理由を説明されたい。分からないなら分からないと明言されたい。これも抗議文を掲載したブログで。
逮捕・裁判が本当なら、国によって何らかの「権利侵害」が認定されたと考えられ、そのような性格の音源はサイト上から削除されると推定される。韓国の「情報通信網利用促進および情報保護などに関する法律」第44条第2項「情報の削除要請など」には、「①情報通信網を通じて一般への公開を目的として提供された情報で、プライバシーの侵害や名誉毀損など、他人の権利が侵害された場合、その侵害を受けた者は該当情報を取り扱った情報通信サービス提供者に侵害事実を疏明し、その情報の削除または、反駁内容の掲載(以下「削除など」とする)を要請することができる」とある★40。
しかし、音源は、WR記事を発表した2011年10月21日はもちろん本稿執筆時の2012年4月現在も公開されている。なんでなんで? 不思議!
■2-9■ 625集会の前に集会はあったのか?
一部JYJファンが固く信じている噂がある。3人側親族が625集会を開いたのは、その前に2人側が集会を開いたからという噂である。「真実」もこれを信じていて、《625集会を説明するには、6月23日24日に何があったのか》を説明する必要があると思わせぶりに主張している★41。
まだこの噂を信じている人がいるのかと感慨深かった。韓国では「想像の中の623集会、624集会」と呼ばれているシロモノである。噂にはバリエーションがいくつかあって、6月23日もしくは24日に2人側の親、もしくはマネージャー、もしくはファンサイトマスターが2人ファンを集めて謀議を謀ったという内容だ。
噂の出所は、625集会の音声だろう。2-1-2でも言及したが、「今、私たちが実はこういう席を用意しようとしたのでもなくて、あるご両親(=2人のご両親)が先にこういう席を作って」と3人側親族が発言している。
もちろん、そうした事実を裏づける証拠は、625集会から約3年が経過した現在に至るまで提出されていない。この話を主張する3人ファンたちみずから証拠がないことを認めているほどだ。たとえば、ジェジュンの顔写真を掲載した日本語ブログは、Twitter に流れた情報として次のような文章を掲げる。「623については、資料が残っていません。私もいろいろな方から頼まれて韓国に問い合わせましたが、残っていないという返事でした」、「623、624はユノマネージャーがJYJを非難しているファンの子たちと集会を持ち625の集会を自分達の都合のいいように脚色するのに準備した会合です。もともと記録はありません」★42。
韓国のJYJファンも同様に証拠提示に失敗している。だが、簡単にはあきらめない。625集会の録音があることそのものが、それ以前に集会があった証拠だと苦しい言い訳をする。「1. 東方神起ファンダム内において、メンバーのご両親とファンたちとの集いは珍しいことでない。/2. 録音は対話の中間ではなく、席が用意されるやいなや始まる。/3. 録音をした人はすでに集いの目的を知っていた。/すなわち、625はメンバーご両親が東方神起存続について言いだした最初の集いでない」。頭のいい人がいたら、3つの前提から最後の結論が出てくる理由を解説してほしい★43。
いちおう証拠提示をしたつもりになっているものとして、6月24日にファンの間でチャットがあったことが集会の証拠、というものがある。だが、ファン同士のチャットと親が3人のファンだけを集めて開いた集会とでは比較にならないと東方神起ファンによって一蹴されている。
また、6月23・24日にBBSや個人ブログに東方神起解体にかんする記事が出たことがその日に集会があった証拠だという主張もある。だが、6月6日にSMと両親たちが会合を持って以降、解体の噂はずっと出回っていた。23・24日に記事が出たことは、同日に集会があったことの証拠にならないと東方神起ファンによって否定されている★44。
証拠はない。が、623集会や624集会はあったと主張する。蛮勇というほかないJYJファンの動きにたいし、韓国の東方神起ファンは、「とにかく根拠を出せ。証拠がない単純な主張は裁判で受けいれられない」、「6.25集会さえも音声が広まるほど、東方神起ファンダムは録音が生活化〔習慣化の意?〕されていて、噂が早いところだ。本当にそんな集会が存在したのなら、何をしてでも2人を引きずり下ろそうとする3人のファンダムがこれを利用しないはずがない。本当に存在するならば6.25音声と同じファクトを持ってこい」と当然の要求をする★45。
ついでながら、「623、624はユノマネージャーがJYJを非難しているファンの子たちと集会を持ち625の集会を自分達の都合のいいように脚色するのに準備した会合です」という上に引用したJYJファンの文章がキテレツすぎるのでツっこんでおきたい。6月25日の会合の「脚色準備」を6月23日や24日にしたと主張しているわけだが、だとすると、ユノマネージャーたちは、これから起こることを予言し、「脚色」できる超能力者集団なのだろうか? 一部JYJファンの発想がユニークすぎてついていけない。
■2-10■ 「無断引用」の何が悪い
澁谷はWR記事でbibian の文章を引用した。引用部分をカギカッコに入れ、ブログ主の名前、ブログ名、記事名、日付け、URLを示した。出所を示さないと、ありもしないブロガーの文章を澁谷が《捏造》したのではないかと疑われるからだ。また、出所はむしろ明示すべきもので、著作権法第48条で義務づけられている。
ブログ『bibian の説教部屋』は、大々的に公開されており、ブログ主のbibian みずからが1日に2~3万アクセスがあると自慢するほどである。公開されている文書であれば、著者の許諾なく引用できると著作権法第32条第1項で認められている。
だが、bibian は引用されたこと、リンクを張られたことに怒っている。のみならず、《精神的苦痛》を覚えたので、《慰謝料》をくれと主張する。また、購読料が発生しているはずだから、自分にも《原稿料》をよこせという。引用する。もちろんbibian に引用の了解を得てなどいない。
《私の書いた文章が無断引用され、さらに参考資料としてこれも無断でブログへのリンクを貼られておりました》。
