大坪正則(スポーツ経営学)
2012年05月17日
確かなことは、自由競争の最大の弱点は、(1)クラブ間に収入格差が生じること、(2)選手年俸を抑制することが極めて難しいこと、である。逆に、弱点は長所に繋がるとの喩え通り、ごく一部のクラブ(チーム)を世界有数の人気クラブに仕立て上げられることが利点である。代表例はスペインのサッカーリーグであろう。
Deloitteの調査によれば、2009/10年のスペイントップリーグ(20クラブ)の収入は16億2200万ユーロ。その内訳は、チケットが27%、テレビが45%、商品化とスポンサーシップの合計が28%だから、バランスは悪くない。欧州のサッカー5大国の中では、断トツの収入を計上するイングランドに続く2位の位置を、ドイツとイタリアと肩を並べて競い合っている。
ところが、全世界のプロクラブの中で、第1位の稼ぎ頭がスペインリーグのレアル・マドリードだ。同年に4億3900万ユーロの収入があった。第2位が同じリーグのバルセロナで、3億9800万ユーロ。この2強の合計が8億3700万ユーロ。対して、残り18クラブの合計は7億8500万ユーロ。全体の48.4%に過ぎない。当然、これほどの収入格差は他のリーグでは見られない。2強は、世界中から金を集める力が抜群に高く、当然の結果としてリーグ内はもちろん、欧州内においても常にトップレベルの戦績を誇っている。
自由競争は収入格差を生むだけではない。選手年俸も歪めている。
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