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ロンドンは「柔道ニッポン!」の正念場

松瀬学

松瀬学 ノンフィクションライター

柔道のロンドン五輪代表、男女各7階級の計14人が決まった。全日本柔道連盟(全柔連)の吉村和郎強化委員長は「最低7個の金メダルを目指す」と言った。ただ時代が変われど、代表選手は選ばれるだけでなく、金メダルを獲得してナンボである。

 首脳陣が一番気をもんでいるのが、日本の看板クラスの男子100キロ超級だろう。代表候補がアテネ五輪優勝の鈴木桂治ほか、高橋和彦、上川大樹の三人だった。体重無差別で争った4月の全日本選手権ではいずれも敗退。階級別の最終選考会でも、だれも優勝できなかった。とても情けない状況なのだ。

 五輪選考会のプレッシャーといっても、そんなの五輪本番だともっと大きくなる。なのに右肩を痛めていた鈴木も、ピークを越えた高橋も1回戦で早々と敗れた。もっとも、一番歯がゆいのが22歳の上川である。素質もサイズもあるのに、攻め手がまったく遅い。闘争心が表に出ない。

 決勝では、無名の七戸龍の豪快な大外刈りに一本負けした。厳しい稽古での追い込みが足りないのではないか。組み手が甘く、受けももろい。選考会の出来なら、普通なら七戸である。でも国際柔道連盟(IJF)のランキング制があるからそれはできない。ならば、と消去法の結果、一番ましな上川がこのクラスの五輪代表となった。

 男子の最重量級は過去、ほとんど五輪金メダルを獲得してきた。100キロ超級となったシドニー五輪以降では、銀、金、金と続いている。よほど上川が大化けしない限り、日本の金メダル獲得は極めて難しいとみる。

 もうひとつの男子の看板クラスが100キロ級である。ここは全日本選手権を辞退した穴井隆将が最終選考会でスカッと勝った。ただ欲をいえば、過去の鈴木桂治、井上康生と比べると、まだ勝負強さが足りない。もっと技出しをはやく、もっと思い切りよく前に出ていってもらいたいものだ。

 女子の看板クラスといえば、48キロ級である。1992年バルセロナ五輪から北京五輪まで、谷亮子が5大会連続でメダルを獲得してきた。今回の五輪代表は、「ポスト谷」と言われ続けてきた福見友子である。

 幾多の試練、挫折を克服してきた。最終選考会を執念で制し、世界選手権2連覇中の浅見八瑠奈を逆転した。恐らく代表の判断は

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筆者

松瀬学

松瀬学(まつせ・まなぶ) ノンフィクションライター

ノンフィクションライター。1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、早大卒業後、共同通信社入社。運動部記者としてプロ野球、大相撲、オリンピックなどを担当。02年に退社。人物モノ、五輪モノを得意とする。著書に『汚れた金メダル』(ミズノスポーツライター賞受賞)、『早稲田ラグビー再生プロジェクト』、『武骨なカッパ 藤本隆宏』。

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