《そのような〔澁谷の「浅はかな私見」を述べた〕文章に私の書いたものを勝手に引用されたことにより、非常に精神的苦痛を感じるものです。/また、当該記事は有料記事となっていることから、私の文章及びブログへのリンクからも、いくばくかの購読料収入が発生しているものと考えられます。/従って、私が受けた精神的苦痛に対する慰謝料と著者が受け取った原稿料のうち、文章を引用された字数分の私の受け取るべき原稿料を請求するものです》。
ここで検討すべきポイントは2つである。第1に、公開されている文章を引用するために著者の許諾が必要なのか、ということ。第2に、リンクを張るのに著者の許諾は必要なのか、ということである。答えは、どちらも「著者の許諾は不要」。澁谷がいっているのではない。法律家がいっている★46。
まず、第1のポイントについて。要件を満たしていれば、引用は無断で行ってよいのである。「無断引用」という言葉じたいがナンセンスといわれるゆえんである。
弁護士・梅村陽一郎監修、プロジェクトタイムマシン著『コンピューターユーザーのための著作権&法律ガイド』87頁は、次のように解説する。「よく「無断引用」を禁止し「許諾」を求めている場合を見かけますが、先に掲げた要件を満たす公正な引用であれば基本的に許諾は必要ありません。このことは当然インターネット上で「公表された著作物」であるウェブペイジにも当てはまります」。
「先に掲げた要件」とは、既に公表されている著作物であること、カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること等の要件。当然、澁谷のWR記事での引用は要件を満たしている。
公開した文章の引用を禁止できるのだろうか? 答えは、できない。「本の著者であっても、インターネットのウェブマスターでも、引用を禁止することは法的にできません。「引用禁止」などと書いても無効です」(北村行夫・雪丸真吾編『Q&A 引用・転載の実務と著作権法』第2版、5頁)。「「引用」は、無断で行っても良いもので、だれもそれを拒否できません」(林紘一郎・名和小太郎『引用する極意 引用される極意』5頁)。
どうして引用は無断で行ってよいのだろう? そして、拒否できないのだろう? そういうルールを設けておかないと、論敵に反論するために論敵の文章を引用するということが困難になるからだ。
今回のことを例にとろう。澁谷がbibian から批判された。反論すべく、「おたくの文章を引用したいんだが」と澁谷がbibian に頼む。bibian はOKするか? しないよね。だって、自分と違う意見の人から引用されると《精神的苦痛》を覚える人だもの。
が、引用をしないことには澁谷は正確な反論ができない。こういう事態を防ぐために引用を無断で行ってもOK、拒否もできない、のルールはある。bibian のように、自分が意見したいことは意見するが、他人が自分の意見について意見するのは許さないなどという勝手な意向は尊重されないのが大人の社会である。引用されるのが嫌なら非公開記事に書きな。
第2のポイント、リンクについて。リンクもまた無断で行ってよい。禁止もできない。「よく「リンクする場合は許可を得ること」と書いてあるウェブサイトがありますが、著作権法的には許可は必要ではありません」(北村・雪丸前掲書、99-100頁)。「リンクは原則として自由に行なって良いものです。リンクを行なう際に許諾は必要ありませんし、逆に禁止もできないというのが「インターネット(the Internet)」の基本的な考え方と言って差し支えないでしょう」(プロジェクトタイムマシン前掲書、52頁)★47。
では、他人からリンクされたくない時はどうすればよいか? ネットに公開するな、もしくは隔離されたネットワークで運用したり、認証をかけるなどの対応をせよ、が法律ガイドの教えである(林・名和前掲書、74頁。プロジェクトタイムマシン前掲書、55-6頁)。
うまい譬えがある。「「無断リンク禁止」は、公共のスペースであるところの駅の掲示板に情報を書き込んで、周りの人間にそれを見るなと言っているのと似たような状況であると言えます」(プロジェクトタイムマシン前掲書、55-6頁)。誰でも見られるブログに文章を公開しておいて無断リンクを張るなというbibian の愚かさが分かる文章である。
にもかかわらず、bibian は《精神的苦痛》を負ったので《慰謝料》《原稿料》をくれとわめいている。しかも、澁谷の引用が著作権法的に問題がないことを分かって請求していると公言してはばからない★48。いっそう悪い。
そんなに《精神的苦痛》を負ったのなら、澁谷を裁判で訴えれば? その前に、このトンチンカンな案件を引き受けてくれる弁護士が見つかるといいね。
■2-11■ その他
あらかた反駁は終わった。こまごまとした批判を片づけておく。
■「真実」は《殺害予告は本当にあったのでしょうか?》と批判している。あったことを信頼できる芸能関係者への聞き取りで確認している★49。いっておくが、「私の頭の中の芸能関係者」でもなく、一部JYJファンが金科玉条とする「韓国の友人」「韓国の親戚」でもない。以上、反駁おわり。
こちらから質問。《これが事実であれば犯罪であり、警察での捜査が必要ではないかと思いますが、それがされていないことを考えると》と書いているが、警察での捜査がなされていないと断言できるのはなぜか? 警察が捜査をしても被害者の申告により処罰されない「反意思不罰罪」扱いになった可能性はないのか?★50 この可能性が排除できるというのであれば、それはなぜか?
■質問。「真実」は署名を募集しているが、呼びかけ文は日本語のほか、英語や朝鮮語もある。署名した人は全員、日本語で書かれたWR記事と朝日記事の原文を読み、理解した上で署名していると考えてよいのだろうか? 使用言語、在住地からみて日本語が読めなさそうな人も署名しているが。
■《単なるファン目線での記事にも拘らず、東京経済大学准教授という肩書きを利用して》と「真実」はいうが、《単なるファン目線での記事》なんだから、《肩書を利用》してないんじゃない?
