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スカイツリーに電波塔の主役譲る東京タワー

川本裕司

川本裕司 朝日新聞記者

高さ634メートルの東京スカイツリーに、日本一の電波塔の地位を譲る東京タワー(高さ333メートル)。関東地方向けのラジオやテレビの送信も、スカイツリーへの移転が始まっている。観光名所として東京タワーは健在だが、電波塔としての役割は小さくなり主役を間もなく譲ることになる。

 スカイツリーから初めて発信された放送は、4月1日に開局したmmbiが運営するスマートフォン向けの有料テレビ・NOTTV。送信機能の移転では、4月23日のNHK・FMとJ―WAVEという在京FMラジオ2波が一番手だった。さらに、MXテレビが10月ごろに東京タワーとの同時放送を始めたあと、来年4月にはスカイツリーからのみの送信となる予定だ。NHKと民放5社の在京テレビ6局は来年1月ごろに移転し、スカイツリーからの本放送が見込まれている。

 スカイツリーのアンテナは、頂上から140メートルまでのゲイン塔と呼ばれる場所に設けられている。送信位置が高くなるため、高層ビルなどで受信しにくかった場所や東京・多摩地区などで聞き取りやすくなる、と言われている。

 一方、東京タワーでの「残留」を決めた放送局もある。エフエム東京は、東京タワーの頂上部にあるテレビ局のアンテナが引っ越したあと、来年の早い時期に最新型のアンテナを設置する。高さは現在の220メートルから333メートルに上昇する。エフエム東京編成部は「アンテナの高さは200メートルほど及ばないが、スカイツリーは出力規制があるようで、受信環境はほとんど変わらない」と言っている。

 外国語放送のエフエムインターウェーブも東京タワーに残る。ただ、アンテナの位置を高くすると、周波数が隣接する水戸や高崎のコミュニティーFMと混信する恐れがあるため、現在の165メートルの場所は変えない。

 関東地方向けのテレビとFMを送信している放送大学も、東京タワーから移らない。従来はCS(スカパー)で実施してきた全国向けの発信が昨年10月、BSによるテレビとラジオの放送が実現したため、費用対効果の観点からスカイツリー移転を見送った。

 電波塔を使う放送局のアンテナの「家賃」について、

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