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欧州経済危機で、サッカークラブはどうなるのか――カギは年俸削減?

大坪正則(スポーツ経営学)

大坪正則 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

 プロスポーツでは、古今東西、リーグ経営の基本軸を「戦力の均衡」に置くのか「自由競争」にするのかが議論されてきた。スポーツの種類によって、歴史、文化的背景、永続性、世界的規模での普及度、ファンの期待などが異なるので、どちらに軸を置くのが有利なのかを判断するのは難しい。言わば、永遠の課題と言える。

 確かなことは、自由競争の最大の弱点は、(1)クラブ間に収入格差が生じること、(2)選手年俸を抑制することが極めて難しいこと、である。逆に、弱点は長所に繋がるとの喩え通り、ごく一部のクラブ(チーム)を世界有数の人気クラブに仕立て上げられることが利点である。代表例はスペインのサッカーリーグであろう。

 Deloitteの調査によれば、2009/10年のスペイントップリーグ(20クラブ)の収入は16億2200万ユーロ。その内訳は、チケットが27%、テレビが45%、商品化とスポンサーシップの合計が28%だから、バランスは悪くない。欧州のサッカー5大国の中では、断トツの収入を計上するイングランドに続く2位の位置を、ドイツとイタリアと肩を並べて競い合っている。

拡大有力クラブ、バルセロナの年俸もこのままでは済まないかもしれない。写真はメッシが先制ゴールをあげた2011年のトヨタ・クラブW杯決勝=2011年12月18日、横浜国際総合競技場

 ところが、全世界のプロクラブの中で、第1位の稼ぎ頭がスペインリーグのレアル・マドリードだ。同年に4億3900万ユーロの収入があった。第2位が同じリーグのバルセロナで、3億9800万ユーロ。この2強の合計が8億3700万ユーロ。対して、残り18クラブの合計は7億8500万ユーロ。全体の48.4%に過ぎない。当然、これほどの収入格差は他のリーグでは見られない。2強は、世界中から金を集める力が抜群に高く、当然の結果としてリーグ内はもちろん、欧州内においても常にトップレベルの戦績を誇っている。

 自由競争は収入格差を生むだけではない。選手年俸も歪めている。

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筆者

大坪正則

大坪正則(おおつぼ・まさのり) 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

1947年生まれ。1970年、伊藤忠商事に入社。1981~85年まで、アメリカのニューヨークとデンバーに駐在。情報通信総合企画室などを経て 1986年、NBAプロジェクトマネジャーに。現在、帝京大学経済学部経営学科教授。専門はスポーツ経営学。著書に『パ・リーグがプロ野球を変える』『スポーツと国力』(以上、朝日新書)、『プロ野球は崩壊する!』(朝日新聞社)、『メジャー野球の経営学』(集英社新書)など。2014年3月4日、死去。

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