■「アルバムのセールスは好調である」(WR記事)とJYJを評価したら、《JYJにとっての良い評価を意識的に省略している》と「応援」に怒られた。なんでも、ビルボードにランクインしたことやビルボード誌の表紙を飾ったこと、カニエ・ウェストにプロデュースしてもらったことを書いてないからだそうだ。あと、成功したコンサート会場として中国・台湾が抜けているからだそうだ。文章の終わりあたりでは、JYJの復興支援を報道しないマスコミ全体に怒っている★51。
なんというか、「世界は私が思うようにあってしかるべき」という発想がすごくて唖然とする。他人に頼まないで、自分で「華麗なるJYJヒストリー」でもお書きよ。もちろん、あの事件や、あの事件には言及しないんだろうけど。
すくなくとも「華麗なるJYJヒストリー」の執筆に私は興味がない。それから、私がいうのもなんだが、シンガポールやマレーシアでもコンサートは成功してるのでは。情報、抜けてますよ。
■《本文中ほどの記載「3人が他事務所に所属しながら東方神起を続けたい」/この発言は事実ではない。/何の情報を持って(ママ)このように断定するのか、情報ソースを明らかにすることを要望する》(応援)。
ソースはWR記事・注2で掲げている中央日報の記事。「不当な専属契約から脱したい」、しかし「解散したくない」と3人が発言している。さらにC-Jesという事務所に所属しながら裁判をしている現実をふまえて、「他事務所に所属しながら東方神起を続けたいという3人側の主張」と表現した。一字一句を忠実に引用したわけではないが、主旨を違えずに別の言葉で言い直した。主旨が間違っていなければ、べつに責められるべきことじゃない。
だいたい「応援」が自分で出している記事の、《「東方神起解体を願うはずない、所属社が違っても一緒に活動する事例がある」》ってセリフ、まさに私が書いている「他事務所に所属しながら東方神起を続けたいという3人側の主張」(WR記事)そのものじゃん。自分の出してきた資料でわけわからんことになっているJYJファン、気持ち悪い。
いやー、いろんな意味で相当ヤバい相手だな、「応援」。編集部にお願い。抗議文は実名で来てますよね? それ、保管しておいて下さい。何かあった時に使えるかもしれないんで。
■《文中最後の部分、「片や、エイベックスに「切られた」形になったJYJ」という記載があるがこの「切られた」という表現は、筆者がエイベックス側からの立場に立っている現れ(ママ)である》(応援)。
「切った」のはエイベックスで、「切られた」のはJYJだから、JYJ側に立って書いていますが何か。
■《最後には、お互いのファンが時間が経つことによって「いずれ5人に戻る」こともあり得るかのような推論で結論付けられている》という記載が「応援」にとってはご不満らしい。《この推論を導き出している根拠を示すことを要望する》だって。
主語と述語のつながり方がよく分からない文章だが、へー、そういう《結論付け》だと思ったんだ。いろんな読み方があるね。おもしろい! 正しくは、「時間」だけでなく「巧妙な作戦」が必要ってことなんだけど。
《根拠》は、最終パラグラフの直前のパラグラフに書いた「2人支持派と3人支持派の間の溝はあまりに深」い事実だよ。私とアンタみたいにね!
逆に聞きたいけど、「応援」としては、絶対に5人に戻らないという根拠でもあるの? べつに5人に戻ってほしいとも思ってないけど。それから、625集会の音源を《編集》して《逮捕》されたって話の《根拠を示すことを要望》しているのでよろしくね!
■《分布表は、いつ、どこで、誰を対象に、どれぐらいの人数のファンを調査したものなのかの記載が一切ない。また、表の縦項目と横項目の分類であるが、これも著しく著者の主観に寄る(ママ)分類項目となっている》、《いつ、どこで、誰を対象に、どれぐらいの人数を調査したものかを明記し、表を作成し直すことを求める》(応援)。
表の情報源がなにか明らかにして表を作り直せというご要望である。お答えしましょう。表づくりの手順は次の3段階である。
第1に、日本の東方神起ファン、JYJファン両方のブログ、BBS、SNSのコミュニティを各々30箇所ほど見て、実際にある意見(たとえば、「現在は2人だけ好きだ」、「昔はオールペンだった」、「5人になんか戻ってほしくない」、「エイベックスは信頼できない」など)をピックアップ。調査時期は2011年10月上~中旬。ブログやBBS、SNSが書かれた時期は、2010年4月~調査時期まで。
第2に、ピックアップした意見から、汎用性のある基準を抽出。たとえば、「現在は2人だけ好きだ」という意見は、「現在のチームに対する態度」の表明であり、「現在のチームに対する態度」という基準を抽出することができる。「昔はオールペンだった」からは「過去のチームに対する態度」という基準が、「5人になんか戻ってほしくない」からは「将来のチームに対する態度」という基準が、「エイベックスは信頼できない」からは「マネジメント会社にたいする態度」という基準が、それぞれ抽出できる。これにもとづき、表の縦項目と横項目を作成。
第3に、表を見直して、実際にあるものに○を付けた。そして、今回の調査では実際に確認することはできなかったが、現実味のある立場にも○を付けた。確認できなかったものには×を付けた。また、現実味のない、あるいは想像しにくい立場にも×を付した。現実味の有無や想像しにくさとは、WR記事で書いているとおり「筆者にとってのそれでしかな」い。
したがって、《いつ、どこで、誰を対象に、どれぐらいの人数を調査したものか》という質問に答えれば、2011年10月上~中旬、日本の東方神起ファン、JYJファン両方のブログ、BBS、SNSのコミュニティをそれぞれ30箇所ほど見て調査したもの、となる(自分でいうが、なんと律儀な回答であろうか。はたして先方は私のように律儀に回答するのであろうか)。
第1段階ではJYJファンの意見も調査対象になっているし、第2段階での基準の抽出と項目たては実在する意見にもとづいてなされている(つまり何を基準としているのかは他のファンの主観であって筆者の主観ではない)。第3段階で○が付いたのは、現実味がありそうと筆者が判断したものに加え、実在する意見である。現実味がありそう、という筆者の主観で○が付いているものもあるが、そのことは明言しているので、べつに問題はない。表を修正しろだって? 断るよ★52。
それにしても、人の話も聴かずに表を修正せよって傲慢すぎる。「世界は私が思うようにあってしかるべき」という観念が強すぎる。もはや医学的治療が必要なレベルだと思う。
1・2章注
★1 朝日や澁谷の連絡先を掲載しながら、「私は毎日、以下の抗議文を送っています」と報告するブログもあった。朝日あての180通の重複分はこの人からのメールかも。しかし、毎日とはね。粘着ぶりが度を越している。xiahwish氏「朝日新聞・WEBRONZA・澁谷知美氏 に対する抗議文」『MAKE A WISH with JYJ』2011年11月3日。http://megalodon.jp/2012-0207-0313-40/ameblo.jp/xiahwishjapan/entry-11067258871.html。
いっておくけど、文中で述べた例外と会員認証が必要な mixi などのSNSをのぞいて、公開されている個人ブログのURLや個人の Twitterアカウントはどんどん書いていくよ。《捏造》とかいわれても困るからね。「私はか弱いシロウトなのにヒドイ!」というクレームは受けつけない。自分から公の場に文章を晒しておいて、他人から晒されないで済まされるって発想が図々しいんだよ。引用については2-10も参照のこと。
★2 「JYJヲタの捏造を暴くスレ」『2ちゃんねる』730番目の書きこみ「帰って来て、一番最初にすることが、朝日新聞への抗議電話とは」、2011年11月1日。http://megalodon.jp/2012-0415-1438-20/logsoku.com/thread/kamome.2ch.net/nanmin/1319554792/。JYJファンのツイートをコピペしたものらしい。元ツイートは TOPSY 検索できず。
ひたすら勤務先の電話番号を Twitter のリプライで発信していたのはmumuiko(@mumuiko。https://twitter.com/#!/mumuiko)。「朝日が無視するなら澁谷氏の勤務先に質問をしてみましょう〔中略〕電話なら相手も無視できないはずです」など11月14日から4日間にかけて24ツイートを他のJYJファンにたいして発信。18日には本件と無関係の澁谷の知人にもケンカを売っている。匿名は人を自由にするね。
「そんな方を教授にしていていいのですか?」は、「625 全文 (日本語訳)再アップ」『XIAH Wonderland』2011年11月1日、http://megalodon.jp/2012-0422-1500-45/usappiable.blog99.fc2.com/blog-entry-1410.html。ついでに、この記事の文章「まったくこの方この音源を聞いて内容を知ったら本当に穴があったらはいりたいでしょうね~」に答えておく。ぜんぜん穴に入りたいと思わなかった。理由は、『同じ空の下』で55分の音源を聞き、全文翻訳を読んだ上でWR記事と朝日記事を書いたから、この人が挙げている「再アップ」なる文章でも2-1-2の資料で指摘されていた問題発言があったから、の2つである。「穴があったらはいりたいでしょうね~」と書いて悦に入る発想がじつに Wonderland だと思った以外に、特にこれといった感慨はなかった。
★3 参考までに、2011年2月に締め切られた「海外ファン限定 JYJの法的権利と人権の公認と保護に関する請願書」の署名は86,418筆だった。ソウル中央地方院に提出された。それと比べると1万数千筆はいかにも少ない。「JYJ8万海外ファン、法院に「SM活動妨害中断せよ」嘆願書提出」『NATEニュース』2011年2月28日、朝鮮語、http://news.nate.com/view/20110228n20553。
★4 「JYJを冷静に語るスレ8」『2ちゃんねる』20、22番目の書きこみ、2011年11月7日、http://megalodon.jp/2012-0421-2017-45/2chnull.info/r/mendol/1320560981/。もっとも、「過激派」にとっては、この書きこみはJYJファンのものではない、アンチによる《捏造》ということになるのだろうが。
★5 1つ目は「シズ」の2011年12月14日ツイート(@tmts94321。https://twitter.com/#!/tmts94321)。2つめは「花」の2012年1月26日ツイート(@kissmyc。https://twitter.com/#!/kissmyc)。TOPSY 検索できなかったけど、「濡れ衣だ!」というのならキャプチャを見せるよ。
★6 2012年1月9日まで36個で安定していた「おすすめ」ボタンは、突如、13日に10個に減ってしまう。たった4日の間に何があったかは不明。
★7 たとえば以下の記事を参照。「11月1日の澁谷知美氏記事に対する抗議文全文を掲載します。」『Lovin'JJ』2011年11月6日、http://megalodon.jp/2012-0421-2011-14/ameblo.jp/lovinjj/entry-11070099861.html。「抗議書と別件アメンバーへの告知。」2011年11月19日、http://megalodon.jp/2012-0421-1959-22/ameblo.jp/lovinjj/entry-11082593578.html。
★8 「傷ついた」どころかむしろ賛同しているのでは。想像だけど。というのも、WR記事の結論部が、その後に発表されたユチョンの意見と似ていたから。5人での活動を再開させたい関係者にたいして、時間を置かないとプロジェクトは失敗に終わるだろうと2011年10月21日発表のWR記事で私見を述べた。その後の11月2日、「どんな結果が出ようと、時間が経てばそれも解決できるのでは」とユチョンが韓国の雑誌『HIGH CUT』64号のインタビューで語ったというニュースが流れた。「パク・ユチョン「東方神起葛藤、時間経てば解決すること」」『NATE 芸能ニュース』2011年11月2日、http://news.nate.com/view/20111102n04709。
★9 625集会にかんしても、3人の親族は、自分と我が子/弟は別個体であるとどれだけ認識できていたのだろう、と思うことがある。
★10 具体的には次の記述にて意見紹介した。「「裏切り行為」の象徴といわれる「625集会」」(WR記事)、「これ〔「625集会」と呼ばれる集いの記録とされる音源の公開〕を端緒として、3人は2人を「裏切った」と解釈し、5人での活動再開を望まないファンが出てくる」(朝日記事)。
★11 具体的には次の記述にて意見紹介した。「3人の親族が2人をバッシングするよう指示する集会として625集会を解釈、3人側に失望したとするもの」、「たしかに明示的なバッシング指示はないかもしれない。しかし、発話された状況や発話者の身ぶり口ぶりからバッシング指示として解釈される余地はあったはずだ」(WR記事)。
★12 葵氏ブログ「625」『東方神起は2人!』2010年10月25日、http://ameblo.jp/naillovegirl/entry-10687662299.html。
★13 m氏ブログ「その7 (6・25集会 1~3)」『真実を求めて』2010年9月24日。http://megalodon.jp/2012-0425-2235-04/blogs.yahoo.co.jp/sayori1233/18865309.html、http://megalodon.jp/2012-0425-2238-32/blogs.yahoo.co.jp/sayori1233/18865333.html、http://megalodon.jp/2012-0425-2241-26/blogs.yahoo.co.jp/sayori1233/18865355.html。
★14 この資料は、「プリン作成、オホオッホホン製作」、「6.25バプテスト教会音声およびdnbn.org整理本参考」とある。同じ資料が複数の個人ブログに掲載されていることから、最初は大手ファンカフェに掲載され、のち広まった資料と察する。たとえば次の韓国の個人ブログで閲覧することができるが、ブログ主作成のものではない。トルトリ氏「チョンジェスの625集会」2010年4月22日、朝鮮語、http://blog.naver.com/jkpks3595/20104420668。同じ空の下氏「625音声」2010年6月1日、朝鮮語、http://blog.daum.net/edamame/163。2-7で言及するブログ『稀代のサギ師』にも。
★15 何かを「したこと」の証明と違い、「していないこと」の証明は「悪魔の証明」と呼ばれるほど難しいことだ。1)と2)の3人側親族発言はその証明困難性を上手に利用していると思う。1)の発言に反駁するためには、「そもそも、ひるがえすべき決意をしていない」という「していない」ことを、2)は「集会を持っていない」という「していないこと」を証明しなければならない。
ついでに、2012年4月3日にWEBRONZAに掲載された小北清人記者による「永遠に続きそうなJYJモグラたたき――情が支配する韓国芸能界の人間絵図」の次の記述にも触れておこう。「そもそもSМ社からの脱退劇は、当初はメンバー5人全員が加わっていたといわれています。ところがうち2人は事務所の説得で翻意し、残る3人が決行に踏み切ったということでした」という話を、「韓国大手メディアの芸能記者たち」から聞いたとのことであった。http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012040300007.html。
「当初はメンバー5人全員が加わっていた」という話が1)発言に、「事務所の説得で翻意」が3)発言に類似しており、検討の余地がある話だと私は思った。もし「韓国大手メディアの芸能記者たち」の情報源が625集会音源で、そこでの発言が変形して日本のWEBRONZAに掲載されたのだとしたら、噂の伝達様態を示す事例として興味ぶかい。ブティックの試着室で女性が消えたというデマの生成を追った流言研究の古典 Edgar Morin et al., ”La Rumeur d’Orléans” (邦題『オルレアンのうわさ』みすず書房)がふと頭をよぎった。
★16 ユノとチャンミンの尊父による確認書から。全文の日本語翻訳は、「確認書(全文)」『同じ空の下』2010年10月8日、http://blog.daum.net/dolly-sunja/13741224。元記事は中国語サイト『SOHU.COM』に2009年11月3日に掲載。http://megalodon.jp/2012-0422-1406-12/korea.sohu.com/20091103/n267917922.shtml、http://megalodon.jp/2012-0422-1407-30/korea.sohu.com/20091103/n267917628.shtml。チャンミン発言は、『現場トークショー TAXI』韓国 tvN にて。2011年4月14日放送。日本語字幕つき動画は次のURL。発言は1分目ぐらいから。http://www.youtube.com/watch?v=6MVMQ1tgkEw&feature=relmfu。
★17 松浦社長ブログ元記事は、「1月シングルのカップリングがジュンスソロ曲になったことについて」『仕事が遊びで遊びが仕事』2009年12月19日、http://megalodon.jp/2012-0408-1657-28/max.syncl.jp/?p=diary&di=283193。ジュンス記事は「シア・ジュンス 新たなる未来へ」『ELLE JAPON』2010年6月号。ジェジュン記事は「「本格芝居挑戦」英雄ジェジュン「東方神起内で個人活動」」『STAR NEWS』2008年9月25日、朝鮮語、http://megalodon.jp/2012-0408-1704-34/star.mt.co.kr/view/stview.php?no=2008092418063009880&type=1&outli-nk=1。
★18 Opera 氏「[625集会]東方神起 6.25 jyj 背信 625集会全体筆写本 – 625音声を聴けば20分ほどの編集本と違う? 625音声全体を一度聴いてみよう」『I Puke RainbOw』2011年5月9日、http://blog.naver.com/qlajdhqk/40128915613。
★19 重箱の隅をつつくようだが、《一般読者》《一般大衆》って言い方やめてくんないかな。アンタだって一般読者だし一般大衆なんだから(私もだが)。なぜに特権階級気取り? 「ファンではない人」とか「事情をよく知らない人」って言い方があるだろう?
★20 《『訴訟は化粧品事業とは無関係という3人の主張には無理がある』とも言っていますが、訴訟と化粧品事業が無関係であるというのは、裁判で判断されていることです》(真実)。
★21 「ユチョン・ジェジュン・ジュンス&化粧品会社の名誉毀損訴訟、SM無嫌疑」『Innolife.net』2010年6月17日、http://megalodon.jp/2012-0408-1719-32/contents.innolife.net/news/list.php?ac_id=4&ai_id=116248。
★22 「SM、「東方3人」関連名誉毀損無嫌疑」『NAVER News』2010年6月17日、朝鮮語、http://news.naver.com/main/read.nhn?mode=LSD&mid=sec&sid1=106&oid=018&aid=0002268109。検察のいうとおり、3人は投資説明会に参加している。2009年1月6日、中国でのことだ。その写真と動画とされるものがネットに上がっているので紹介しておく。同日に3人が投資説明会に参加したことは、625集会の音声でも親族みずからが語っていることで、隠すことではない。写真はhttp://blog.daum.net/genesis_v/84。動画はhttp://www.youtube.com/watch?v=uoHBSOomdSQ。
★23 「東方神起解体原因として見られたクレビュ化粧品無嫌疑処分!」『STAR DAILY NEWS』2011年2月18日、朝鮮語、http://megalodon.jp/2012-0408-1729-52/www.stardailynews.co.kr/news/articleView.html?idxno=198。
★24 参照したのは以下の3つの記事。本文に訳出したのは1つ目のもの。いずれも内容に大差はない。「東方神起解体を原因とする化粧品社無嫌疑処分「SMはどう出る?」」『TV REPORT』2011年2月18日、朝鮮語、http://megalodon.jp/2012-0408-1739-11/www.tvreport.co.kr/cindex.php?c=news&m=newsview&idx=94470。「クレビュ化粧品、SM逆告訴訴訟で「無嫌疑」処分受ける」『JKSTARS.COM』2011年2月18日、朝鮮語、http://megalodon.jp/2012-0408-1745-23/news.jkn.co.kr/article/news/20110218/5508739.htm。「東方神起解体原因?(株)クレビュ化粧品、無嫌疑処分」『Max News』2011年2月18日、朝鮮語、http://megalodon.jp/2012-0408-1749-18/www.maxmovie.com/movie_info/ent_news_view.asp?mi_id=MI0091784717。ついでながら、3つ目の記事の一文「(株)クレビュ化粧品に無嫌疑処分が下されるとすぐにSMは無辜、名誉毀損、業務妨害容疑で検察に逆告訴した」の「(株)クレビュ化粧品」は正しくは「SM」であろう。
★25 SMと3人の契約が「不当契約」だったかどうかは現在、非公開の裁判で係争中のことであり、部外者が伺い知ることはできない。「不当契約」だったかどうかを結論づけることは避け、3人側の言葉を引用する形でカッコに入れて表記する。
★26 排中律について知りたい人は、飯田泰之『ダメな議論』ちくま新書、100-1頁参照。
★27 《韓国雑誌allure紙面にて、同様にJYJの訴訟と化粧品事業を関連させる記載がありましたが、同誌では読者の指摘に応じ、事実の確認の後、誤りを認め訂正し謝罪文の掲載をしています。(資料12)》(2つめの記事)。
★28 《化粧品事業関連のデマを作り流布した韓国ファンは、化粧品会社に告訴されました》(2つめの記事)。
★29 『Financial News』2011年4月1日、朝鮮語、http://megalodon.jp/2012-0408-2025-18/www.fnnews.com/view?ra=Fn_pr_news_view&corp=newswire&arcid=3000535974&cDateYear=2011&cDateMonth=04&cDateDay=01&。『Media Daum』2011年4月1日、朝鮮語、http://media.daum.net/press/view.html?cateid=1065&newsid=20110401152828736&p=newswire。
★30 「分からない方々のためにコピペ、コピペ」『Daum Telzone JYJ1』2011年1月7日、朝鮮語、http://megalodon.jp/2012-0408-2052-10/bbs3.telzone.daum.net/gaia/do/starzone/detail/read?bbsId=S000001&articleId=9122338&objCate1=96&forceTalkro=T。2012年4月23日に元記事を検索した。辿れたのは9つの謝罪文のうち4つであった。1つめ。http://megalodon.jp/2012-0423-2233-15/bbs3.telzone.daum.net/gaia/do/starzone/detail/read?articleId=7717671&objCate1=6&bbsId=S000001&searchKey=subjectNcontent&sortKey=depth&searchVal。2つめ。http://megalodon.jp/2012-0423-2234-21/bbs3.telzone.daum.net/gaia/do/starzone/detail/read?articleId=7705161&objCate1=6&bbsId=S000001&searchKey=subjectNcontent&sortKey=depth&searchVal。3つめ。http://megalodon.jp/2012-0423-2235-15/bbs3.telzone.daum.net/gaia/do/starzone/detail/read?articleId=7732589&objCate1=6&bbsId=S000001&searchKey=subjectNcontent&sortKey=depth&searchVal。4つめ。http://megalodon.jp/2012-0423-2235-59/bbs3.telzone.daum.net/gaia/do/starzone/detail/read?articleId=7737650&objCate1=6&bbsId=S000001&searchKey=subjectNcontent&sortKey=depth&searchVal。検索方法は、元記事の出所である東方神起BBS『Daum Telzone 東方神起5』の冒頭ページの下段の検索窓から各文章のタイトルで検索。冒頭ページURLは、http://bbs3.telzone.daum.net/gaia/do/starzone/detail/list?bbsId=S000001&objCate1=6&forceTalkro=T。4つしかなかったというのは事実を述べただけで、検索にひっかからなかった謝罪文はJYJファンによる捏造だと主張するつもりはない。
★31 わさお氏「わさおは激怒した」『はちみチュ』2011年7月20日、http://megalodon.jp/2012-0422-1044-49/mblg.tv/mielpooh/entry/61/。執筆年が不明だったが、その10個前のエントリに2011年5月14日に行われたライブ『東京伝説2011』の感想があったので2011年の記事と判断した。
★32 「今から私がしたことを謝罪します」『ユノユノ・ギャラリー』2010年8月16日、http://gall.dcinside.com/uknow/4909、「私はここに謝罪します」2010年8月16日、http://gall.dcinside.com/uknow/4914。
★33 検索日は2012年1月29日と2月1日。漢字語「チプフェ(集会)」より固有語「モイム(集まり)」のほうがだんぜん多くヒットする。WEBRONZAサイトは朝鮮語が表示されないので、各自Google翻訳で「集まり」「集会」を翻訳し、「625」あるいは「6.25」と組みあわせて検索されたし。情報がザクザクだよ。コピペして翻訳サイトにかければだいたいの意味は分かる。コピペできない記事のコピペ方法については、「アクティブスクリプトを無効」にする方法を検索して試してみよう。ブラウザの設定変更は自己責任でやってください。ついで情報だけど、1950年6月25日に開戦した朝鮮戦争のことを韓国では625事変、625戦争と呼び、その関連情報も多く検索にひっかかる。
★34 「真実」の次の記述もハッタリそのもの。《「この編集された音声は、悪質な捏造であると簡単に判断できるもので話題にもなっていません。これを信じて3人が2人を裏切ったと非難しているのは、恥ずかしいことに現2人体制東方神起の日本人ファンの中の一部だけです》(2つめの記事)。編集バージョンはむちゃくちゃ話題になってるし、韓国でも騒がれてるっての! ネットで検索すれば一発でバレる嘘を平気でつく神経は医学的治療を要するレベルと思う。あるいは、この人には、ネット空間は国境を超えて広がっているという認識がないのか? いずれにしても病んでる!
★35 1)は「東方神起の雑談避難所3370」『2ちゃんねる』61番目の書きこみ、2011年11月3日、http://megalodon.jp/2012-0408-1413-31/logsoku.com/thread/kamome.2ch.net/nanmin/1320302389/。ユチョンファン「joze」(@jojo6002_64。https://twitter.com/#!/jojo6002_64)による2011年11月2日の澁谷ディスりツイートの検索結果は次のURL。タイミングによってヒットする時としない時があるので何度かトライして下さい。1つめ。http://topsy.com/s?q=%E6%97%A5%E6%9C%AC+%E5%B1%8A%E3%81%84%E3%81%9F%E3%80%80%E5%86%85%E5%AE%B9%E3%80%80%EF%BC%AA%EF%BC%B9%EF%BC%AA%E3%80%80%E8%A6%AA+from%3Ajojo6002_64。2つめ。http://topsy.com/s?q=%E3%81%9D%E3%81%AE%E6%99%82%E3%80%80%E8%AC%9D%E7%BD%AA%E6%96%87%E3%80%80%E9%80%81%E6%A4%9C%E3%80%80%E6%9B%B8%E9%A1%9E%E3%80%80%E8%A8%98%E9%8C%B2。2)は「朝日新聞記事にたいする抗議文」『Daum Telzone JYJ 2』2011年11月4日、朝鮮語、http://megalodon.jp/2012-0408-1435-16/bbs3.telzone.daum.net/gaia/do/starzone/detail/read?articleId=11317091&objCate1=96&bbsId=S000001&searchKey=subject&sortKey=depth&searchValue=%EC。3)はこんぺいとう氏「朝日新聞の記事にたいするソムニョの抗議文」『Shining Star JYJ』2011年11月4日、朝鮮語、http://blog.daum.net/jt2023/5757。
★36 「「JYJ」インターネット放送設立者批判40代女略式起訴」『Asia Today』2011年4月5日、「ファングループ戦争「身上ばらし」JYJ40代女性ファン起訴」『文化日報』2011年4月5日、「[ごみ箱]グループJYJの「恐ろしいおばさんファン」」『東亜日報』2011年4月6日、「グループJYJおばさんファンたちの嫉妬劇」『韓国日報』2011年4月6日(以上、朝鮮語)。
★37 bibianの自信満々の記述は以下。《私の東方神起ファン歴は当該記事筆者より相当長く、また私のブログは無料閲覧できる個人ブログではありますが東方神起問題・JYJブログとして一日2~3万アクセスあり相当数の読者から信頼されているものと自負しております。〔中略〕訂正記事を書く人材が不足しているようでしたら、私がお引き受けするかもっと詳しい方をご紹介できますことを申し添えます》。すげー自信だな。http://megalodon.jp/2011-1224-2334-26/ameblo.jp/bibiandriko/entry-11074675232.html。
★38 「捏造」とは、「事実ではないことを事実のようにこしらえること。でっちあげ」(『デジタル大辞泉』)。ないものをでっちあげるのが「捏造」だ。《一部音源だけを抜粋〔中略〕捏造された》は言葉の使い方として不可。《抜粋》できるだけの「もと」があるからだ。
★39 55分版をめぐってはJYJファンの間でも意見が分かれているようだ。「真実」は、WR記事で引用したサイトが参照している音源(55分版)について、《当初は》編集された音源を使用していたものの《後に修正をしています》と書いており、現状ではとくに問題点を見出していない。だが、2-8の冒頭に引用したように、「応援」は55分版をもとにした「全文翻訳」を《抜粋》《捏造》とし、問題ありと見ている。
★40 国家法令情報センターサイト、朝鮮語、http://www.law.go.kr/lsInfoPWah.do?lsiSeq=116791。
★41 当然、これも情報源の挙示がない。同様の批判に、《この「625集会」だけでなく、「624集会」「623集会」など、筆者が学者としての見地に立ち、真実を分析するという意思があれば、韓国から裁判記録を取リ寄せ、韓国語を自ら翻訳し読むことも可能であったはず》(応援)がある。ない集会についての裁判記録は取り寄せられない。
★42 「JYJ fromTVXQ」が書く「623 624 625 東方神起 ユノのマネージャー ホミン twitterより」『☆☆☆p(^-^)q ☆☆』2011年2月9日、http://megalodon.jp/2012-0202-1632-11/blog.goo.ne.jp/motofan/e/400a97e0f9a8e201833433f6c05eeaf0。ブログ記事が書かれた2月9日午前1時11分以前の条件で元ツイートをTOPSYで検索したが、出てこなかった。
★43 JYJファンが集まるBBSの書きこみ「おい、ところで今考えてみたら625集会でもっとも鳥肌が立つことは何なのか?」『dcinside.com 東方神起gallery』2011年1月30日、朝鮮語、http://gall.dcinside.com/dongbang/1323752。上記記事を転載、コメントを書き加えたBBS記事に、「JYJルーマー修正-625集会...もっとも鳥肌がたつ事実...」『Daum Telzone JYJ1』2011年2月20日、朝鮮語、http://megalodon.jp/2012-0408-1604-25/bbs3.telzone.daum.net/gaia/do/starzone/detail/read?articleId=10092217&objCate1=96&bbsId=S000001&searchKey=subjectNcontent&sortKey=depth&searchV。記事タイトルと違って、デマ修正できていない。一部JYJファンの自称「デマ修正資料」などこの程度のものである。ついでながら、前者は98人が、後者は106人が推薦する人気記事(2011年4月8日現在)。一部JYJファンに論理的思考を求めてはいけないことがよく分かる。
★44 たとえば、次の記事参照。「6月23日6月24日???(写真追加)」『Daum Telzone 東方神起4』2011年1月9日、朝鮮語、http://megalodon.jp/2012-0408-1612-40/bbs3.telzone.daum.net/gaia/do/starzone/detail/read?articleId=9219445&objCate1=6&bbsId=S000001&searchKey=subjectNcontent&sortKey=depth&searchVal。「Sword Chatting」『Daum Telzone 東方神起4』2011年2月26日、朝鮮語、http://megalodon.jp/2012-0408-1629-20/bbs3.telzone.daum.net/gaia/do/starzone/detail/read?articleId=10146470&objCate1=6&bbsId=S000001&searchKey=userid&searchName=%EB%8F%8C%EB%8F%8C&s。Opera氏「ユノファンたちが6.23,6.24 先に集まりを持ち、ルーマー流布した!! <--JYJファンたちの妄想」『I Puke RainbOw』2011年4月17日、朝鮮語、http://blog.naver.com/qlajdhqk/40127481588。記事タイトル横のタグ「想像の中の623集会」をクリックすると他の関連記事も出てくる。
★45 「jyjファンたちの根拠なき主張に一言で反駁する (+3.17修正) 」『Daum Telzone東方神起4』2011年2月14日の「13.」、朝鮮語、http://megalodon.jp/2012-0408-1601-01/bbs3.telzone.daum.net/gaia/do/starzone/detail/read?articleId=10032259&objCate1=6&bbsId=S000001&searchKey=daumname&sortKey=depth&searchValue=%EB。
★46 おそらく多くの東方神起/JYJブロガーがこの記事を読んでいるであろうことを予想して、日々のブログ執筆に役だつかもしれない引用関係の話を書く。
・要件を満たした「引用」は法的に許されるが、無断「転載」は限られた条件のなかでしか許されない。引用と転載の違いについては文中に掲げたガイドを参照。
・引用には「公正な要件」がある。「正当な範囲内」であること(=大量に引用しないこと)、引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること、など。たまに他人のブログ記事を丸ごとコピペし、自分の感想を数行加えて自分のブログ記事にしている人がいるが、分量と主従関係の観点からして公正な引用ではない。他にも要件がある。文化庁キーワード解説集「引用」の項を参照。http://megalodon.jp/2012-0426-1603-15/www.bunka.go.jp/chosakuken/h22_manga/comment/list_a.html。
・ウェブマガジンの有料部分から引用できるか? もちろんできる。だって、お金出して買った雑誌から引用してもOKだから。ただし、上記の分量と主従関係に注意。引用文と地の文の区分や、出所の明示も必要。要件については上記文化庁サイト参照。
・引用は無断で行っていいのに、なぜ「無断引用」と悪しざまにいわれるのか? 書籍やネット記事を探したが、この問いに正面から取りくんでいる文章を見つけられなかったので考えてみた(あれば教えて)。「無断引用」という同じ言葉で違う行為を指すことがあるからではないか? 「無断引用」には、1)著者に許可を取らずに引用することを意味する誤った用法、2)出所=断り書きを書かずに引用することを意味する用法、の2つがあるらしい。出所の明示は著作権法第48条で義務づけられているので、2)の行為は当然よろしくない。
ただし、2)はマスコミが使う用法であり、法律のプロが書く解説書や判決文にこの用法を見つけることはできなかった。「らしい」と書かざるをえないのは言葉を無定義で使っているから。「無断引用」、「無断引用 訴訟」でヒットしたニュース記事の内容から推測の上、上記定義を記した。bibian みたいなトンチンカンが出てくるから、違う行為は違う言葉で表現したうえで悪しざまにいうべき。
★47 こうした見解に反するのが、電子ネットワーク協議会が1999年に発表した「他人のページにリンクをはりたい場合、また逆にリンクをはってもらいたい場合には、こちらのURL、責任者の名前、リンク開始日などを相手に知らせるようにしましょう」というルール(6.16)。ネットに不慣れな時代の20世紀の遺物だ。まともに扱うべきではない。http://megalodon.jp/2012-0325-1906-28/www.iajapan.org/rule/rule4general/main.html。
bibian が「続報」で引用している1997年の日本新聞協会の「リンクや引用の場合も含め、インターネットやLANの上での利用を希望されるときは、まず、発信元の新聞・通信社に連絡、ご相談をしていただくよう、お願いします」の文言も20世紀の遺物。だいたい、「利用のルールは、インターネットなどの電子メディアの上でも、基本的には紙の上の場合と変わりありません」というのなら、わざわざ連絡する必要はない。紙メディアから文章を引用(転載にあらず)する時に連絡しないのだから。http://megalodon.jp/2012-0325-1905-12/www.pressnet.or.jp/info/kenk19971100.htm。
★48 《「引用」の範囲内であるか否かいうことにつきましては最初から争っておりません》といったうえでお金を請求している(続報)。てことは、《無断引用》、無断リンクが法的に問題がないと分かっていってるわけだ。タカリだよ、タカリ。
★49 「それが誰なのか、きちんと出所を明示しろ!」と一部JYJファンは叫ぶであろう。それは無理。取材には「情報源の秘匿」原則があるからだ。
……と書いて、こんな想像をした。625集会/音声がらみで《罰金》、《逮捕》なる話について根拠を出せという私からの要求にたいして、批判者たちは、「取材源の秘匿」により明示できません、って答えそうな気がする!
★50 「反意思不罰罪」という「申告者の意思に反して処罰しない罪」が韓国で存在する。暴行罪、脅迫罪、名誉毀損罪、交通事故処理特例法による犯罪、外国の国旗、国章の冒涜、過失致傷などである。これらは、被害者の告訴がなくても、捜査機関が捜査して裁判を受けさせるなどして、処罰することができる罪である。だが、その過程で被害者が処罰を望まないという意志表示をした場合、処罰することができない。詳しくは、『Naver 知識事典』参照。朝鮮語、http://terms.naver.com/entry.nhn?docId=572548。
★51 「応援」の「抗議文」、このくだりから背筋に寒いものを感じるようになった。まともに対応してはいけない相手だったのかもしれない。すでに手遅れだが。ちなみに、2012年2月29日、JYJの復興支援野外コンサートを主催したザックコーポレーションが民事再生手続きを申請した。報道によれば、「野外イベントによる3億円の不足の費用が生じたことから資金繰りの悪化に拍車がかかった」とのこと。『MUSIC-MAN NET』2012年3月1日、http://megalodon.jp/2012-0408-1652-09/www.musicman-net.com/business/15570.html。
★52 ネット情報なんかではなく、生身の人間に聞きなさいよ、って批判が出るかもしれないが、冒頭でも書いたように、「ネット上のファンコミュニティでとびかった言説の歴史」を書くことが筆者の目的。生身の人間に聞かなければならない理由はない。言説史を本業でやってきた経験でいうと、上記のような批判をしてくる人は、生身の人間の発言は「リアル」だが、ネット上の発言は「バーチャル」というぼんやりとした二分法を持っていることが多く、なぜか前者のほうが信頼に足るとか、「事実っぽい」と思っていることが多い。が、生身の人間だって嘘をつくことがあり、ネット言説に比べて「事実度」が高いわけでは必ずしもない。生身の人間にインタビューしたところで、それを紙に文字おこしすればテキストとなり、“言説史の材料としては”ネット上の言説と大差ない。
■第3章■ 嘘にハッタリ。これが一部JYJファン話法だ
――原発推進者との共通点から
3章では、これまで見てきた一部JYJファンの話法と、原発推進者の話法の共通点を指摘したい。あと、ちょっぴり、筆者の執筆動機なども。
まず、3章の前口上。WR記事、朝日記事、本記事2章までは、625集会について意見紹介に徹した。で、各自ご判断を、と書いた。一部JYJファンの私への批判もたっぷり紹介した。彼女らの記事にもリンクした。それらを読み、各自ご判断ください。やることはやった。
ここからは、澁谷の意見を書く。私にだって自分の意見を
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